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2025.02.12

ハイドロキノンの効果 | 改善を期待できるシミの種類や使い方を解説

シミに悩む毎日で「このシミ、どうにかならない?」と鏡を見るたびに憂鬱な気分になる方もいるでしょう。

そんな方に美白効果が期待できる成分として、2001年に日本で化粧品への使用が承認されたハイドロキノンを使用するという手段があります。

しかし、「どういったシミに効くの?」「副作用は大丈夫?」など、不安や疑問を持つ方も多いでしょう。

本記事では、ハイドロキノンの効果や適切な使用法、注意点などについて解説します。

ハイドロキノンに期待できる効果

ハイドロキノンに期待できる効果は、「シミを薄くする」と「新しいシミを予防する」の2つです。

ハイドロキノンは、肌のメラニン色素の生成を抑制する効果があり、新たな肌の色素沈着を抑えることで徐々にシミが薄くなることが期待できます。

また、4~5%以上のハイドロキノンを含有する製剤は、メラニン細胞に対する細胞毒性があります。

細胞毒性が既存のメラニン細胞を減らしたり新しいメラニン細胞の発生を抑制したりすることで、新しいシミを予防する効果も期待できるのです。

ハイドロキノンは紫外線の暴露や炎症による色素沈着によって発生したシミに対し、特に効果を発揮します。

ハイドロキノンで改善を期待できるシミの種類

シミにはさまざまな種類がありますが、ハイドロキノンは主に以下のシミに対する改善が期待できます。

  • 肝斑(かんぱん)
  • 炎症後色素沈着
  • 老人性色素斑

それぞれ詳しく見ていきましょう。

肝斑(かんぱん)

肝斑(かんぱん)は、顔の頬や額などを中心に左右対称に現れるシミです。
大きさや色は個人差はありますが、淡い茶色で境界がしっかりしていて、目の周辺にはできないのが特徴です。

肝斑は主に紫外線やホルモンバランスの変化が原因で発生します。
女性ホルモンのバランスが変動しやすくなる30歳以降の女性に起こりやすく、閉経後は徐々に薄くなる傾向があります。
妊娠によって発生することもありますが、出産後に薄くなるか消失することが多いともいわれています。

炎症後色素沈着

炎症後色素沈着は、皮膚に炎症や傷が起きた後、数週間から1か月後に現れる褐色のシミのような斑点です。

アトピー性皮膚炎やニキビ、やけどなど、発生する原因が明確で炎症が起きた後に現れるのが特徴です。
炎症が起こった部分にのみ現れるため、遺伝や紫外線の暴露が原因で起こるそばかすなどは、炎症後色素沈着とは異なります。

老人性色素斑

老人性色素斑は、主に40歳以降に出現する境界が不明瞭な褐色からやや黒色の色素沈着です。「日光黒子」とも呼ばれ、紫外線が原因とされています。そのため、日光に当たりやすい顔や手の甲、腕などに現れやすいのが特徴です。

ハイドロキノンの基礎知識

ハイドロキノンの効果や改善が期待できるシミの種類について解説してきましたが、効果的かつ安全に使用するためにはハイドロキノンの働きの理解が不可欠です。

次にハイドロキノンの仕組みと副作用について詳しく解説します。

ハイドロキノンの仕組み

ハイドロキノンは「チロシナーゼ」という物質の働きを阻害することで、メラニン色素の生成を抑え、シミの発生を防ぎます。

肌にシミが発生するメカニズムは以下のとおりです。

  1. 肌が紫外線などの刺激を受けると、肌の奥(基底層)にあるメラニン細胞が活性化する
  2. メラニン細胞のなかの「チロシン」というアミノ酸が、チロシナーゼの作用によってメラニン色素に変化する
  3. メラニン色素が皮膚に蓄積し、シミが生じる

メラニン細胞は紫外線以外にも、老化や炎症、女性ホルモンバランスの変化などによって活性化しやすくなります。
ハイドロキノンを適切に使用すると、チロシナーゼの働きが阻害され、新しいシミの発生が減るわけです。
また、4〜5%以上の高濃度のハイドロキノンは細胞毒性によって、メラニン細胞を減少させる効果があります。
この作用により、美白効果も期待できます。

ハイドロキノンの副作用

ハイドロキノンが5%以上含まれている製剤には以下のような副作用があります。

  • 肌の痛みや赤み、かぶれ
  • 紅班(こうはん):皮膚に生じる赤っぽいシミ
  • 組織褐変症(そしきかつへんしょう)皮膚や組織に生じる色素変化
  • 膠様稗粒腫(こうようはいりゅうしゅ)皮膚に発生する1mmほどの白っぽいできもの
  • 白斑(はくはん):皮膚に発生する1cmほどの白いシミ

特に白斑は長期使用で起きやすいため、短期間の使用などの対応が推奨されています。
また、これらの副作用は3%未満のハイドロキノン製剤ではほとんど発生しないことがわかっています

ハイドロキノンを使用する時の注意点

ハイドロキノンを安全に使用するためには、以下のポイントを押さえる必要があります。

  • 自分に合うかユーステストを行う
  • 紫外線対策を行う
  • 副作用が出たら使用を中止する
  • 効果を感じにくい場合は他の医薬品を検討する

それぞれ詳しく解説します。

自分に合うかユーステストを行う

ハイドロキノン製剤を始めて使用するときは、ユーステストとして顔の目立たない所に3日程度塗り、赤みやかぶれが出ないか確認しましょう。

ハイドロキノンの濃度や基材の違いによって副作用の出方が変わるため、他の製剤で問題なかった場合でも必ずユーステストを行うことをおすすめします。

紫外線対策を行う

ハイドロキノンの使用中は肌が刺激に敏感になっており、肌の色素沈着が悪化したり炎症が起きたりする可能性があるため、紫外線対策を行いましょう。

外出時はSPF20以上の日焼け止めを塗ったり、長袖の衣類やつばの大きい帽子をかぶったりすることがおすすめです。

副作用が出たら使用を中止する

特に4〜5%以上のハイドロキノンは、肌の赤みやかぶれ、色素沈着などの副作用が出やすくなります。副作用が現れた場合は、すぐに使用を中止してください。また、症状が悪化する場合や白斑が見られる場合は、自己判断せずに皮膚科医に相談しましょう。

効果を感じにくい場合は他の医薬品を検討する

ハイドロキノンで効果を実感しにくい場合は、他の医薬品の使用も検討するとよいでしょう。

肌のシミには、チアミドールやシステアミンを含む製剤を使用したり、ハイドロキノンとトレチノインを併用したりする治療法もあります。

自分に合った治療法を見つけるために、他の医薬品を検討する場合は皮膚科医に相談してみましょう。

まとめ

ハイドロキノンは、肝斑や炎症後色素沈着、老人性色素斑などのシミの改善や予防に高い効果が期待できます。

ただし、強力な作用をもつため、肌の赤みやかぶれなどの副作用のリスクもある製剤です。
より安全に本来の効果を発揮するためには、以下のポイントを押さえましょう。

  • 使用前に必ずユーステストを行い、自分の肌に合うか確認する
  • 使用中は紫外線対策を徹底する
  • 副作用が出た場合や効果が感じられない場合は、医師に相談する

ハイドロキノンを取り入れたスキンケアによって、健康的な肌を目指しましょう。

【参考文献】
化粧品成分オンライン「ハイドロキノンの基本情報・配合目的・安全性」
香粧会誌「しみのメカニズムから治療まで」
日本形成外科学会「しみ(色素斑)」
日本皮膚科学会「美容医療指針」
日本化粧品技術者会「肝斑」
National Library of Medicine「Postinflammatory Hyperpigmentation」
日本臨床皮膚科医会「しみ」
日本美容医療外科学会「美容医療診療指針」
Hill Dermaceuticals「TRI-LUMA® cream」