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2025.03.28

便秘治療に使われる薬 | 服用方法や選ぶ時に注意するべきことを解説

便秘は生活の質に大きな影響を及ぼすことがあります。便秘の治療では生活習慣の改善が基本ですが、効果が不十分な場合には薬物療法が行われる場合があります。

ここでは、便秘治療に使われる薬について、種類や効果的な服用方法について解説します。

便秘薬の種類

便秘に使用される薬にはのみ薬や坐薬、浣腸があります。今回はその中でものみ薬について、刺激性便秘薬、非刺激性便秘薬、漢方薬に分けてそれぞれについて説明します。

刺激性便秘薬

刺激性便秘薬(刺激性下剤)は、大腸を刺激することで大腸のぜん動運動という動きを活発にし排便を促す薬です。具体的な薬の例としては、センナ、センノシド、ビサコジル、ピコスルファートナトリウムなどが刺激性便秘薬に分類されます。

刺激性便秘薬は、即効性があり、作用も強いため、効果を実感しやすいとされている一方、副作用として下痢や腹痛、脱水を引き起こすことがあります(参考1)。また、長期間使い続けることによって薬に対する耐性や習慣性が生じるのを避けるため、使用は必要最小限にとどめるよう推奨されています(参考1)。

非刺激性便秘薬

非刺激性便秘薬(非刺激性下剤)は、便の中の水分を増やすことで便を柔らかくし、排便を促す薬です。具体的な薬の例として酸化マグネシウム、ラツクロース、モビコール、ルビプロストンが挙げられます。

非刺激性便秘薬は腸を直接刺激しないので、腹痛が起きにくく、また比較的クセになりにくいと言われています。症状に合わせて服用量を調節することもできます(参考2)。

漢方薬

慢性便秘症の治療に一部の漢方薬が有効であるとされています(参考1)。漢方薬は、複数の生薬から作られており、組み合わせや分量によって作用が異なります。腸のぜん動作用を促す成分の生薬には大黄と山椒があります。

便秘に使われる漢方薬として、大黄甘草湯、桃核承気湯、防風通聖散、調胃承気湯、潤腸湯、麻子仁丸、桂枝加芍薬大黄湯、大柴胡湯などがあり、含まれる生薬やそれぞれの配合が異なっています(参考1)。

「漢方薬 便秘」内部リンク

便秘薬の効果的な服用方法

便秘薬の効果的な服用方法としては、まず決められた使い方を守って服用することが大切です。

例えば非刺激性便秘薬である酸化マグネシウムの場合、就寝前または空腹時にコップ1、2杯の水、ぬるま湯で服用しますが、多めの水で服用するとより効果的です。初回は最小量から始めて、症状に合わせて用法用量の範囲内で調節しましょう(参考2)。

便秘薬を選ぶ時に注意するべきこと

刺激性便秘薬は、先ほど説明したように副作用や長期間使い続けることによる耐性や習慣性といった弊害が生じる可能性があるので、注意しましょう。

市販されている便秘薬は色々な種類があり、選び方が分からない場合や、持病があったり、他の薬を服用している場合、飲み合わせに問題がある可能性があるので、自己判断で使い続けるのではなく薬剤師や医師に相談するようにしましょう。

便秘の基礎知識

便秘とは、排便回数の減少や排便困難を特徴とする状態で、生活の質(QOL)に影響を及ぼすことがあります。日本で便秘を訴える人は、約3〜4%と報告されており、その中でも高齢者では約7%に及びます(参考3)。

便秘の原因は多岐にわたり、食物繊維や水分の不足、運動不足、ストレス、薬剤の副作用などが挙げられます。治療には、食生活や生活習慣の改善が基本となりますが、効果が不十分な場合は便秘薬による治療が検討されます。

「便秘とは」内部リンク

便秘になってしまう原因

便秘は様々な原因で引き起こされます。今回はその中でも3つの原因を紹介します。

1つ目は水分不足です。水分摂取量が足りないことで、便の中の水分も不足してしまい、便が硬くなり排便が困難になります。1日の水分摂取量が500ml以下であると排便回数が減少し便秘になりやすいという報告もあります(参考4)。

2つ目は食物繊維の不足です。食物繊維は大腸まで届き、水を含んで便の体積を増やします。また、腸内環境を改善する腸内細菌を増やすことを助けお腹の調子を整えます。(参考5)。

3つ目は運動不足です。運動不足になると大腸のぜん動運動が弱くなり便秘になる可能性があります。適度に体を動かす習慣がある人は腸の動きも活発になりやすい傾向があるため、運動不足は便秘の大きな原因のひとつと言えるでしょう。

便秘の原因については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。

「便秘の原因 | 並行して起こりうる症状や改善方法を詳しく解説」の記事はこちら

まとめ

お通じの問題は生活の質に関わることがあります。便秘の解消には、食物繊維や水分の摂取、適度な運動などの基本的な生活習慣の改善が重要です。加えて、便秘薬には様々な種類がありその中から、自分にあった便秘薬をうまく使い分けることが大切です。

一方で、便秘が長引いたり、腹痛や出血を伴う場合、何らかの病気が隠れている可能性もあります。症状が続いたり心配な事がある時には放置せずに、早めに医療機関に相談し、必要な検査や治療を受けることが大切です。

(参考1) 便通異常症診療ガイドライン2023 慢性便秘症

(参考2) 一般用医薬品:酸化マグネシウムE便秘薬

(参考3) 厚生労働省 政策統括官付参事官付世帯統計室 (2023)『2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況』厚生労働省

(参考4) 吉良いずみ「便秘ケアとしての水分摂取のエビデンスに関する統合的文献レビュー」日本看護技術学会誌12巻2号, 2013年

(参考5) 厚生労働省 e-ヘルスネット『食物繊維の必要性と健康』(食物繊維の働きと平均摂取量)