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2025.02.12

アフターピル(緊急避妊薬)エラ | 期待できる効果や副作用を解説

エラは、現在使われているなかで最も新しいアフターピルです。
「エラワン」「ウリプリスタル酢酸塩」などの名称でも知られています。
従来のアフターピルより、服用後の効果が長く続くという特徴があるため、あえてエラを選ぶ人も。

この記事では、エラの効果や副作用について解説します。
アフターピルの購入を検討している方はぜひ参考にしてください。

アフターピル(緊急避妊薬)のエラの作用機序

アフターピルのエラは、排卵を抑える、または遅らせることで避妊効果を発揮します。
排卵は、成熟した卵子が卵胞(卵子を育てる袋)をやぶり、卵巣の外に出てくることです。

エラの有効成分である「ウリプリスタル酢酸塩」は、卵胞が破裂するのを抑える作用があります。
そのため、排卵直前でも高い避妊効果を発揮すると考えられています(参考1)。

アフターピル(緊急避妊薬)エラに期待できる効果

アフターピルであるエラには、「避妊効果」や「子宮内膜を変化させる効果」が知られています。
それぞれ解説します。

避妊効果

エラは、避妊に失敗もしくは避妊せずにおこなった性行為の後、120時間以内に服用することで避妊ができます。
前述したとおり、卵胞が破裂するのを抑える作用により、排卵を抑える効果があるためです。

その避妊効果は、性行為後72時間以内の服用で、1.8%の妊娠率という高い避妊効果で、既存のアフターピルであるレボノルゲストレル(ノルレボ)より有効性が高いといわれています(参考2)。

アフターピルの効果についてさらに詳しく知りたい方は「アフターピルの効果を医師が解説 避妊までの仕組みや副作用は?」をご覧ください。

子宮筋腫の治療薬

エラの成分である「ウリプリスタル酢酸塩」は、海外では子宮筋腫の治療薬としても使われていました。

選択的プロゲステロン受容体調節剤であるウリプリスタル酢酸塩は、ホルモンの分泌を調整し、子宮筋腫の増殖を抑える効果があります。

しかし、2020年にEMA(欧州医薬品庁)は、ウリプリスタル酢酸塩の副作用として重篤な肝障害が出るため、子宮筋腫としての治療に使用すべきではないと発表しました(参考3)。
ちなみに、緊急避妊薬としての使用では、肝障害は認められていません。
そのため、現在は海外でも主に緊急避妊薬として使われています。

アフターピル(緊急避妊薬)エラの副作用

エラを服用して起こる可能性のある副作用は主に以下のものです(参考4)。

  • 頭痛
  • 腹痛
  • 吐き気・おう吐
  • 月経困難症
  • 疲労
  • めまい

特に吐き気の頻度は12%で、万が一、服用3時間以内に薬をおう吐してしまった場合には、できるだけ早く再服用する必要があるため注意しましょう。

また、アフターピルを使用した女性のうち16%に、服用後7日以内に生理とは異なる出血(不正出血、消退出血)が起こるとの報告があります(参考5)。

アフターピルの注意点についてさらに詳しく知りたい方は「(「アフターピル 副作用」内部リンク)」をご覧ください。

アフターピル(緊急避妊薬)エラの飲み方

避妊に失敗もしくは避妊せずにおこなった性行為後、120時間以内にエラを1錠(30mg)飲みましょう(参考4)。

食前、食後など、どのようなタイミングで服用しても問題ありません。

薬の有効性は120時間認められていますが、アフターピルは時間の経過とともに避妊率が下がります。
そのため、できるだけ速やかに服用することが勧められています。

また、エラを服用する上で注意することは、以下の3つです。

  • 授乳をしている方には向かない
  • 効果を弱める薬やサプリメントがある
  • 避妊効果は「絶対」ではない

まず、エラは授乳中の方は使用できません。授乳している方がエラを飲むと、母乳にエラの成分が混入し乳児が摂取してしまう恐れがあるからです。どうしてもエラを使う場合は、服用後1週間は母乳を与えないようにしましょう(参考4)。
次に、エラの効果を弱める薬やサプリメントを使用している方は処方できない可能性があります。
効果を弱める薬やサプリメントは以下の通りです(参考4)。

アフターピルの効果を弱める薬(日本承認薬抜粋)

  • 抗けいれん薬:フェノバルビタール、フェニトイン、プリミドン、カルバマゼピン
  • HIV治療薬:リトナビル、エファビレンツ
  • 抗酸菌症治療薬:リファブチン、リファンピシン

アフターピルの効果を弱めるサプリメント

  • セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含むもの

アフターピルの避妊効果は100%ではありません。エラを使ったら、生理もしくは服用から3週間後に妊娠検査を受け、避妊できていることを確認しましょう。

アフターピル(緊急避妊薬)エラが適している人

アフターピルには、エラだけでなく、いくつか種類があります。
しかし、自分はエラが合っているのか気になる方もいるでしょう。

ここでは、エラの使用が適している人について解説します。

一つ目に、性行為後72時間以上過ぎている方は、エラを選ぶとよいでしょう
他のアフターピルの有効時間は性行為後72時間です。一方で、エラは120時間まで有効です。
性行為後、すぐに受診ができず72時間過ぎてしまった方、72時間以内に服用ができない可能性がある方はエラが適しているでしょう。

二つ目に、BMIが30以上の方は、エラの方が安心して使用できます
他のアフターピルでは、BMI30以上で避妊率が通常より低くなるとの報告もあります。
一方で、エラはBMIに関わらず避妊率が高いことがわかっています。

体格による薬の有効性が気になる方は、エラを選んでおくと安心でしょう。

なお、エラは現在、日本ではまだ認可されていない薬であるため、一部の医療機関やオンライン診療でしか入手できません。他の受診者と顔を合わせたくないという方は、オンライン診療がおすすめです。

まとめ

エラは、「エラワン」「ウリプリスタル酢酸塩」とも呼ばれる、最新のアフターピルです。
性行為後、120時間以内に1錠(30mg)飲むだけで、高い避妊効果が得られます。

従来のアフターピルと効き方が異なり、卵胞が破裂するのを抑えることで、排卵を抑える効果を発揮します。そのため、排卵直前でも避妊効果が高いのです。

なかには、エラを服用することで、頭痛や腹痛、吐き気、消退出血などの副作用が起きる方もいるでしょう。
自分に合ったアフターピルで、確実に自分の身を守れるようにしましょう。

【参考文献】
1.Kristina Gemzell-Danielsson et al. Emergency contraception — mechanisms of action. Contraception. 2013 Mar;87(3):300-8.
2.Prof Anna F Glasier et al. Ulipristal acetate versus levonorgestrel for emergency contraception: a randomised non-inferiority trial and meta-analysis. Fast track-ArticlesVolume 375, Issue 9714, p555-562, February 13, 2010.
3.EMA|Ulipristal acetate for uterine fibroids: EMA recommends restricting use
4.HRA Pharma|ellaOne Package leaflet: Information for the user
5.日本産科婦人科学会|緊急避妊法の適正使用に関する指針 (平成28年度改訂版)|平成28年9月