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2025.04.16

高血圧と動脈硬化の関係性 | 起きるメカニズムや治療方法を解説

健康診断で高血圧を指摘され、不安を感じていませんか?

高血圧はあらゆる生活習慣病を進行させる重要な危険因子です。血圧が継続的に高い状態が続くと血管内壁に過度な負担がかかり、動脈硬化のリスクが高まって、さまざまな病気につながります。

本記事では、高血圧と動脈硬化の関係を詳しく解説し、予防・改善方法をわかりやすくご紹介します。ぜひ参考にしてください。

高血圧は動脈硬化を進行させる?

高血圧は動脈硬化の危険因子の一つです。血圧が継続的に高い状態が続くことで、血管内壁に過度な負担がかかり、動脈硬化を加速させます。

高血圧は自覚症状がほとんどないため気付きにくく、放っておくと健康に悪影響を及ぼすため注意が必要です。

動脈硬化の主な危険因子

動脈硬化の主な危険要因は以下の4つです。

  • 高血圧
  • 加齢
  • 喫煙
  • 運動不足
  • 不適切な食生活

高血圧は動脈硬化を進行させる危険因子であり、血圧が長期的に高い状態が続くと、血管壁への負担が増大します。加齢によって血管の弾力性が低下することも重要な要因の一つです。

また、喫煙は血管を過度に収縮させ、血管内壁を傷つける原因となります。運動不足や不適切な食生活による肥満も、LDLコレステロールや血圧、血糖値などを上昇させることで動脈硬化に陥ります。特に、日本人が無意識に行いやすい塩分の過剰摂取はより血圧を上昇させて、動脈硬化のリスクを高めることが多いです。

危険因子は単独でも問題ですが、複数が重なるとより動脈硬化を進行させるためさらに危険です。あらゆるリスク要因を考慮し、適切な対処が求められます。

参照:一般財団法人動脈硬化予防啓発センター|知っておきたい動脈硬化

動脈硬化が起きるメカニズム

動脈硬化が起きるメカニズムには、高血圧が深く関係しています。血管の壁は本来弾力性があり、血圧の変動に応じて柔軟に対応できる構造です。

しかし、高血圧状態が続くと血管は常に強い圧力にさらされます。圧力によって血管内壁に微細な損傷が生じ、修復過程で次第に厚く硬くなり、動脈硬化に至ります。

また、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が血管内壁に入り込むことも動脈硬化を引き起こす要因です。

血管内に入り込んだLDLコレステロールは酸化して「酸化LDL」になります。通常では、それを排除しようと免疫細胞が働きますが、酸化LDLの量が多いと対応しきれません。対応しきれず死滅した免疫細胞はプラーク(ドロドロの粥状の物質)になり、血管壁にプラークが溜まっていくと血管が細くなります。血管が細くなると血液を送り出すのに強い圧力が必要になるため、さらに血圧が高くなるという悪循環に陥ります。

出典:国立保健医療科学院|動脈硬化 e-ヘルスネット(厚生労働省)

動脈硬化の治療方法

動脈硬化の治療は、生活習慣の改善から始めましょう。生活習慣の改善は以下の3つです。

  • 食事療法
  • 運動療法
  • 禁煙

食事面では1日の塩分摂取を6g未満に抑え、野菜や魚を中心とした食生活を心がけましょう。定期的な運動も重要で、ウォーキングなどの有酸素運動を1日30分程度行うことが推奨されます。喫煙者は必ず禁煙を実施してください。

生活習慣の改善に加え、必要に応じて降圧薬や抗血小板薬による薬物治療も行います。薬物治療は医師の指導のもと、適切に行いましょう。

定期的な検査で動脈硬化の進行状況をモニタリングしながら、治療効果を確認していく必要があります。

動脈硬化で起こる病気

動脈硬化はさまざまな疾患を引き起こす可能性があります。主な合併症は以下のとおりです。

  • 心臓疾患(狭心症・心筋梗塞)
  • 脳卒中(脳梗塞・脳動脈の閉塞による脳組織壊死)
  • 腎臓疾患(腎機能低下・高血圧の悪化)
  • 末梢動脈疾患(血流障害)
  • 動脈瘤

これらの疾患は突発的に発症しやすく、深刻な後遺症や生命の危険を伴います。突然死を引き起こす心筋梗塞や動脈瘤破裂などのリスクは特に軽視できません。

合併症のリスクを軽減させるために、早い段階で生活習慣を改善し、適切な治療を行いながら動脈硬化を予防・管理しましょう。

出典:一般社団法人日本動脈硬化学会|動脈硬化疾患とは?

高血圧の基礎知識

高血圧は、日本人の約3割が抱える代表的な生活習慣病です。血圧は常に変動しているため、1回の測定値だけでなく、継続的な測定結果に基づいて診断を行います。

以下では、高血圧の診断基準と生活習慣の改善を中心とした対処法について解説します。

高血圧症の基準

高血圧の診断基準は診察室血圧(医療機関での血圧測定)家庭血圧で違いがあります。

診察室血圧の診断基準は収縮期血圧で140mmHg以上もしくは拡張期血圧で90mmHg以上です。家庭血圧の診断基準は収縮期血圧で135mmHg以上もしくは拡張期血圧で85mmHg以上になります。

血圧は時間帯や季節によって変動します。朝は上がりやすく、夜や寝ている間は下がるのが一般的です。冬は夏に比べて血圧が高くなる傾向があります。

高血圧の約90%は原因不明の本態性高血圧で、残りの10%は腎臓病などの基礎疾患による二次性高血圧です。早期に異常を発見し、適切な治療を行うために、定期的な血圧測定と記録を行いましょう。

出典:日本高血圧学会|高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会

高血圧の基準について詳しく知りたい方は、こちらで詳しく説明しておりますので、ぜひ参考にしてください。

高血圧症の改善

高血圧症の改善には、包括的な生活習慣の見直しが不可欠です。食生活の改善では減塩が重要です。1日の塩分摂取量を6g未満に抑えるために、麺類のスープを残す、調味料を控えめにする、加工食品の摂取を減らすなどの工夫をしましょう。

適度な運動習慣も重要で、ウォーキングなどの有酸素運動を1日30分程度行うことが推奨されます。十分な睡眠と休養を取り、ストレス管理をすることも大切です。

アルコールの摂取を適量(日本酒なら1日1合まで)にしたり、禁煙を徹底したりすることも重要です。これらの生活習慣の改善を継続的に実践することで、血圧の改善が期待できます。

高血圧の改善についてより詳しく知りたい方は、こちらで詳しく説明しておりますので、ぜひ参考にしてください。

出典:日本高血圧学会|高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会

まとめ

動脈硬化は、高血圧が長期間続くことによって血管壁に負担がかかり、血管の硬化が進行する状態です。

動脈硬化の主な危険因子には、高血圧・加齢・喫煙・運動不足などがあります。これらの要因が重なると、動脈硬化のリスクは相乗的に高まります。治療は生活習慣の改善が基本で、食事療法、運動療法、禁煙が重要です。必要に応じて薬物治療も行いましょう。

動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な合併症を引き起こす可能性が高いです。予防と早期発見のために、定期的な検査と血圧管理が欠かせません。

高血圧の基準値を知り、適切な生活習慣の改善を継続しましょう。

日本高血圧学会|高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会

全国健康保険協会|【高血圧】自覚症状がないまま動脈硬化を進行させます

国立研究開発法人 国立循環器病研究センター|患者の皆様へ

一般財団法人動脈硬化予防啓発センター|知っておきたい動脈硬化

日本動脈硬化学会|動脈硬化性疾患予防 ガイドライン

一般社団法人日本動脈硬化学会|動脈硬化疾患とは?

一般社団法人日本動脈硬化学会|動脈硬化性疾患の発症を予防するためには?

国立保健医療科学院|動脈硬化 e-ヘルスネット(厚生労働省)