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2025.02.07

アフターピル(緊急避妊薬)の種類 | 違いや期待できる効果を解説

アフターピルとは、避妊に失敗もしくは避妊せずにおこなった性行為のあとに、緊急的に使用する避妊薬です。

アフターピルといった緊急避妊法には、いくつかの種類があります。
効果や飲み方などにそれぞれ違いがあることを知っていますか?

必要になったときに備えて、“自分に合う方法”を知っていると、万が一のときに自分の身を守ることにつながります。
この記事では、アフターピルの種類について解説します。
それぞれの薬の効果の違いについても詳しく説明します。

アフターピル(緊急避妊薬)の種類

現在、主に使われているアフターピルには、エラワン(エラ)レボノルゲストレル(ノルレボ)があります。
それぞれの特徴と違いについて解説します。

エラワン(エラ)

エラワンは、現在使われているなかで最も新しいアフターピルです。
性行為後5日以内(120時間以内)に1錠(30mg)を1回飲むだけで、避妊効果が得られます(参考1)。
従来のアフターピルより、服用後の効果が長く続くという特徴があります。
ただし、日本ではまだ認可されていないため、一部の医療機関やオンライン診療でしか入手できません。

レボノルゲストレル(ノルレボ)

レボノルゲストレルは、国内で唯一認可されているアフターピルです。
性行為後72時間以内に1錠(1.5mg)を1回服用するだけで、避妊効果が得られます(参考2)。
副作用が少なく、WHOによる緊急避妊のエッセンシャルドラッグとしても指定されています。

国内の医療機関、一部の薬局でも入手可能です。なお、厚生労働省では緊急避妊の診療ができる医療機関を公開していますので参考になさってください。
緊急避妊に係る診療が可能な産婦人科医療機関等一覧

エラワン(エラ)とレボノルゲストレル(ノルレボ)の違いは?

エラワンとレボノルゲストレルには、以下の2つの違いがあります。それぞれ詳しく解説していきます。

  • 効果の持続時間
  • 体格による効きやすさ

まず、「避妊効果の持続時間」はレボノルゲストレルに比べ、エラワンの方が長いです。
レボノルゲストレルは性行為後72時間までに服用しなければ効果がありません。一方で、エラワンは120時間以内まで有効です。
そのため、性行為から時間が経っている方はエラワンをおすすめします

また、「体格差による効きやすさ」にも違いがあります。
エラワンは体格に対して効果は変わりませんが、一方でレボノルゲストレルはBMI30以上の人の場合、避妊効果が下がることがわかっています(参考3)。

ご自身の体に合ったアフターピルを選んで、確実に避妊できるようにしましょう。

中用量ピルを用いた避妊方法

緊急避妊法には、アフターピルを使用するほかに、中用量ピルを用いるヤッペ法もあります。

中用量ピルは本来、月経困難症や子宮内膜症などの治療に使われる薬です。
この薬を変則的に服用することで避妊効果を発揮します。
詳しい服用方法や副作用について解説します。

ヤッペ法(プラノバール)

ヤッペ法は、中用量ピルであるプラノバールを、性行為72時間以内に2錠、その12時間後、さらに2錠を内服する方法です(参考4)。日本では昔からおこなわれている緊急避妊法で、ノボノルゲストレルより安価に入手できます。
ただし、副作用として吐き気や頭痛が起こりやすいでしょう。
特に、吐き気の発現率はノボノルゲストレル23%に対して、ヤッペ法は51%との報告もあります(参考4)。

万が一、おう吐してしまった場合には服用後2時間以内であれば、速やかに1回分を再度服用することで効果を維持できます。

アフターピル(緊急避妊薬)とヤッペ法の避妊率

アフターピルのレボノルゲストレルとヤッペ法における、妊娠阻止率は以下の通りです。

24時間以内25~48時間49~72時間全体
ノボノルゲストレル95%85%58%85%
ヤッペ法77%36%31%57%

ヤッペ法と比較して、レボノルゲストレルの方がより避妊効果が高いことがわかっています。そのため、日本ではヤッペ法よりレボノルゲストレルが推奨されているのです。

アフターピル(緊急避妊薬)に期待できる効果

アフターピルは、性行為後速やかに服用することで、避妊効果が期待できます。
アフターピルのメカニズムは十分に解明されていないものの、主に排卵の抑制や遅延による効果と考えられています。

そのため、避妊しなかった、もしくは避妊に失敗してしまったときの「最終手段」として利用するとよいでしょう。
アフターピルの効果についてさらに詳しく知りたい方は
アフターピルの効果を医師が解説 避妊までの仕組みや副作用は?」をご覧ください。

アフターピル(緊急避妊薬)服用時の注意点

アフターピルを服用する上で注意することは、以下の3つです。

  • アフターピル服用後の性行為には効果がない
  • 性感染症の予防とはならない
  • アフターピルの避妊効果は100%ではない

アフターピルは、前述したように排卵を遅らせる効果があります。
そのため、服用後に避妊せずに性行為をした場合には、再び排卵と重なってしまい、妊娠する可能性があります。
妊娠を望まない場合には、コンドームの使用や低用量ピルの服用などの避妊を必ずおこないましょう。

次に、アフターピルに避妊効果はありますが、性感染症(性病)の予防にはまったく効果がありません
性感染症の不安があるときには、診察時にあわせて医師に相談するとよいでしょう。

最後に、アフターピルの避妊効果は100%ではありません。
アフターピルを使ったら、生理もしくは服用から3週間後に妊娠検査を受け、避妊できていることを確認しましょう。
アフターピルの注意点についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
「アフターピル(緊急避妊薬)の副作用 | 副作用が出た場合の対処方法を解説」

まとめ

現在、主に使われている緊急避妊法は以下の3つの方法です。

  • エラ(エラワン)
  • レボノルゲストレル(ノルレボ)
  • 中用量ピルを用いるヤッペ法

それぞれに特徴があり、性行為から時間が経っている方は「エラ」、入手しやすさを選ぶなら「レボノルゲストレル」、一番安価な方法は「ヤッペ法」です。
自分に合う方法で避妊して、確実に自分の身を守れるようにしましょう。

【参考文献】
HRA Pharma|ellaOne Package leaflet: Information for the user
ノルレボ錠添付文書
Nathalie Kapp et al. Effect of body weight and BMI on the efficacy of levonorgestrel emergency contraception. Contraception. Volume 91, Issue 2, February 2015, Pages 97-104.
日本産科婦人科学会|緊急避妊法の適正使用に関する指針 (平成28年度改訂版)|平成28年9月