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防風通聖散に期待できる効果 | 正しい服用方法や副作用を詳しく解説

防風通聖散に期待できる効果 | 正しい服用方法や副作用を詳しく解説

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は「お腹まわりの脂肪を落とす」「肥満症に悩む人に」などのキャッチコピーとともに販売されている漢方薬です。

「飲むと痩せる」と認識されている人もいるかもしれませんが、飲むとすぐに痩せるわけではありません。

本記事では、防風通聖散の期待できる効果や基礎知識、適切な服用方法について解説します。正しい知識を持ち、適切に服用しましょう。

防風通聖散に期待できる効果

防風通聖散は、脂肪を燃焼し、体重や体脂肪を減らす作用のほか、むくみの軽減、便秘の改善、血行促進などの効果も期待できます。期待できる効果について、研究結果や防風通聖散に含まれる生薬の作用にもとづいて説明します。

脂肪を燃焼する

防風通聖散は、肥満症の治療における保険適用が認められている漢方薬です。1)

肥満マウスを用いた研究において、褐色脂肪組織の熱産生を活性化し、代謝を高める作用が確認されました。この作用により、脂肪の燃焼が促され、体重や体脂肪を減らすことが明らかとなりました。2)

また、臨床試験においても、防風通聖散を服用したグループではプラセボ(偽薬)を服用したグループと比べて「内臓脂肪や胴囲の減少」「インスリン抵抗性の改善(糖が脂肪として蓄えられるのを抑える)」がみられています。1)

むくみを改善する

ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)の添付文書には、効能として「お腹まわりの皮下脂肪が多く、便秘がちなな人の肩こり・動悸・のぼせといった高血圧による症状、肥満症、むくみ、便秘など3)記載されています。むくみも防風通聖散の期待される効能です。

また、「発汗、利尿、便通などによって諸毒を排泄し解毒する効がある」4)効果により、身体の中に溜まった水分を排泄することで、むくみの軽減が期待できます。防風通聖散に含まれる黄芩(おうごん)、山梔子(さんしん)は利尿作用を持つ生薬です1)

便秘を改善する

便秘も防風通聖散の効能の1つです。3)

防風通聖散に含まれる芒硝(ぼうしょう)は腸内の水分量を調節して便を軟らかくします。大黄(だいおう)は腸の粘膜を刺激し、腸の運動を活発にして便を出やすくする作用を持ちます。5)

血行を促進する

防風通聖散に含まれる川芎(せんきゅう)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)は活血化瘀(かっけつかお)作用のある生薬です。1)体内に滞った血液を流れやすくする作用によって、血行の改善が期待できます。

防風通聖散の基礎知識

防風通聖散に含まれている18種類の生薬とそれぞれの生薬の持つ作用、服用に適した人や副作用を解説します。基本的な薬の知識を知り、適切な服用につなげましょう。

防風通聖散の成分と特徴

防風通聖散に含まれる18種類の生薬とそれぞれの特徴を表にまとめるとそれぞれこのような特徴があります。

出典:日置智津子ほか エビデンスによる漢方の再構築:メタボリックシンドロームに対する防風通聖散の有効性の検討 医療薬学誌 2008.34(6)513-5211),奈良県 生薬の手引き6)より作成

防風通聖散がおすすめな人

防風通聖散がおすすめな人は高血圧や肥満があり、次の特徴に当てはまる人です。

  • 体力があり、便秘がちな人6)
  • 肩こり、のぼせ、むくみ、動悸がある人6)
  • 蓄膿症(副鼻腔炎)に悩む人6)
  • 皮膚炎やニキビが気になる人6)
  • 太鼓腹と呼ばれるような前に張り出したお腹の脂肪のつき方をしている人 1)
  • 食べ過ぎでいつもお腹が張っている人 1)
  • 不眠やイライラ感、気分の不安定さを感じる人 1)

防風通聖散の副作用

防風通聖散には以下の副作用があります。服用中に下記の症状が出た場合は医師に相談しましょう。

  • 間質性肺炎:頭痛、咳、発熱、息苦しさ
  • 偽アルドステロン症:麻痺や痛み、頭痛、倦怠感、手足のしびれ、筋力低下
  • ミオパチー:痛み、こわばり、筋力低下
  • 肝機能障害、黄疸:皮膚や白目が黄色くなる、吐き気・嘔吐、食欲低下、倦怠感、かゆみ、尿が茶色っぽくなる
  • 腸間膜静脈硬化症:腹痛、便秘、下痢、お腹の張り
  • 発疹、かゆみなどの過敏症
  • 不眠、多汗、頻脈、動悸、脱力、興奮状態などの自律神経症状
  • 食欲低下、胃の不快感、吐き気・嘔吐、腹痛、下痢・軟便などの紹介症状
  • 排尿障害などの泌尿器症状3)

防風通聖散の服用方法

漢方薬は一般的に穏やかな作用だという印象を持たれることも多い薬です。

しかし、正しい服用方法を守らなければ、期待される効果を十分に発揮できなかったり、副作用のリスクが高まることもあるので注意が必要です。

リスクを抑え、効果が期待できる適切な服用方法のポイントや注意点をご紹介します。

防風通聖散の正しい飲み方

一般的には成人の場合、1日7.5gを2~3回に分けて食前もしくは食間に服用します。服用時は水または白湯で飲みましょう。

年齢や体重、症状や製品によって適した薬の服用量は異なります。3)処方薬の場合は医師および薬剤師の指示に従い、市販薬の場合は添付文書の記載どおりに用法用量を守って服用しましょう。

防風通聖散を服用するうえでの注意点

服用する際や服用後の注意点を以下となります。注意点を守って服用しましょう。

防風通聖散の服用時に「してはいけないこと」は次のとおりです。

  • ほかの下剤と一緒に服用しない
  • 授乳中は服用しない、服用する場合は授乳を避ける

下記に当てはまる人は、服用前に医師もしくは薬剤師に相談が必要です。

  • 病気の治療中の人
  • むくみや排尿障害のある人
  • 高血圧、心臓病、甲状腺機能亢進症、腎機能障害と診断を受けている人
  • 妊娠している、もしくは妊娠の可能性のある人
  • 高齢者、体力が低下している人
  • 軟便・下痢、食欲低下、吐き気・嘔吐がみられやすい人
  • 多汗傾向の人
  • 薬の服用により、かゆみや発疹、赤みが出たことのある人

次の場合は服用を中止し、医師もしくは薬剤師へ相談しましょう。

  • 1ヶ月間服用(便秘に服用する場合は1週間)しても改善しない場合
  • 服用して副作用を含む症状がみられた場合
  • 軟便・下痢がひどくなった場合3),7)

防風通聖散を効果的に服用するために

防風通聖散は、お腹まわりの脂肪が気になり、便秘がちな人に対して、内臓脂肪の減少やむくみ、便秘の改善が期待される漢方薬です。漢方薬は体質や症状に合った使い方が重要であり、正しい服用方法を守らなければ副作用がみられたり、期待される効果を十分に発揮できなかったりします。

服用前に疑問点や確認したい点があれば、医師や薬剤師に相談し、適切な服用方法を確認してから飲むとよいでしょう。

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参考
1)日置智津子ほか エビデンスによる漢方の再構築:メタボリックシンドロームに対する防風通聖散の有効性の検討 医療薬学誌 2008.34(6)513-521 
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphcs/34/6/34_6_513/_pdf 
2)T Yoshida et al.Thermogenic, anti-obesity effects of bofu-tsusho-san in MSG-obese mice Int J Obes Relat Metab Disord 1995 (10):717-722
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8589765/ 
3)ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用) 添付文書 2023年 12月改訂(第1版)
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/5200130D1060_1_18/
4)テイコク防風通聖散エキス顆粒 医薬品インタビューフォーム 2017年8月(改訂第7版)
https://image.packageinsert.jp/pdf.php?mode=1&yjcode=5200130D1079
5)眞部 紀明, 春間 賢 慢性便秘の治療―漢方薬の種類とその使い方― 日本内科学会雑誌108(1)55-62
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/108/1/108_55/_pdf
6)厚生労働省 一般用漢方製剤製造販売承認基準について
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000160072.pdf
7)日本漢方生薬製剤協会 一般用漢方製剤「防風通聖散」を肥満症に使用するときの留意点
https://www.nikkankyo.org/seihin/take_kampo/110405b/ippanyou.pdf