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2025.02.07
日常生活を送る中で足の親指の付け根や関節に突然激しい痛みがあらわれる痛風は、食生活の変化やストレスの増大などから近年増加傾向にあります。適切な治療を行わないと発作が再発したり、痛風結節や尿路結石などの合併症を起こすおそれがあるため、注意が必要です。この記事では、メカニズムや原因、どんな人がなりやすいのかなどの基本的情報と、予防や治し方について解説します。
目次
血液中で多くなり過ぎた尿酸が、足の親指の付け根や関節などで結晶化して炎症を起こす病気です。メカニズムやどんな人がなりやすいのかなど、痛風についての情報をこの記事ではご紹介します。
血液中で多くなり過ぎた尿酸が、足の親指の付け根や関節などで結晶化して炎症を起こすことで発作があらわれます。尿酸はプリン体が分解されるときにできる物質で、通常は血液中に溶けて存在しています。しかし尿酸がうまく排出できなかったり尿酸が体内で過剰につくられたりすると、血液中の尿酸が飽和溶解度を超えて関節などで結晶化してしまいます。尿酸塩結晶(尿酸が結晶化した物質)は体にとって異物であるために白血球が排除しようとするのですが、その際に炎症を起こす物質などを白血球が放出するため痛風の発作が起こります。
足の親指の付け根や関節に尿酸塩結晶ができ、それを白血球が排除しようとすることで痛風発作が起こってしまいます。尿酸塩結晶ができやすくなる要因の一つに、高尿酸血症(血液中の尿酸値が正常値の7.0mg/dl以上になっている)があげられます。高尿酸血症であっても必ず痛風発作が起きるわけではありませんが、高値の状態が長く続いたり数値が過剰に高かったりすると発症するリスクが高くなります。暴飲・暴食、偏った食事などの食生活の乱れ、過度の飲酒、肥満、激しい運動、ストレスの増加は高尿酸血症の要因となるため注意が必要です。また、腎機能の低下により尿酸の排出がスムーズにできなくなると、血液中の尿酸値の上昇を招いてしまいます。その他には、降圧利尿剤などの薬剤が関係していることもあります。
足の親指の付け根や関節に、突然激しい痛みや発赤、腫れや熱感などの症状があらわれます。「痛風」という名の通り、風が吹くだけでも痛むほど痛みが強いのが特徴です。足の親指の付け根に起こることが最も多く、足の甲やアキレス腱の付け根、足関節や膝関節、手関節に起こることもあります。症状は1カ所にあらわれることが多く、複数のカ所に同時にあらわれることはほとんどありません。痛みの程度やあらわれ方には個人差がありますが、多くは発症してから1日のうちに症状のピークを迎え、徐々に落ち着いていきます。7~14日ほどすると症状は自然に治まりますが、適切な治療を行わないと再発することが多いためきちんと治療することが大切です。突然発作が起きるといわれている痛風ですが、痛風発作を繰り返している人は、痛風発作が起こる半日~1日ほど前に発作が起こる予兆を感じることがあるといわれています。足の親指の付け根や手足の関節がムズムズする、チクチクした痛みを感じるなどの違和感がある場合には、発作が起きる前触れの可能性があります。
男性がかかりやすい病気で、痛風患者のうち9割以上を男性が占めています。男女差が大きく女性に少ない理由には、女性ホルモンの影響が挙げられます。女性ホルモンには尿酸の排出を促して、血液中の尿酸値が高くならないようコントロールする働きがあります。そのため、男性よりも女性ホルモンの分泌が多い女性は痛風になりにくいとされています。しかし閉経後は女性ホルモンの分泌が急激に減少するため、痛風にかかる女性がやや増えてしまうため注意しましょう。肥満とも関連が深く、肥満は尿酸値が上昇する要因となってしまうため、痛風になるリスクも高くなります。食生活も大きく関係しており、サンマやマイワシなどの干物、白子やレバーなどプリン体を多く含む食べ物を多く摂ると尿酸を増やしてしまいます。プリン体は肉や魚全般に中程度含まれていることが多いため、肉や魚を多く摂る人は注意が必要です。また、果糖が代謝されるときにも尿酸がつくられるため、果糖が多く含まれたソフトドリンクを多く飲む人も痛風になりやすいといえるでしょう。アルコールも尿酸値を上昇させるため、飲酒習慣のある人は痛風になるリスクが高くなります。特にビールや紹興酒はプリン体を多く含んでいるため、飲み過ぎないようにすることが大切です。その他、激しい運動をよくする人やストレスをためやすい人も痛風になりやすいといわれています。激しい運動によってエネルギーを大量に消費すると、ATP(アデノシン三リン酸)が分解されてプリン体が増え、尿酸値の上昇を招いてしまいます。また、ストレスがたまると代謝機能が乱れてしまい、尿酸の排出が低下することで痛風のリスクが上がると考えられています。
尿酸値が高いまま経過すると、皮膚や関節、耳介などに痛風結節(尿酸が結晶化してしこりとなったもの)ができることがあります。痛風結節は痛みを伴いませんが、皮膚にできたしこりが大きくなって目立つようになったり、関節にできたしこりが関節を変形させて動きを制限するおそれがあります。尿路結石も合併しやすい病気の一つです。尿路結石は腎臓や尿管、尿道など尿の通り道に結石ができてしまう病気で、三大激痛と呼ばれるほど強い痛みを伴うのが特徴です。痛風にかかっていると尿酸が主な成分である尿酸結石だけでなく、尿路結石でもっともよくみられるシュウ酸カルシウム結石の形成も促されます。尿路結石は再発率が高く10年以内に50~75%が再発するため、継続した生活習慣の改善と経過観察が必要です。また、尿酸塩結晶が腎臓に生じると腎機能が低下して腎不全になったり、腎臓に炎症が生じて痛風腎になるおそれがあります。
食生活を見直して、尿酸を増やさないようにするのが効果的です。プリン体を多く含むレバーや白子などの内臓、干物、肉や魚を摂り過ぎないようにしましょう。プリン体は水溶性なので、ゆでで調理すると減らすことができます。その際、ゆで汁は捨てるようにしてください。1日3食決まった時間に食事をし、いろいろな栄養素をバランスよく摂ることが大切です。カロリーをとり過ぎると肥満を招きやすくなるため、適切なカロリーになるよう心がけましょう。果糖が多く含まれているソフトドリンクはカロリーが高いだけでなく尿酸値も上昇させるため、飲み過ぎないようにすることが大切です。アルコールも尿酸を増やす原因となってしまうため、禁酒や節酒することをおすすめします。アルコールを飲む場合にはプリン体の多いビールや紹興酒を避け、プリン体の少ないウイスキーやプリン体がカットされた発泡酒、プリン体の全く入っていない焼酎を選ぶとよいでしょう。適度な運動は体重コントロールやストレスの発散に役立ちますが、負荷の強い無酸素運動を過度に行うと尿酸値が上昇してしまうため、ウォーキングやサイクリングなどの軽い有酸素運動がおすすめです。また、体の水分が不足すると尿酸値が上昇しやすくなるため、運動中もこまめに水分補給をして脱水を防ぎましょう。
痛風は、血液中で増えすぎた尿酸が足の親指の付け根や関節で結晶化し、炎症することで起こってしまいます。尿酸値が高くなると発作が起こりやすくなるため、食事内容や飲酒習慣、運動習慣などを見直して尿酸値のコントロールに役立てましょう。痛風は再発率が高く、適切な治療を行わないと尿路結石や腎不全などの合併症を起こすおそれがあるため、きちんと治療することをおすすめします。
【参考文献】「痛風」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる高尿酸血症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)「痛風」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる痛風|原因・症状・対策・予防法|大正健康ナビ|大正製薬アルコールと高尿酸血症・痛風 | e-ヘルスネット(厚生労働省)高尿酸血症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン.indb – c00476-1.pdf高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン.indb – c00476-1.pdf高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン.indb – c00476-1.pdf
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