fbpx

2025.04.26

多汗症を自力で治すことは可能?治療方法や改善するためのポイントを解説

多汗症は日常生活に支障をきたすほど大量の汗をかいてしまう症状です。多汗症をなんとか自力で治すことはできないものかと考える方もいるのではないでしょうか。

この記事では、多汗症は自力で改善できるのか、治療方法や症状軽減に役立つ日常生活のポイントを解説します。

多汗症を自力で治すことはできる?

多汗症の症状を、自力で完全に治すことは難しいかもしれません。しかし、生活習慣の改善やストレスを溜め込まないようにするなど、自分なりの取り組みを行うことで症状の緩和につながることがあります。

特定の原因がなく多汗の症状が出ている場合、自律神経の一つ「交感神経」が通常より強く働いていることが原因と考えられています(参考1)。

交感神経は、体を活発に動かしたり、ストレスや危険を感じたりしたときに活動が高まる神経です。

多汗の症状をできるだけ抑えるためには、体をリラックスさせるときに働くもう一つの自律神経「副交感神経」の働きを高めたり、交感神経の過剰な働きを安定させたりすることで2つの神経のバランスを保つことも有効といえるでしょう(参考2・参考3)。

そうはいっても、より有効なのは医療機関での治療です。生活習慣に気を配りつつも、まずは自身の状態を把握するために医師に相談してみましょう。

多汗症の治療方法

多汗症の症状が出ている部位によっても推奨される治療は異なりますが、以下のような方法があります。

  • 外用薬(塩化アルミニウム液、抗コリン薬)
  • 内服薬(内服抗コリン薬)
  • ボトックス注射
  • 外科的治療(手術)

塩化アルミニウム液や外用抗コリン薬は、汗が多く出る部分(脇、手のひら、足の裏、頭など)に塗ることで発汗を抑えます。なお、外用抗コリン薬は脇のみに使用可能です(参考1)。商品名としては、エクロックゲルやラピフォートワイプなどがあります(参考4)。

内服抗コリン薬にもいくつか種類がありますが、保険適用されているのは臭化プロパンテリン(商品名:プロ・バンサイン)のみです(参考1)。神経伝達物質アセチルコリンの働きを抑制することで、発汗を抑えます(参考5)。

その他、重度の脇の多汗症に対して保険適用となるボトックス注射や、ここまで紹介した治療で十分な効果が得られない場合に適応となる外科手術「交感神経遮断(しゃだん)術」などがあります(参考1)。

多汗症を改善するために

多汗症の改善には、以下のような生活習慣の見直しも重要です。

  • ストレスを溜めこまない
  • 生活習慣を見直す
  • 食事に気を付ける

交感神経の働きを強める行動や食生活は、多汗症の症状を悪化させる可能性があります。ここでは、多汗症の改善に効果が期待できる生活習慣について解説します。

ストレスを溜めこまない

多汗症は精神的な影響を受けやすい症状です。ストレスを感じると交感神経が活発になり、発汗を促してしまうことがあります(参考6)。

趣味に没頭する時間を作ったり適度な運動を取り入れたりするなど、自分なりのストレス解消法をみつけてストレスを溜め込まないようにしましょう。

生活習慣を見直す

多汗症の症状を緩和するためには、生活習慣を見直すことも有効です。特に睡眠不足や運動不足があると、自律神経の働きが乱れやすくなり、発汗が増える可能性も考えられます(参考7)。

自身が取り組みやすい運動を習慣にしたり、十分な睡眠時間を確保したりすることを心がけてみましょう。

また、喫煙も交感神経の活動を強める要因の一つです(参考8)。たばこを吸うことにより汗をかきやすくなる可能性があるため、禁煙に取り組むことも効果的といえるでしょう。

食事に気を付ける

辛いものやすっぱいものなど、刺激の強い食べ物を食べると、顔面に汗をかきやすくなります(参考9)。体の部位にかかわらず、できる限り発汗を抑えるためには、刺激の強すぎる食べ物は極力控えたほうが良いでしょう。

また、カフェインには交感神経に刺激を与える作用があります(参考10)。摂りすぎると発汗が多くなる可能性があるため、過剰摂取には注意しましょう。

多汗症の基礎知識

通常、何らか要因により体温が上昇した場合、体温調節のために汗をかきます。しかし体温調節が必要かどうかにかかわらず、全身または特定の部位に大量に発汗する状態が多汗症です。緊張やストレスといった精神的な要因が引き金になることもあります(参考1)。

多汗症には種類があり、それぞれ原因や症状が現れる部位などが異なります。多汗症の種類については、この後詳しく解説します。

多汗症については以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。

多汗症とは | 原因やセルフチェック方法、治療方法を詳しく解説

多汗症の種類

多汗症は大きく分けると、以下の2種類があります(参考11)。

  • 局所性多汗症
  • 全身性多汗症

手のひらや脇など特定の部位に症状が現れる局所性多汗症は、原因が特定できない「原発性局所性多汗症」と、神経の損傷などが原因となって起こる「続発性多汗症」に分類されます。

一方、全身性多汗症は、その名のとおり全身に多くの発汗が見られるタイプの多汗症です。このタイプも、原因がわからない「原発性全身性多汗症」と、感染症や甲状腺機能亢進症などの基礎疾患が原因となって発症する「続発性全身性多汗症」があります。

まとめ

多汗症を自力で改善することは難しいため、医療機関を受診して医師の診察を受けることが大切です。診察を受けることで、塗り薬や飲み薬、ボトックス注射など、自身の症状に合った適切な治療が受けられるでしょう。

「なかなか病院に行く時間が取れない」「多汗症治療のために通院していることを知られたくない」という方は、オンライン診療の活用も視野に入れてみましょう。

オンライン診療のデジタルクリニックグループなら、24時間365日診察に対応しているうえ、治療中や治療後もチャットでの相談が可能です。薬も目立たない梱包で、ご自宅までお届けします。

ご希望の方は、以下よりご予約ください。

参考文献

(参考1)原発性局所多汗症診療ガイドライン 2023 年改訂版|日本皮膚科学会

(参考2)自律神経失調モデルに基づく多汗症の人間工学的制御システムの基礎研究ー特に手掌温度バイオフィードバックと漢方方剤の併用両方の有効性についてー|福本一朗ら

(参考3)ストレスに起因する多汗症に漢方薬が奏効した1例|脳神経外科と漢方 8巻 (2023) 1号p33‒38|日本脳神経外科漢方医学会

(参考4)汗の病気―多汗症と無汗症― Q8外用薬はどんなものがありますか? – 皮膚科Q&A|公益社団法人日本皮膚科学会

(参考5)抗コリン性鎮痙剤 プロパンテリン臭化物錠 プロ・バンサイン錠15mg|ファイザー株式会社

(参考6)ストレスとは | 専門家コラム | 働く女性の心とからだの応援サイト|厚生労働省

(参考7)自律神経失調症|わかりやすい病気のはなしシリーズ19|一般社団法人日本臨床内科医会

(参考8)喫煙と循環器疾患|健康づくりサポートネット|厚生労働省

(参考9)味覚性発汗再考― 1.生理的味覚性発汗と味覚発汗反射―|自律神経 57巻4号 2020年|日本自律神経学会

(参考10)カフェインコーヒーと茶の機能性と新たな展望|化学と生物|公益社団法人日本農芸化学会(参考11)汗の病気―多汗症と無汗症― Q1 多汗症とはどんな病気ですか? – 皮膚科Q&A|公益社団法人日本皮膚科学会