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2025.01.09
ニキビは多くの人々が経験する肌のトラブルのひとつであり、その原因はさまざまです。特に女性の場合、ホルモンバランスやライフスタイルの影響を強く受けるといわれています。低用量ピルは、避妊目的だけでなく、ニキビの治療に対する効果が注目されています。健康的な肌を保つためのニキビと低用量ピルの効果について説明します。
目次
ニキビの原因には男性ホルモンの増加やエストロゲンの低下が関係しています。自然な生理周期の場合、生理前になるとエストロゲンが減り、黄体ホルモン(プロゲステロン)が多くなります。黄体ホルモンは、男性ホルモンと似た働きがあるため、皮脂の量が増え、毛穴がつまりやすくなり、ニキビができやすくなります。
男性ホルモンには皮脂の分泌を促進する働きに加え、異常角化も引き起こすと言われています。異常角化とは、肌の表皮で角質(硬くなった皮膚の細胞)が通常よりも多く、または不規則に作られてしまう状態を指します。このため、肌がゴワゴワ、ザラザラとした感触になり、トラブルを引き起こしやすくなります。
低用量ピルを服用すると、ホルモンが安定して供給されるためホルモンバランスが整います。そのため、過剰な黄体ホルモンの作用が抑制されます。(参考1)
一方、エストロゲンは男性ホルモンと全く逆の働きをします。
以上のような効果で、角質が柔らかく保たれ、毛穴が角栓で塞がることがなくなります。低用量ピルの服用により、エストロゲンの量も安定するので、ニキビができにくくなります。(参考2)
ニキビは角栓が毛穴を塞ぐ所からはじまります。体の中で出来た皮脂は毛穴から排出されますが、その出口である毛穴が角栓で塞がれてしまうと、皮脂が毛穴の中に溜まってアクネ菌が増殖し炎症を起こすため、ニキビができます。
正常な肌はターンオーバーといって周期的に肌表面の細胞が新しく生まれ変わっています。何らかの原因によってこの毛穴付近のターンオーバーが正常に行われなくなってしまった場合に毛穴が詰まってしまいます。(参考3)
服用をやめるとニキビが再発する可能性があります。これは、薬の服用により整っていたホルモンバランスが崩れ、ニキビの発生条件が再度そろってしまうためです。服用を続けていればホルモンバランスが安定した状態が継続し、皮脂の分泌が抑えられて、エストロゲンによる皮膚保護効果が期待できます。服用をやめると、もとのように過剰に皮脂を分泌するようになる可能性があります。
低用量ピルの服用をやめると、すぐにニキビができるわけではありませんが、薬の効果が切れてホルモンバランス・肌の状態が元に戻ればニキビが再発する可能性があります。
どの低用量ピルでもニキビや肌荒れに対する予防・治療の効果が同じではありません。男性ホルモンの活性を抑える作用がある黄体ホルモンは「デソゲストレル」という種類の黄体ホルモンです。デソゲストレルは、男性ホルモンの過度なはたらきを抑える効果があります。その結果、皮脂の過剰分泌を防ぎ、ニキビ肌の治療に効果を発揮します。
低用量ピルには含まれる成分によって第一世代から第四世代に分類されます。デソゲストレルが含まれる低用量ピルは第3世代に分類され、マーベロンやファボワールがあります。
低用量ピルの中には男性ホルモンを活性化させる種類のものがあり、服用することでニキビが悪化する可能性があります。(参考4)
ピルは、服用を始めてから7日程度で避妊効果が期待できますが、体がホルモンバランスに慣れるまで3ヶ月ほどかかることが多いです。(参考5)
体がピルのホルモンに順応することで、ニキビの改善などの効果が得られやすくなります。また、肌の新しい細胞が生まれ、古い皮膚は剥がれ落ちるターンオーバーには、最低でも4週間程度かかるといわれています。(参考6)
綺麗な肌になったと感じるためには、何度かターンオーバーを繰り返すことが必要です。ニキビの程度や肌の状態にもよりますが、服用を続けることで、徐々にニキビの数が減少し、炎症が軽減されます。低用量ピルでニキビが改善したと実感できるまでには3~6ヶ月程度かかることが多いです。すぐに改善が見られない場合もありますが、根気よく使用を続けることが大切です。
ニキビによっては、薬に含まれる黄体ホルモンが体内の男性ホルモンを活性化させてしまうことで、ニキビを悪化させてしまう場合があります。ニキビ治療には、男性ホルモンを抑えるための適切な低用量ピルを選ぶ必要があります。(参考4)
また、女性の体内で男性ホルモンが増える原因に多いのがストレスです。睡眠不足や疲労によるストレスで交感神経が優位になります。この優位になった交感神経には男性ホルモンの分泌を高める作用があり、男性ホルモンの分泌が増えます。ニキビを作らないためには、低用量ピルの服用と同時に疲労ケアとストレスマネジメントが大切です。(参考7)
ニキビは皮膚の毛穴が詰まり、炎症を引き起こすことで発生します。ニキビが深く炎症を起こした場合、皮膚の真皮層までダメージが及ぶことがあります。この場合、皮膚が自然に元の状態に戻ることは難しく、跡として残ることが多いです。
低用量ピルの効果で、肌の皮脂分泌の抑制し、皮膚のターンオーバーを促すことで、ニキビができにくい肌環境が期待できますが、真皮層まで広がったニキビ跡を消すことは難しいでしょう。(参考8)
低用量ピルは、エストロゲンとプロゲステロンの合剤になっています。低用量ピルとはエストロゲンの量が50㎍以下のピルのことを示します。
そもそも生理は、女性の体内でLH(黄体形成ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)、エストロゲン、プロゲステロンというホルモンの一連のプロセスによって引き起こされます。
低用量ピルの服用によって、エストロゲンとプロゲステロンが体内に供給されると、FSH・LHが分泌されなくなるため、卵胞の発育や排卵を抑制する働きがあります。(参考9)
低用量ピルを服用することによりニキビ改善以外の効果については、こちらの記事で詳しく解説しています。
こちらの記事をご参考になさってください。
低用量ピルの効果にについて、詳しく解説します。
低用量ピルを服用にあたり気になる副作用については、こちらの記事で詳しく解説しています。
低用量ピル の副作用にについて詳しく解説します。
低用量ピルは、ホルモンバランスを整えることにより、ニキビの予防や改善に効果があるとされています。特に、男性ホルモンの影響を受けたニキビに対して有効ですが、使用にあたっては副作用や個々の体調を考慮する必要があります。
服用を始める前には必ず医師と相談し、定期的なフォローアップを行いながら治療を進めることが重要です。
参考文献1:東京大学医学部形成外科 荒木淳 吉村浩太郎「抗アンドロゲン薬、経口避妊薬を用いたニキビ治療」
参考文献2:東京大学大学院総合文化研究科「皮膚細胞は独自に女性ホルモンを合成し、それが皮膚細胞の活動を制御している」
参考文献3:「ストレスニキビの新たな発生メカニズムを遺伝子レベルの研究にて発見」資生堂
参考文献4:「ファボワール(低用量ピル)とは?避妊効果、購入方法、副作用などをわかりやすく解説」三協製薬株式会社
参考文献5:「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン (改訂版)」日本産科婦人科学会編(2005)
参考文献6:「皮膚から老化細胞が排除されるメカニズムを解明」藤田医科大学
参考文献7:「ニキビ(痤瘡)と心理的ストレスとの関連性を科学的に証明~ストレスマーカーとしてのニキビ病巣部分毛包内ノルメタネフリンの同定~」東京薬科大学
参考文献8:「皮膚科Q&A ケロイド」日本皮膚科学会
参考文献9: 鎌田泰彦 平松祐司 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 産科・婦人科学「低用量経口避妊薬の使用に関する ガイドライン」
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