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2025.02.07

アフターピル(緊急避妊薬)による生理の変化 | 消退出血と着床出血の違いを解説

アフターピルとは、避妊に失敗もしくは避妊せずにおこなった性行為のあとに緊急的に使用する避妊薬として使用される医薬品です。
日本では、「レボノルゲストレル」または「ノルレボ」という名称の薬が承認されており、一般的に「緊急経口避妊薬」や「モーニングアフターピル」「事後避妊薬」とも呼ばれます。

アフターピルを服用したけれど、実際に生理が起こるまでは避妊が成功したのか避妊効果について不安に思う方は多いでしょう。

この記事では、アフターピルを飲んだあとに起こる生理の変化について解説します。
また、アフターピル服用後は生理に似た不正出血が起こることがあるため違いについても説明します。

アフターピル(緊急避妊薬)を服用後の生理の変化

女性の生理周期は、卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの分泌と消退によってつくられています。
しかしながらアフターピルを服用すると、月経周期が乱れることがあります。
WHOの研究では、アフターピルを服用した女性のうち50%は、生理の予定が数日前後ずれることがわかっています(参考1)。

一般的には、生理開始から14日前後に、Hサージと呼ばれる黄体ホルモンの急激な上昇により排卵が起きますが、アフターピルを服用すると、LHサージを遅らせることにより排卵時期をずらす効果があります

アフターピルの効果についてさらに詳しく知りたい方は、「アフターピルの効果を医師が解説 避妊までの仕組みや副作用は?」をご覧ください。

アフターピル(緊急避妊薬)服用が排卵前の場合

ここではアフターピル服用のタイミングが、排卵の「前」または「後」で生理にどのような変化があるのか解説します。
排卵前に、アフターピルを服用した場合、生理が予定より大きくずれることはありません。アフターピルを服用した女性の95%が、予定日の7 日後以内に生理が起こることがわかっています(参考1)。

排卵前にアフターピルを服用した場合には「消退出血」が生理の前に起こる可能性があります

消退出血とは、アフターピルにより子宮内膜が排出されるときに起こる出血です。
生理とよく似た出血のため、見分けるのは難しいでしょう。
排卵前に、アフターピルを服用したときは、消退出血と生理で出血が2回起こることもあるでしょう。

アフターピル(緊急避妊薬)服用が排卵後の場合

排卵後に、アフターピルを服用した場合は、服用後21日以内には生理が来ることが一般的です(参考1)。
アフターピルは、排卵を遅らせる効果だけでなく、着床を妨げる効果もあるため、排卵後の服用であっても、排卵前と効果は変わりません。

ただし、服用後21日を過ぎても2回目の生理が来ないときには、妊娠検査を使用し妊娠のチェックをすることをおすすめします。
また、排卵前の服用とは異なり、排卵後の場合には、消退出血と生理が同じタイミングで起こる可能性が高いといわれています。

アフターピル(緊急避妊薬)を服用後に起こる出血

アフターピルを服用すると、生理以外に出血することがあります
アフターピルを使用した女性のうち16%では、服用後7日以内に生理とは異なる出血が起こると言われています(参考1)。
今回は、アフターピルの服用後に起こりやすい「消退出血」と避妊が失敗してしまった際に起こりえる「着床出血」の違いについて解説します。

アフターピル(緊急避妊薬)服用後の消退出血

アフターピルの服用後は、おおむね21日以内に消退出血が起こることがわかっています。
消退出血とは、アフターピルの服用後にホルモンの作用で子宮内膜が排出されるときに起こる出血です。
アフターピルを服用した1〜21日以内に消退出血が起こります。
生理とよく似た出血で、腹痛が伴うこともあります

消退出血が起きた場合、アフターピルによって避妊できた可能性が高いと考えられていますが、避妊できたかどうかを確認するためには妊娠検査が必要になります。

消退出血と着床出血の違い

消退出血と着床出血は、出血するプロセスに違いがありますが、見分けるのは難しい場合もあるでしょう。
着床出血は、妊娠初期の兆候の一つです。卵子と精子の受精が成功し、受精卵が子宮内膜に着床するときに見られる出血です。
出血量は非常に少なく、色はピンクや茶色であるという特徴がありますが、生理予定日前後のタイミングで起こるため、生理や消退出血と見分けられないこともあるでしょう。

アフターピル服用後に、通常より生理が軽い場合には、着床出血という可能性もあるため、妊娠検査をすることをおすすめします。

アフターピル(緊急避妊薬)服用後に生理がこない場合の対処方法

アフターピル服用後に、生理が予定より7日以上遅れる、またはいつもの生理より軽い場合には、妊娠検査を受けましょう
アフターピルの妊娠阻止率は、性行為後24時間以内で98%ですが、48時間を過ぎると58%まで下がります(参考1)。
そのため、72時間以内に服用できたとしても避妊を確実にするものではありません。

また、妊娠検査は、可能な限り産婦人科へ受診して受けることをおすすめします。
市販の妊娠検査薬は、「妊娠4週目に検査したときの精度が99%」であり、タイミングが異なると精度も低くなります。
普段より生理不順の場合には、検査のタイミングが特に難しくなります。

生理予定日がわからない方は、アフターピルを服用してから21日を過ぎても生理がこないときには産婦人科へ行き、妊娠検査を受けましょう

まとめ

アフターピル(緊急避妊薬)とは、性行為のあとに使用できる避妊薬です。
性行為後72時間以内に服用することで、8割の確率で妊娠を回避できます。

しかし、アフターピルを服用した大半の人が、生理周期がいつも通りこないため、不安に思う方もいるでしょう。
避妊が成功していれば、服用後21日までには生理が起こることがわかっています。
逆に服用して21日を過ぎても生理がこないときには、妊娠検査を必ず受けましょう。

また、アフターピルの服用後は、生理以外にも、消退出血などの出血が起こることがあります。いずれも生理の出血とは見分けがつかないため、出血の有無だけで安易に妊娠を回避できたと考えるのは危険です。

自分の身体のためにも、適切なタイミングで妊娠検査を受け、自信の体を管理できるようにしましょう。

【参考文献】
日本産科婦人科学会|緊急避妊法の適正使用に関する指針 (平成28年度改訂版)|平成28年9月