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2024.11.27
低用量ピルは正しい飲み方で服用することで避妊や生理痛に効果がありますが、リスクも伴います。今回は、低用量ピル服用による血栓症のリスクや副作用ついて解説します。
目次
低用量ピルは避妊や生理痛の軽減などに効果的ですが、副作用もあるため注意が必要です。主な副作用としては、以下が挙げられます。
低用量ピルの副作用は一般的に軽度で、服用を続けるうちに改善することがほとんどです。しかし、まれに血栓症などの重篤な副作用が起こるリスクがあります。(参考1)低用量ピルの副作用については「低用量ピルの副作用とは?中用量ピルとの違いも医師が解説」でも詳しく解説しています。
血栓症とは、血の塊(血栓)が形成され、血管が突然詰まる病気です。血栓が詰まる部位によって、以下のように病名が変わります。(参考2)
低用量ピルの服用では、主に静脈血栓症(肺塞栓や深部静脈血栓症)のリスクが関連します。
低用量ピルを服用していない女性における静脈血栓症の年間発症率は、1万人あたり1〜5人程度です。それに対し低用量ピルを服用している女性の場合は、1万人あたり3〜9人の発症率です。(参考3)
また、妊娠中や出産後12週間の女性における血栓症の年間発症リスクは、以下のように報告されています。(参考3)
妊娠中や出産後12週間の女性の方が血栓症が起こる確率が高いことから、低用量ピル服用によるリスクは比較的低いといえるでしょう。
血栓症リスクが高い人の特徴は、主に以下のような人です。
これらの要素がいくつか重なる場合、注意が必要です。(参考4)
血栓症の主な症状として、以下が挙げられます。(参考2)
上記のような症状が出現した場合は低用量ピル服用中の方は服用を中断し、すぐに医療機関を受診しましょう。
血栓症を診断するためには、画像検査や血液検査などが行われます。それぞれの場合における検査をみていきましょう。
血液検査では、D-dimer(ディーダイマー)という物質の測定を行います。正常値であれば、血栓症の可能性が低いと判断できます。(参考2)
肺塞栓の場合、体の中で酸素がどれだけ上手く取り込まれているかや、心臓が正常に働いているかについて、血液ガス分析や心電図検査で確認します。(参考2)
血栓症になってしまうと治るか心配になりますが、治療には以下のような方法があります。
低用量ピルを処方された方で、服用中に副作用による血栓症が疑われた場合、まずは速やかに使用を中止してください。抗血栓療法は、血液が固まって血栓ができるのを防ぐための治療です。抗血小板療法、抗凝固療法、線溶療法の3種類があります。また、血栓症の原因が残っている場合、予防のために治療が継続されることがあります。(参考2)
低用量ピルを服用している際に起こりがちな血栓症を予防するために、こちらの4つの予防方法を日常生活に取り入れてみるとよいでしょう。
定期的な運動は血液の循環を改善し、血栓症のリスクを軽減します。自分に合った運動を、無理のない範囲で取り入れてみましょう。たとえば、以下のような運動がおすすめです。
1日30分以上を目安に、毎日継続することが理想的です。(参考4)
脱水状態になると血液が固まりやすくなるため、こまめな水分摂取が大切です。
ただし、アルコールには利尿作用があり体内の水分を過剰に排出させてしまうため、避けましょう。(参考4)
着圧ソックスや、足を圧迫するための特殊な編み方でつくられた弾性ストッキングは、血栓症予防に効果的です。着圧ソックスは足首から徐々に圧をかけ、静脈血を心臓へ送りやすくします。血液の滞留を防いでくれるため、血栓ができにくくなります。ふくらはぎのむくみが気になる場合にも効果を期待できます。たとえば、以下のような場合に適しています。
長時間椅子に座る必要がある場合や、静止状態が続く場合に使用するとよいでしょう。(参考4)
運動不足や同じ姿勢が長時間続く状況に大きな心理的ストレスや疲労が重なると、血流が滞ることで血栓症のリスクが高まります。
適切な休息やリラックスする時間を持ち、心身の負担を軽くすることが大切です。
また、タバコも血栓症のリスクを上げるため、禁煙できない場合は低用量ピルの服用はおすすめできません。
低用量ピルは、避妊や生理痛の軽減に効果的です。しかし稀ではあるものの、血栓症が起こる可能性があることは理解しておきましょう。
血栓症のリスクが高い人の特徴に該当する場合、服用開始の際に医師と相談し予防策を取りいれることが大切です。また、万が一症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
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【参考文献】(参考1)日本産婦人科学会(2015年)「低用量z経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲスト―ゲン配合剤ガイドライン(案)」(参考2)厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 血栓症(令和2年改訂)」(参考3)日本産科婦人科学会「産婦人科ガイドラインー婦人科外来編2023年」(参考4)日本血栓止血学会「血栓症ガイドブック」(参考5)日本血栓止血学会(2020年)「被災地における肺血栓塞栓症の予防について」
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