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2025.07.02

クラミジアがオリモノに与える影響 | 検査方法や治療方法を解説

性感染症の年間報告数を見ると、男女ともに性器クラミジア感染症が最多となっています。性器クラミジア感染症はクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)が病原体となる性器感染症の一つです。男性・女性ともに自覚症状がない場合が多いため、小さな体調の変化を見逃さずに早期発見することが重要となります。女性がクラミジアに感染した際の症状として代表的なものが「おりものの変化」です。(参考1、2)

この記事では、性器クラミジア感染症がおりものに与える影響や検査や治療の方法について解説していきますので、ぜひご覧ください。

クラミジアがオリモノに影響を与える?

性器クラミジア感染症は性行為が主な原因であるとされています。(参考2)女性の性器クラミジア感染症では、感染者の半数以上に自覚症状なしという報告もあり(参考2、3、4、5)、症状があったとしても4週間程で軽快していく例もあるため治療に繋がりづらいのが現状です。(参考4)もし自覚症状があるとすれば、おりものの異常や下腹部の痛みなどが挙げられます。女性が性器クラミジア感染症である場合、おりものの変化は主に以下の3項目です。

・量が増える(参考3)

・色が黄色や黄緑色に変化する(参考3)

・膿状になる(参考4)

クラミジアがおりものに影響を与える理由は、クラミジアに感染することで子宮頚管炎を発症してしまうからです。子宮頚管炎では無症状のことも多いのですが、症状があるとすればおりものの異常や性器出血といった症状が挙げられます。(参考5、6)ご自身のおりものは普段どのような性状であるかを把握し、定期的におりものの異常がないか確認することが大切です。

オリモノの異常が起きた時の対処方法

おりものの異常が起きた時は、早期に医療機関で医師の診療を受けることが望ましいです。もしクラミジアに感染していた場合、放置すると感染が拡大して合併症が起こる危険性が高まります。(参考4)卵管炎や卵管周辺の癒着による不妊症や子宮外妊娠は、クラミジア性感染による深刻な合併症の一つです。また、妊婦がクラミジアに感染している場合は、早産や新生児感染の原因になることもあります。(参考5)医療機関を受診しないままパートナーや不特定多数の人と性交渉をすることで、他の人への感染拡大も招きかねません。自分や周囲の健康を守るため、おりものの異常が起きた時には早めの受診が大切です。

クラミジアによるオリモノの異常の検査方法

クラミジアによるおりものの異常が疑われる場合の検査には、分離同定法、 核酸検出法、核酸増幅法、酵素抗体法がありますが、より感度の高い核酸増幅検査を実施するのが一般的です。細菌が持つごくわずかなDNAやRNAといった遺伝子を増やす処理を行うことで、菌の存在を正確に特定しやすくします。(参考8)

検査方法:医療用の綿棒を使用して、膣の分泌物や子宮頚部の擦過検体を採取します。最近では尿検体でも高い感度で検査できることが確認され、低侵襲の検査方法として広く認知されるようになりました。(参考5)。病院を受診して検査する方法と、市販の検査キットを購入して検査する方法があります。

検査の注意点:生理中は尿に血液や膣の分泌物が混ざってしまい検査結果に影響を及ぼす可能性があるため、尿検体の使用は実施できません。

結果判定時間:検査センターが併設されている病院の場合は、当日中の結果通知が期待できます。検査を外部委託している病院は結果判定に時間を要するため、再受診して結果を聞きにいく必要があるでしょう。市販のキットを使用して検査する際は、発注から検査結果の通知まで約1週間で完結します。

クラミジアによるオリモノの異常の治療方法

検査結果が陽性で性器クラミジアに感染していると診断された場合には抗菌薬の内服による治療を行います。(参考3)適応となる抗菌薬は大きく分けて3種類で、マクロライド系薬剤の「ジスロマック」が第一選択です。(参考5)ジスロマックは細菌のタンパク質合成を阻害することで増殖を抑え、細菌を死滅させる効果があります。(参考9、10)1回の服用で約10日間の有効濃度持続が期待でき、(参考10)飲み忘れによる治療中断のリスクを回避できるのが特徴です。

 

ニューキノロン系薬剤である「クラビット」も性器クラミジア感染症の治療薬として選択されます。(参考5)細菌のDND複製に不可欠な酵素の活性を阻害することで、直接的に菌を排除するという作用機序です。(参考11)クラビットはジスロマックと比較すると有効濃度持続時間が短いため、確実に殺菌するために7日間連続の服用が必要となります。

薬剤によって服用期間が異なるため、正しい用法・用量で内服することが大切です。自己判断で内服を中断したり、抗菌薬の量を増減したりすることが無いように気を付けましょう。抗菌薬を飲み始めてから3週間以上期間を空けて、再度おりものを採取する検査を行います。(参考12)検査結果が陰性となれば治療は終了です。

クラミジアの感染経路に心当たりがない場合はパートナーから感染した可能性も考えられますので、一緒に治療を開始することが望ましいです。また妊娠中の方は胎児への影響を考慮して、ジスロマックの使用が推奨されています。(参考5、9、11、12)

妊婦のクラミジア治療についてより詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。

「妊婦のクラミジア治療 | 感染経路や検査方法を詳しく解説」はこちらから

クラミジアによるオリモノの異常の予防方法

クラミジアの感染予防をすることが、おりものの異常を予防することに繋がります。

クラミジアの感染予防には以下の方法が効果的です。(参考2)(参考4)

・性交渉の際はコンドームを使用する

・性器クラミジア感染症に感染している人、または感染が疑われる人との性交渉を避ける

・不特定多数との性交渉を避ける

・パートナーがクラミジアに感染している可能性があるため、自分が治療する際にパートナーにも検査・治療を促す

クラミジアは一度感染しても免疫ができるわけではなく、感染者との接触があれば何度でも感染してしまう可能性があります。自分から感染を広げてしまうこと、そして相手から感染してしまうことを防ぐための行動を心がけましょう。

まとめ

クラミジアに感染すると、おりものが黄緑色になるといった特徴が見られる場合があります。少しでもおりものの異常を感じたら、すぐに医療機関を受診して早期発見・早期治療に繋げることが大切です。もしクラミジアと診断されたら、処方された抗菌薬の用法・用量をしっかり守って服用しましょう。クラミジアは正しく抗菌薬を服用すれば、重篤な合併症に至る前に治癒が可能な性感染症です。

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(参考1)厚生労働省 性感染症報告数(2004年~2022年)

(参考2)国立健康危機管理研究機構 性器クラミジア感染症

(参考3)東京都性感染症ナビ 性器クラミジア感染症

(参考4)MSDマニュアル家庭版 クラミジア感染症とその他の非淋菌感染症

(参考5)日本感染症学会誌 性感染症 診断・治療ガイドライン2016

(参考6)MSDマニュアル家庭版 子宮頸管炎

(参考7)日本プライマリケア連合学会誌 帯下の診断と治療

(参考8)MSDマニュアル家庭版 クラミジア感染症

(参考9)MSDマニュアルプロフェッショナル版 マクロライド系

(参考10)ジスロマック錠250㎎ 添付文書

(参考11)MSDマニュアルプロフェッショナル版 フルオロキノロン系

(参考12)産婦人科 診療ガイドライン 婦人科外来編2023