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産後の便秘 | 原因やどのくらい続くか、便秘薬の使用可否を解説

2025.05.31

産後の便秘 | 原因やどのくらい続くか、便秘薬の使用可否を解説

「産後から便意があるのに出ない」「いきめなくて産後から便秘になってしまった」

産後の便秘に苦しんでいる方はいませんか?産後は体の変化や育児の影響で便秘が起こりやすくなりますが、生活習慣の改善や便秘薬の使用によって無理なく改善を目指すことが可能です。

この記事では、産後の便秘の原因や期間、便秘薬の使用方法などについて詳しく解説していきます。

産後に便秘になりやすい原因

女性は妊娠中だけでなく、産後も便秘になりやすいと言われています。産後に便秘になりやすい原因として主に以下が挙げられます。

■水分不足

産後は授乳により体内の水分が大量に使われるため、特に母乳育児をしている方は水分不足になりがちです。体内の水分量が減ると、腸内の便の水分も不足し、硬くなって排出しづらくなります。その結果、便秘や切れ痔などの症状を引き起こすことがあります。

■会陰の痛み

出産時は腟と肛門の間にある「会陰」が裂けたり切開されたりする場合があり、産後はその部位を縫合して回復を待ちます。会陰に痛みや違和感があると、排便時に腹圧をかけるのをためらい、便を我慢する習慣が続いて、便秘につながることがあります。(参考2)

■骨盤底筋の筋力低下

骨盤の底にある「骨盤底筋」は、膀胱や子宮、直腸などの内臓を支え、肛門の締まりなどをコントロールする重要な筋肉です。妊娠や出産の影響で骨盤底筋が伸びたり傷ついたりすると機能が低下し、便をスムーズに押し出す力が弱まり、便秘になりやすくなります。(参考1)

■自律神経の乱れ

慣れない育児や夜間授乳による睡眠不足、生活リズムの乱れなどにより、産後は自律神経のバランスが崩れやすいです。自律神経には体を活動的にする交感神経とリラックス状態をつくる副交感神経があります。双方のバランスが崩れると腸の動きも鈍くなり、便秘を引き起こす要因になります。

■直腸瘤

出産によって骨盤底に負担がかかると、直腸の一部が腟側へ突出する「直腸瘤(ちょくちょうりゅう)」が起きることがあります。直腸瘤があると、便がたまりやすくなり、自然に排出されにくくなるため、慢性的な便秘に悩まされることがあります。(参考3)

このように、産後の便秘にはさまざまな身体的・精神的な要因が関係しています。

産後の便秘はどのくらい続く?

産後の便秘は、主に産後6〜8週間の産褥期に起こりやすく、特に出産直後の2〜3日間は発生しやすい傾向があります。(参考1)(参考2)産褥期は体が妊娠前の状態に戻る大切な時期です。水分や食物繊維を意識的に摂取し、体をしっかり休めることで、便秘は徐々に改善していくことが多いです。

産後の便秘の解消方法

産後の便秘は、体内で溜まった便が排泄される際に切れ痔になったり、慢性的な便秘に移行したりする可能性があるため、解消することが大切です。(参考2)産後の便秘の解消方法として、以下の4つが挙げられます。

■体を十分に休める

産後は体に大きなダメージを受けており、育児による疲れも重なります。周囲のサポートを受けながら、できるだけ睡眠や休息の時間を確保し、自律神経のバランスを整えましょう。

■水分や食物繊維を積極的に摂る

水分や食物繊維を意識的に摂取することは便を柔らかく保つのに重要です。食物繊維は海藻類やきのこ、大豆、バナナ、さつまいもなどに多く含まれています。

■トイレにゆっくり座る

産後は育児に追われてトイレの時間を後回しにしがちですが、できるだけゆっくりトイレに座る習慣をつけ、リラックスして排便できる環境を整えることで、スムーズな排便につながります。

■マッサージやストレッチをする

お腹を「の」の字に優しくなでるマッサージや、仰向けになって膝を抱えるストレッチも、腸がほどよく刺激され、便通の改善が期待できます。無理のない範囲で日常的に取り入れましょう。

便秘の解消方法は以下の記事でも解説しています。より詳しい解消方法を知りたい場合はぜひご覧ください。

「便秘の解消方法 | 日々できることや便秘の種類を詳しく解説」はこちら

授乳中に便秘薬は飲むことができる?

授乳中でも便秘薬を使用することは可能ですが、薬の成分が母乳に移行する場合があるため注意が必要です。(参考4)医師に処方してもらう際や市販薬を購入する際は、医師や薬剤師に授乳中であることを必ず相談しましょう。

産後の便秘に使用できる薬

産後に使用される便秘薬に「酸化マグネシウム」が挙げられます。酸化マグネシウムは便に水分を含ませて柔らかくするタイプの薬で、体内に成分が多く吸収されないため、比較的安全とされています。しかし、服用中は赤ちゃんに下痢や軟便などの変化がないか注意深く観察するようにしましょう。(参考4)

まとめ

産後の便秘は水分不足や会陰の痛み、骨盤底筋の低下、自律神経の乱れなど複数の要因によって引き起こされます。主に産褥期に多く見られますが、適切な解消法をすることで改善が期待できます。

便秘薬を使用する際は、授乳中であれば必ず医師に相談しましょう。産後の体に無理をせず、自分の体調に合わせたケアを心がけることが大切です。

また、産後(特に産褥期)は赤ちゃんのお世話が大変な時期です。便秘で悩んでいても、便秘薬を処方してもらうためだけに医療機関を通院するのが難しい方も多いのではないでしょうか。そのような方は、オンライン診療を利用するのも一つの選択肢です。

デジタルクリニックグループでは、オンライン診療によって便秘薬の処方を承っております。産後の便秘にまつわるお体のお悩みなども詳しく伺い、改善策についてもご提案させていただきます。

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参考文献

(参考1)日本産科婦人科学会雑誌 ”3.分娩の生理・産褥の生理”

(参考2)The Journal of Nursing Investigation”産褥期における排便困難の実態”

(参考3)一般社団法人 日本大腸肛門病学会 ”直腸瘤と排便障害~直腸瘤は便秘の原因?結果?~”

(参考4)独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 ”Q3 授乳中です。赤ちゃんに影響の少ない市販の便秘薬はありますか?”

(参考5)石川看護雑誌 “妊産婦の便秘と対処法に関する実態”