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2025.03.27

勃起不全(ED)の症状 | 原因や種類、治療に使われる薬を解説

勃起不全(ED)は、多くの男性が直面する可能性のある健康問題です。勃起時の硬さが足りない、勃起が持続しないなどの症状が続くと、心身のストレスにつながることもあります。今回は勃起不全(ED)の症状や原因、種類や治療に使われる薬について解説します。

勃起不全(ED)の際に見られる症状

ED(勃起不全)とは、性行為を満足に行うため十分な勃起が得られない、または維持できない状態が続く、またはその状態が再発することを指します(参考1)。この状態は、性生活の質を低下させるだけでなく、精神的なストレスや不安を引き起こすこともあります。

なお、EDの有病率は年齢とともに上昇するとされています(参考1)。

勃起不全(ED)の原因

EDの要因はさまざまで、身体的な要因や精神的な要因、またはそれらが複合的に作用していることが多いです。EDの発生に繋がる可能性の高い要因は以下の通りです(参考1)。

  • 加齢

加齢はEDの最重要リスクファクターと考えられています。

  • 糖尿病

日本人のデータも含むレビューによれば、糖尿病患者の35~90%にEDが発生するとされています(参考1)。また、EDの発生時期も、糖尿病患者では非糖尿病患者より10~15年早いといわれています(参考1)。

  • 肥満と運動不足

日本人のデータではEDにおける肥満は大きな要因とはいえず、また運動に関するデータはありませんが、肥満の解消、運動不足の解消はEDの改善、予防につながる可能性が高く、非薬物療法として推奨されます。

  • 心血管疾患および高血圧

高血圧患者や冠動脈疾患患者は、EDを合併する頻度が高くなっています。

  • 喫煙

喫煙は血管内皮障害や陰茎への血流障害などを引き起こし、勃起機能に悪影響を与えると考えられます。

  • テストステロンの低下

テストステロンは勃起に関わる組織や機能を正常に保つ働きをしており、テストステロンの低下がEDを引き起こす可能性があると考えられていますが、科学的に統一された見解はなく、はっきりとは分かっていません。

  • 慢性腎臓病と下部尿路症状

慢性腎臓病の患者では、EDの発生率が70%であることが示されています(参考1)。

  • 神経疾患

勃起現象は神経によって制御されているため、中枢神経・末梢神経を阻害する疾患はEDを起こす可能性があります。また、神経疾患の治療薬がEDを引き起こす可能性もあります。

  • 外傷及び手術

特に脊髄損傷がある人はEDのリスクが高いとされています。また、前立腺癌や膀胱癌の手術後にEDが発生する確率は高いとされています。

  • 心理的および精神疾患的要素

うつ症状と心血管疾患とEDは、互いに関連し合い、併発することが多いとされています。

また、心的外傷後ストレス障害(PTSD)があると、EDの発症リスクが高まることも知られています。

  • 薬剤

降圧薬や抗うつ薬、前立腺肥大症治療薬や髄空内バクロフェン療法、非ステロイド性抗炎症薬は勃起機能に影響を与える可能性があるとされています。

  • 睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)があると、EDのリスクが高くなることが確認されています。

勃起不全(ED)の種類

ED(勃起不全)は、その原因に基づいて大きく3つの種類に分類されます(参考1)。

  • 器質性ED

身体的な問題(血管、神経、ホルモンなど)によって引き起こされるEDです。

  • 心因性ED

精神的なストレスや不安、うつ病などによって引き起こされるEDです。

  • 混合性ED

身体的な原因と精神的な要因が組み合わさって発症するEDです。

勃起不全(ED)の治療に使われる薬

EDには、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬が治療の第一選択として用いられます(参考1)。この薬は、陰茎の血流を良くすることで勃起を助ける働きがあります。

日本で処方されるPDE5阻害薬には、次の3種類があります(参考1)。

  • シルデナフィル(バイアグラ)
  • バルデナフィル(レビトラ)
  • タダラフィル(シアリス)

なお、インターネットなどを通じて手に入れた薬剤は品質・リスクの面で問題が多いため危険です(参考1)。

「勃起不全 薬」内部リンク

ED治療薬を使用できない方

PDE5阻害薬(ED治療薬)は、一部の薬と併用したり、一部の疾患などをお持ちの方が使うと危険な副作用を引き起こすことがあります(参考1)。以下に該当する方は、シルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィルを使用できません(参考1、2、3、4)。

  • 薬剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方
  • 硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤を投与中の方
  • 可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤(リオシグアト)を投与中の患者
  • 重度の肝機能障害のある患者

また、各薬剤ごとに禁忌となるケースがあります。

シルデナフィルを服用してはいけない人

以下に該当する方はシルデナフィルを服用できません(参考2)。

  • 低血圧の患者(血圧<90/50mmHg)又は治療による管理がなされていない高血圧の患者(安静時収縮期血圧>170mmHg又は安静時拡張期血圧>100mmHg)
  • 下記の疾患を患っている方

心血管系障害を有するなど性行為が不適当と考えられる方や、脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ヵ月以内にある患者は服用できません。

  • 網膜色素変性症患者
  • アミオダロン塩酸塩(経口剤)を投与中の患者

バルデナフィルを服用してはいけない人

以下に該当する方はバルデナフィルを服用できません(参考3)。

  • 低血圧(安静時収縮期血圧<90mmHg)又は治療による管理がなされていない高血圧(安静時収縮期血圧>170mmHg又は安静時拡張期血圧>100mmHg)患者
  • 下記の疾患を患っている方

心血管系障害を有するなど性行為が不適当と考えられる患者(先天性のQT延長症候群、不安定狭心症のある患者、脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ヵ月以内にある患者など)、血液透析が必要な腎障害のある患者、網膜色素変性症患者は服用できません。

  • クラスIA又はクラスIIIの抗不整脈薬を投与中の患者
  • CYP3A4を阻害する薬剤を投与中の患者

タダラフィルを服用してはいけない人

以下に該当する方はタダラフィルを服用できません(参考4)。

  • 下記の疾患を患っている方

不安定狭心症、心不全(NYHA分類III度以上)、コントロール不良の不整脈、低血圧(血圧<90/50mmHg)又はコントロール不良の高血圧(安静時血圧>170/100mmHg)、心筋梗塞の既往歴が最近3ヵ月以内、脳梗塞・脳出血の既往歴が最近6ヵ月以内にある方は服用できません。

  • 重度の腎障害のある患者

まとめ

現在、EDの治療にはPDE5阻害薬が広く用いられています。ただし、持病や服用中の薬によっては使用できない場合があるため、必ず医師に相談のうえで治療を進めるようにしましょう

EDはデリケートな問題ですが、正しい知識を持ち、適切な対応をすることが治るきっかけに繋がる可能性があります。気になる症状がある場合は、専門医に相談することをおすすめします。

参考文献

(参考1)ED診療ガイドライン第3版

(参考2)医療用医薬品 : シルデナフィル 添付文書

(参考3)医療用医薬品 : バルデナフィル 添付文書

(参考4)医療用医薬品 : タダラフィル 添付文書