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2025.02.12

トレチノイン・ハイドロキノン併用療法 | 治療の流れや注意事項を解説

「シミをできるだけきれいにしたい」「シミ治療により効果的な方法を知りたい」
そのような効果を得るために、トレチノインとハイドロキノンを併用した治療はよく使われる方法です。

肌の生まれ変わり(ターンオーバー)を促すトレチノインと、シミの原因となるメラニン色素の働きを弱めるハイドロキノンを併用することで、より高いシミへの効果を発揮します。

この記事では、トレチノインとハイドロキノンを併用することで得られる効果について詳しく解説します。

ハイドロキノンの基礎知識

ハイドロキノンは、自然に存在する化学物質のひとつで、強い漂白作用があり、シミや色素沈着の原因であるメラニン色素の生成を抑えます

ハイドロキノンの効果

ハイドロキノンにはシミを薄くしたり、シミを予防したりする効果が期待できます。

ハイドロキノンはメラニン色素の生成を抑える効果があり、メラニン色素の蓄積による肌の色素沈着を抑えることで、シミの発生を防ぎます。

ハイドロキノンの効果についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、ご参考になさってください。
「ハイドロキノンの効果について、詳しく解説いたします。」

トレチノイン・ハイドロキノン併用療法によるシミの治療

トレチノイン・ハイドロキノン併用療法は、それぞれの薬効によってより高いシミへの効果を発揮します
治療の流れや有効なシミの種類について詳しく見ていきましょう。

トレチノイン・ハイドロキノン併用療法の流れ

トレチノインとハイドロキノンを併用する場合は、以下の方法で始めることが一般的です。
必ず医師の指示に従っておこないましょう。

  1. 石けんで優しく洗顔する
  2. 化粧水とビタミンCが含まれたローションで顔全体を保湿する
  3. トレチノインを綿棒でシミの部分に薄く伸ばし1〜2分ほど時間をおく
  4. トレチノインが肌に浸透したら、ハイドロキノンをトレチノインより薄く広範囲に塗る

トレチノイン・ハイドロキノン併用療法は、主にこの方法から開始し、肌の様子を見ながら医師の指示どおりに薬剤の量や塗り方を調節していきます。治療中は肌が敏感になっているため、化粧をするときは日焼け止めやUVカット入りの化粧下地を塗りましょう。

トレチノイン・ハイドロキノン併用療法に有効なシミ

トレチノイン・ハイドロキノン併用療法は、すべてのシミに有効ではありません。
特に治療効果が期待できるシミは以下になります。

  • 老人性色素斑(年齢を重ねることで顔や手にできる茶色のシミ)
  • 炎症性色素沈着(ニキビ跡やキズの炎症後にできるシミ)
  • 日光性色素斑(紫外線ダメージによりできる茶色のシミ)
  • 肝斑(顔にできる左右対称の茶色のシミ)

生まれつき存在するシミやそばかす、茶色のホクロなども時間はかかりますが、効果が得られることが確認されています。
手のシミに対しても治療はできますが、手は顔の皮膚と比べると皮膚のターンオーバーが遅く、トレチノインへの反応が鈍いと言われています。

トレチノイン・ハイドロキノン併用療法の注意事項

トレチノイン・ハイドロキノン併用療法では、以下のことに注意しましょう。

■治療開始時の使用回数は1日2回(朝、夜)にする
治療開始時にトレチノインを塗布する回数は、基本的に1日2回にしましょう。
しかし、肌の状態によって使用回数が異なるため、必ず医師の指示に従ってください。

■シミの部分からはみ出さないように塗布する
トレチノインクリームを塗る際は、シミからはみ出さないように丁寧に塗布しましょう。
シミの境界がわかりにくい場合は、ギリギリまで塗らずに少し内側までに止めるといいでしょう。

■ハイドロキノンを塗る際は外から内に向かって塗る
ハイドロキノンを塗布するときは、事前に塗布したトレチノインを広げないように、外側から内側に向けて塗りましょう。

トレチノインの副作用をできるだけ予防するためにも、トレチノインを塗っていない部分から内側に向けてハイドロキノンを塗り広げてください。

トレチノインの基礎知識

トレチノインはビタミンA誘導体のひとつで、肌を健康に保つ効果を発揮します。
しかし、副作用が発生しやすいため、本来得られる作用や、注意点を事前に知っておく必要があります。

トレチノインの効果

トレチノインには、さまざまな肌トラブルのケアに効果的です。

肌のターンオーバーや皮脂の分泌の抑制、コラーゲンの生成などの作用があり、シミだけでなく、ニキビやシワの改善にも効果を発揮します。

トレチノインの効果についてはこちらでも解説しているのでご参考になさってください。
「トレチノインの効果 | 効果的に効くシミや正しい使い方を解説」

トレチノインの副作用

トレチノインは肌のターンオーバーを促す作用により、以下のような副作用があります。

  • 皮膚が赤くなる
  • ヒリヒリとした痛みがある
  • 皮膚がボロボロと剥がれ落ちる

トレチノインは肌の角質をはがす働きがあるため、使い始めはこれらの症状が出やすくなります。
数日間使用すると落ち着くことが多いですが、赤みや痛みなどの症状が強くでるような場合、医師や薬剤師に相談しましょう。

トレチノインを使用する上での注意点

トレチノインを使用するときには以下の点に注意しましょう。

■妊娠中・妊娠予定の方は使用できない
トレチノインに含まれるビタミンA誘導体が、産まれてくる赤ちゃんの奇形のリスクを高めることが報告されています。
そのため、妊娠中や妊娠予定のある方は使用できません。

■トレチノインの症状が強ければ使用を中止する
トレチノインの使用中は皮膚が赤くなったり、ボロボロと皮膚が剥がれ落ちたりしますが、刺激が強い場合は肌トラブルにつながることもあります。

以下の症状が見られたら、必ず医師に相談しましょう。

  • 非常に強い痛みがある
  • 血がにじんでいる
  • 洗顔できないほどひどくしみる
  • 赤みが非常に強い

ハイドロキノンの副作用

ハイドロキノンが5%以上含まれる薬剤には、以下のような副作用が報告されています。

  • 肌のかぶれ
  • 肌の痛みや赤み
  • 紅斑(炎症や刺激で皮膚にできる赤い斑点)
  • 白斑(肌の一部が白く抜けた状態)

長期間使用すると白斑ができやすいと言われているため、短期間での使用が推奨されています。

ハイドロキノンを使用する上での注意点

効果的にかつ安全にハイドロキノンを使用するために以下の点に注意しましょう。

■使用前にパッチテストをする
特に敏感肌やアレルギー体質がある方は、使用前に腕などにハイドロキノンを少量塗り、かぶれや赤みなどの副作用が出ないかを確認しましょう。
ハイドロキノンは濃度が高くなるほどかぶれやすいため、他の濃度で問題なかった場合でもパッチテストをすることをおすすめします。

■紫外線対策をする
ハイドロキノン使用中は肌が敏感になるため、肌の炎症や色素沈着が起きないように紫外線対策をしましょう。
外出時はSPF20以上の日焼け止めを使用したり、帽子や日傘を使用したりすることをおすすめします。

■副作用がでたら使用を中止する
ハイドロキノンは高濃度(4〜5%)になるほど副作用が出やすいです。
副作用が見られたら、すぐに使用を中止し医師に相談しましょう。

まとめ

トレチノイン・ハイドロキノン併用療法はシミ治療に効果的な方法です。
肌のターンオーバーを促すトレチノインとシミの予防に効果的なハイドロキノンを併用することで、より高いシミ治療の効果が実感できるでしょう。

しかし、これらの薬剤は肌の赤みや痛み、白斑などの副作用が起こる可能性もあるため、必ず医師の指示に従うことが重要です。

治療効果をより安全に発揮させるために、正しい方法で使用し、健康的な美白肌を目指しましょう。

【参考文献】
KEGG トレチノイン
シワ形成メカニズムと抗シワ製品 日本香粧品学会誌 Vol. 43, No. 2, pp. 113–118 (2019)
化粧品成分オンライン「ハイドロキノンの基本情報・配合目的・安全性」
香粧会誌「しみのメカニズムから治療まで」
常盤薬品工業株式会社 開発研究所 和歌山県 医科大学皮膚科学教室「分光画像解析 を用いたハイ ドロキノンの色素沈着改善の評価」 
環境省「化学物質の環境リスク評価 第5巻[21]ヒドロキノン」