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2024.11.25
低用量ピルの服用によって排卵や体にどんな変化が生じるか、気になる方もいるのではないでしょうか?医薬品を服用する際には、効果や体の変化を正しく理解することが大切です。
この記事では、低用量ピルによる排卵の影響や、服用中に起こる排卵痛の原因と対処法などについて解説します。
目次
低用量ピルを適切に服用すると、体内の女性ホルモンの分泌に影響し、排卵が止まります。排卵は月経周期が28日の場合、生理が開始した日から14日目あたりに起こるのが一般的です。低用量ピルの服用によって排卵が起こらなくなると、女性の体には避妊効果などのメリットや、あらゆる変化が生じます。
低用量ピルは女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが配合された薬で、女性の排卵を止める作用があります。エストロゲンとプロゲステロンは、特定のタイミングで脳が卵巣に命令することで分泌され、月経周期を正常に保つホルモンです。
なかでもエストロゲンは、排卵が近づくにつれて分泌量が増え、卵子が入っている袋(卵胞)を成熟させます。卵胞の成熟が進むと卵子が飛び出して排卵が起こり、その後はエストロゲンの分泌量が下がっていくのが通常です。
低用量ピルを毎日適切に服用すると、脳は体内のエストロゲンとプロゲステロンが常に足りていると認識し、卵巣へ命令しなくなります。卵巣から2つのホルモンが分泌されなくなると、エストロゲンが卵胞を成熟させる作用が減り、排卵が止まります。
低用量ピルで排卵が止まることによって得られるメリットは大きく2つあり、「避妊効果」と「がんの予防」です。
排卵が止まると卵子が放出されなくなるため、性行為をしても受精することがなくなります。低用量ピルは適切に服用して排卵を抑えることで、コンドームよりも高い避妊効果が得られると言われています。排卵による卵巣への刺激がなくなることによって、卵巣がんや子宮体がんのリスクが下がるのも利点です。低用量ピルは服用を中止した後も、10年以上にわたってがんの発症リスクが減ると言われています。
低用量ピルの服用中は、排卵が止まることにより体に以下の変化が見られます。
低用量ピルを適切に服用すると、排卵にまつわる症状が抑えられます。これらの体の変化は服薬をやめると、大半の方が3ヶ月以内に元の状態に戻ります。
排卵はなくなりますが、低用量ピルは休薬によるホルモンが補充されない期間が設定されているため、生理のような月に1度の出血(消退出血)がなくなるわけではありません。また、低用量ピルの長期間の服用が原因で卵巣機能が低下したり、卵子の数が減ったりすることもありません。
低用量ピルの服用中、月経周期で排卵が起こる頃に下腹部痛が見られる場合は、排卵痛が起きている可能性があります。必要に応じて以下の対処法をおこないましょう。
排卵は低用量ピルを適切に服用すれば起こりせんが、飲み忘れなどによって起こることがあります。排卵痛がある状態のままでいると妊娠する可能性があるため、別の方法で避妊するなどの性生活を送りましょう。
排卵痛を感じることがあり、低用量ピルの飲み忘れや、コンドームなどの避妊をせずに性行為をした経験があれば、妊娠検査薬を試してみましょう。消退出血が起こる時期から1週間ほど過ぎても出血が見られない場合は、妊娠の可能性があるかもしれません。
もし妊娠が判明した場合はただちに服用を中止して、産婦人科に受診してください。
下腹部の痛みが日ごろから定期的にある場合は、排卵痛ではなく低用量ピルによる副作用が起きている可能性も考えられるため、薬剤の種類の変更を考えましょう。
低用量ピルには配合されてるホルモンの種類や量が薬剤によって異なり、成分が体に合わないと副作用が起こることがあります。
服用する低用量ピルの種類を変えることで、副作用による下腹部の痛みがなくなるケースもあるため、担当医に相談してみましょう。
低用量ピルを飲み忘れた後に排卵痛を感じ、十分な避妊をせずに性行為をした場合は、早急にアフターピルを検討するとよいでしょう。
アフターピルは性行為をした後の72時間以内に服用することで、高確率で妊娠を防げる医薬品です。性行為後にアフターピルを処方してもらい服用することで、望まない妊娠を抑えられる可能性が高まります。
アフターピルの処方に対応している全国の医療機関は、厚生労働省のページにも載っているため、参考にしてみてください。
低用量ピルの服用中に排卵痛が続く場合は、処方してもらった医師に相談してみましょう。排卵痛を感じるケースのなかには、排卵による痛みだけでなく、低用量ピルによる副作用や他の病気によって下腹部痛が起きている可能性もあります。
医師の診察では痛みの原因を詳しく調べたうえで、適切な対処法をしてもらえるため、ためらわずに受診してみてください。
低用量ピルの服用中に下腹部の痛みが起こる場合は、排卵痛の他に低用量ピルの副作用や、婦人科疾患が生じている可能性があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
低用量ピルの服用中は、副作用によって下腹部の痛みが生じることがあります。特に服用を開始してから数週間は、低用量ピルによる副作用が起こりやすいです。
副作用による痛みが定期的に数ヶ月続くのであれば担当医に相談し、薬剤の変更を検討してみてもよいでしょう。低用量ピルのなかでも成分の配分が異なる薬剤や、ホルモン量が少ない超低用量ピルなどを選ぶと、副作用が抑えられる可能性があります。低用量ピルについて詳しく知りたい方はこちらも参考にしてみてください。
排卵が起こる頃にのみ下腹部が痛む場合は、排卵が起きている可能性があります。特に低用量ピルを3日以上飲み忘れた場合は、排卵が起こる可能性が高くなるため、他の方法で避妊するように心がけましょう。
低用量ピルの服用による下腹部痛のなかには、子宮内膜症や子宮頸がん、子宮筋腫などの婦人科系疾患が隠れているケースもあります。下腹部の強い痛みや、性行為による痛みや出血などが続く場合は、できるだけ早く婦人科へ受診しましょう。
低用量ピルは適切に服用することによって排卵を止め、避妊効果やがん予防などのメリットが得られます。飲み忘れがあると排卵が起こる可能性もあるため、毎日忘れずに服用しましょう。低用量ピルの服用中に排卵痛などの下腹部痛がある場合は、別の方法での避妊を心がけ、必要に応じて医療機関に受診してください。
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【参考文献】日本生殖医学会「生殖医療Q&A」日本産婦人科学会「望まない妊娠を繰り返さないために」日本産婦人科学会「低用量経口避妊薬(OC)の使用に関するガイドライン(改訂版)」岡山医学会雑誌「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」日本産婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン」(案)東京都福祉局「緊急避妊について」厚生労働省「緊急避妊に係る取組について」厚生労働省「経口避妊薬(OC)の安全性についてのとりまとめ」
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