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出口で詰まるのは便秘?原因や対処方法、便秘治療に使われる薬を解説

2025.04.29

出口で詰まるのは便秘?原因や対処方法、便秘治療に使われる薬を解説

「出そうなのに出ない」「出口で詰まる感じがある」そんな排便の悩みを抱えたことがある方も多いのではないでしょうか。この記事では、便秘の中でも、出口で詰まるタイプの便秘の原因や対処法などを解説します。自分の便秘のタイプに合った対処法を見つけ、つらい便秘から解放されるためのヒントを得られます。

出口で詰まるのは便秘のサイン?

出口で便が詰まるのは、直腸や肛門に便が停滞するタイプの便秘である可能性があります。 

便秘には便を作る場所である大腸に便が留まるタイプと、便を出す場所である直腸や肛門で便が詰まるタイプがあり、後者が「出口で詰まる便秘」に該当します。 出口に便が溜まると、古くなって硬くなった便が新しい便に押し出される形で排出されるため、痔を引き起こすことがあります。また、直腸や肛門が便の存在に慣れてしまい、便意を感じにくくなることで、さらに便秘が悪化するケースもあります。(参考1)

出口で便が詰まる原因

出口で便が詰まる原因は、「器質性」と「機能性」の2つに大別されます。

  1. 器質性(出口に形態の異常がある)

直腸の形が変化し便の通り道が狭くなることで、排便が困難になります。原因として、直腸瘤、直腸重責、巨大直腸症などが挙げられます。

  1. 機能性(出口に機能の異常がある)

直腸や肛門の排便機能が低下し、便をうまく排出できない状態です。

以下の2つに分けられます:

  1. 大腸通過正常型

便を肛門まで送る機能は正常ですが、便が硬く、詰まり感があります。比較的改善しやすいタイプです。

  1. 機能性便排出障害

直腸の知覚低下や骨盤底筋の異常により、排便が困難で残便感を伴います。(参考2)

排便後にトイレットペーパーで3回拭き、3回目に便が付いていれば便が直腸内に残っている可能性があります。付いていなければ、便は残っていないものの、直腸や肛門の機能が低下している可能性が高いと考えられます。(参考1)

出口で詰まる便秘の対処方法

出口で詰まるタイプの便秘には、生活習慣の見直しと適切な薬の使用が効果的です。

  1. 生活習慣の改善
  • 食物繊維を多く含む食事
  • 適切な水分補給
  • 適度な運動
  • ウォシュレットの適正使用

これらの習慣を意識することで、便を柔らかくし、排便に必要な筋力を高め、肛門付近の刺激にもつながります。ただし、ウォシュレットの使いすぎは便秘を悪化させる可能性があるため注意が必要です。(参考1)(参考3)

  1. 薬の使用
  • 麻子仁丸(ましにんがん)
    腸内の水分を増やして便を柔らかくし、排便を促す漢方薬です。(参考4)
  • オイルデル
    生薬由来のオイルで、肛門周辺の便を柔らかくする効果が期待されます。1日2回、朝夕の空腹時に服用します。(参考5)
  • グリセリン浣腸
    グリセリンが腸内に水分を引き寄せ、便を柔らかくしながら腸を刺激し、直腸の排便反射を誘導します。即効性が高く、便秘がひどい時や便が詰まってしまった場合に一時的なリセットとして使われます。(参考6)

症状が続く場合には、薬の力を借りて排便をサポートすることも有効です。

便秘治療に使われる薬

便秘治療に使われる薬は下記の通りです。

  • 浸透圧系下剤:腸内の水分分泌を促し、便を柔らかくして排便を促進します。
  • 刺激系下剤:大腸を直接刺激して腸の動きを活性化させ、排便を促します。
  • 上皮機能変容薬:小腸に作用して水分分泌を促し、便の移動を助けます。
  • 胆汁酸トランスポーター阻害薬:大腸への胆汁酸を増やして水分分泌と腸の運動を促進します。
  • 漢方薬:複数の生薬の組み合わせで、便秘や関連症状を多角的に改善します。また、強さも調節できるので、市販のお腹が痛くならない便秘薬として使えます。(参考4)

出口で詰まるタイプの便秘では、腸の蠕動運動には問題がない場合が多く、刺激系下剤を使うと過剰な腸の動きによって腹痛や下痢を引き起こすおそれがあります。そのため、腸の動きが鈍いタイプとは異なり、症状に合った薬を選ぶことが大切です。(参考1)

便秘に使われる薬についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

「便秘治療に使われる薬 | 服用方法や選ぶ時に注意するべきことを解説」 の記事はこちらから

便秘の基本情報

便秘とは、排便の頻度や量が不足した状態を指します。

便秘の症状としては、以下のようなものがあります:

・腹痛

・残便感

・腹部膨満感

・吐き気

・食欲不振(参考4)(参考3)

何日で出るのが普通?便秘の基準

便秘の基準は、一般的には「3日以上排便がない、または週に3回以下」の場合を指します。しかし、排便回数には個人差があり、一概に定義することはできません。(参考3)例えば、高齢者のように食事量が少ない場合は、排便回数も減る傾向にあります。(参考7)

便秘が具体的に何日からを指すのか詳細が気になる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

「便秘は何日から?検査方法や治療方法、放置するとどうなるかを解説」の記事はこちらから

便秘の危険な症状

便秘の危険な症状として、以下のようなものが挙げられます。

・嘔吐または腹痛を伴う

・1日以上排ガス(おなら)がない

・血便や真っ黒な便

・次第に悪化していく便

これらの症状がある場合は、腸閉塞や大腸がんといった病気が潜んでいる可能性があるので、受診し、検査を受けて詳細を確認しましょう。(参考8)

便秘の危険な症状について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

「便秘の危険な症状 | 放置するとどうなるかや検査法、治療法を解説」の記事はこちらから

まとめ

出口で詰まる便秘は、腸の動きではなく直腸や肛門の機能や便の硬さに原因があることが多く、この便秘に合った適切な対処が重要です。生活習慣の改善や薬の選び方によって、症状の軽減や再発予防が可能です。ご自身の便秘のタイプを正しく見極め、適切な方法で無理のない便秘解消を目指しましょう。

(参考1)佐々木みのり(2018)「知っているようで知らない便秘とオシリの話」日本臨床内科医会会誌

(参考2)尾髙健夫(2019)「慢性便秘の定義と分類」日本内科学会雑誌

(参考3)全国健康保険協会「便秘」

(参考4)眞部紀明 et al.(2019)「慢性便秘の治療ー漢方薬の種類とその使い方ー」日内会誌

(参考5)添付文書「オイルデル」

(参考6)都築義和 et al.(2022)「坐薬, 浣腸」診断と治療

(参考7)結束貴巨 et al. (2023)「高齢者の便秘と課題」日WOCM会誌

(参考8)北山雅大(2024)「OTCセルフケアマップ 第14回 腸の不調に対する市販薬の選び方」調剤と情報