fbpx

2025.01.09

芍薬甘草湯の効果 | 期待できる効能や正しい服用方法を解説

芍薬甘草湯に期待できる効果と効能

芍薬甘草湯は、主に筋肉の急激な痙攣(つり)や痛みを和らげる目的で使用される漢方薬です。

期待される効果としては以下の様なものがあります。

・筋肉のけいれんやこむら返り

・関節痛の緩和

・胃痛、腹痛の緩和

主成分である「芍薬」は筋肉の緊張を抑える作用があり、「甘草」は炎症を抑える効果を持つため、これらが相互に作用して痛みを軽減します。特に夜間のこむら返りに対する有効性が確認されており(参考1)多くの医療現場で利用されています。

芍薬甘草湯の正しい服用方法

一般的に成人には1日2~3回に分けて、食前または食間に服用します。ただし、患者の年齢、体重、症状に応じて適宜調整されるので、医師の指示に従ってください。

症状が改善した場合は、速やかに服用を中止することが望まれます。また、水分、できれば冷水ではなくお湯と一緒に服用することで吸収が良くなり、効果を最大限に引き出すことができます。

芍薬甘草湯を服用するうえでの注意点

1.服用期間

毎日飲んでも大丈夫なのか?という疑問を持たれるかもしれませんが、長期的に服用することはお薦めしません。長期服用による芍薬甘草湯の重大な副作用として偽性アルドステロン症があります。重度の低カリウム血症、高血圧、横紋筋融解症、代謝性アルカローシスなどが引き起こされる疾患です。

30日以上の服用でリスクが高まるというデータがあり(参考3)、

症状が出た時に服用し、症状がなくなれば服用を中止するという形が基本となります。

2.飲み合わせの注意点

併用薬によって低カリウム血症のリスクが高まる場合があり、飲み合わせに注意が必要です。特にグリチルリチン製剤、利尿薬、ステロイド剤などのカリウム低下を引き起こす薬剤と併用した場合に頻度が高いことが確認されています。(参考4)

このような薬との併用をしないように、医師や薬剤師からよく指導を受けてください。

3.飲んではいけない方(禁忌)

・アルドステロン症の患者さん

・ミオパチーのある患者さん

・低カリウム血症のある患者さん

はこれらの症状を増悪させる恐れがあるので服用禁忌とされています。(参考1)

芍薬甘草湯の副作用

先ほど触れた偽性アルドステロン症が重大な副作用として挙げられますが、これ以外に副作用として挙げられているものは以下のような物があります。

・過敏症(頻度不明)                                         症状:発疹、発赤、瘙痒など。

・消化器(頻度不明)                                         症状:悪心、嘔吐、下痢など。

いずれも頻度は低く(参考1)症状がある時に服用し、症状がなくなれば服用中止するという形の短期服用であれば、安全性と有効性が確認されています。(参考2)

まとめ

芍薬甘草湯は、筋肉の痙攣や痛みを迅速に緩和する効果があり、多くの患者さんにとって安全かつ有効なお薬です。ただし、副作用や禁忌事項を十分に理解し、必要な場合は医療従事者の指導を受けることが必要です。

特に長期間の使用や他の薬剤との併用には注意が必要です。正しい服用方法を守ることでこむらがえりや筋肉の痙攣(つり)、筋肉痛や腹痛の緩和など、患者さんに大きな効果をもたらします。

参考文献                                              (参考1)ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒(医療用) https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/medley-medicine/prescriptionpdf/460026_5200067D1049_1_16.pdf                       (参考2)Effect of Orally Administered Shao-Yao-Gan-Cao-Tang (Shakuyaku-kanzo-to) on Muscle Cramps in Maintenance Hemodialysis Patients: A Preliminary Study | The American Journal of Chinese Medicine https://www.worldscientific.com/doi/abs/10.1142/S0192415X03001144                 (参考3)Analysis of clinical factors associated with Kampo formula-induced pseudoaldosteronism based on self-reported information from the Japanese Adverse Drug Event Report database | PLOS ONE https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0296450               (参考4)芍薬甘草湯誘因性低カリウム血症発現に及ぼす種々の併用薬の影響 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphcs/33/8/33_8_687/_article/-char/ja/