便秘とストレスの関係性 | 原因や改善方法、便秘の危険な症状を解説

便秘が起こる背景には、日々のストレスが深く関わっている場合があります。本記事では、ストレスと便秘の関係性をわかりやすく解説し、その改善方法や注意すべき危険なサインについても紹介していきます。

ストレスによって便秘になる原因

便秘はストレスによって引き起こされることがあります(参考1)。その主なメカニズムは次の通りです。

ストレスで便秘になるメカニズム

腸は脳と深くつながっていて、脳がストレスを感じるとその影響が腸にも現れることがあります(参考1)。ストレスにより自律神経が乱れ、腸の動きが悪くなることで、便秘が引き起こされることがあるのです。

また、便秘そのものがストレスになり、それがさらに症状を悪化させる、という悪循環に陥ることがあります(参考1)。

ストレスで便秘になった場合の改善方法

ストレスによる便秘を改善するための方法として、ストレスを避ける事が挙げられます。自分なりのストレス解消法を身につけたり、ストレスの少ない生活環境を整えることで、便秘の改善が期待できます(参考1)。

また、便秘の原因となる「腸の動き」を健康に保つような生活習慣を続けることも重要です(参考1)。主な方法は以下の通りです(参考1、2)。

• 適度な運動

腸は体を動かすことで元気に動き出す場合があります。そのため、運動を習慣にすることで、便秘の予防が期待できます。特に、ウォーキングなどの有酸素運動や、腸壁マッサージは腸の動きを活発にするのに効果が期待できます。毎日のちょっとした運動が、腸の健康に大きな影響を与えます。

また、こうした運動はストレス発散にも効果が期待できるため、「ストレスが原因の便秘」でお悩みの方には特におすすめです。

• 食事量の改善

便を出すためには、まずしっかり食事をとって、腸に必要な材料を供給することが大切です。そのため、ダイエットなどで極端に食事を減らすことは、便秘の原因になります。

• 水分及び食物繊維の摂取

便を適度な柔らかさに保つためには、十分な水分が必要です。また、食物繊維は便のかさを増やし、腸を刺激して排便を促す作用が期待できます。そのためには、野菜や果物などを積極的に食べることが大切です。

ストレスによる便秘は、「心のケア」と「生活の見直し」の両方から取り組むことで、少しずつ改善が期待できます。

一般的な便秘の解消方法を詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

「便秘の解消方法 | 日々できることや便秘の種類を詳しく解説」はこちらから

便秘薬を使用した便秘の治し方

つらい便秘が続くと、生活に大きな支障をきたすこともあります。そんなときは、症状や体質に合った薬を使って、腸の働きを整えていくのがおすすめです。主なものは以下の通りです(参考2)。

• 浸透圧性下剤

腸に水分を引き寄せ、便をやわらかくして排便しやすくすると考えられているお薬です。刺激は比較的少ないとされ、便がかたくて出にくいときに使われることが多いです。副作用として、下痢やお腹の張りといった症状が見られることがあります（参考6）。

また、腎機能に問題のある高齢の方や、ガラクトース血症のある方では使えない種類もあるため、使用にあたっては医師とご相談いただくことが大切です（参考6）。

• 上皮機能変容薬

腸の壁に作用して水分の分泌を促し、便が通りやすくなるよう働くとされるお薬です。比較的、長期的に使用しても効果が続きやすいという特徴があります。一方で、下痢や腹痛などが起こることもあるため、体調の変化には注意が必要です（参考7）。

また、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方、腸の通り道が何らかの原因でふさがっている状態（消化管閉塞）がある方は、使用できない場合があります(参考7)。使用前には必ず医師にご相談ください（参考7）。

一般的に便秘の治療に使われる薬を詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

「便秘治療に使われる薬 | 服用方法や選ぶ時に注意するべきことを解説」の記事はこちらから

便秘の基礎知識

便秘というと「数日出ないこと」と思われがちですが、実際は「出にくさ」や「残った感じ」も含まれます(参考3)。

便秘は、腸の動きが弱くなったり、体内の水分が不足して便が硬くなることで起こります。その結果、いきんでも出にくい、すっきりしない、残った感じがするなどの不快な症状があらわれるのです(参考3)。

便秘について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

「便秘とは | 症状や原因、治療方法や解消方法を詳しく解説」の記事はこちらから

便秘の危険な症状

次のような症状がある場合は、市販薬や自己判断で対処せず、すぐに医療機関を受診してください(参考4)。

• 強い腹痛・吐き気・発熱がある場合

腸が詰まる「腸閉塞」や、腸に穴があく「腸穿孔」、またはクローン病などの重大な病気の可能性があります。

• 便に血が混じっている場合

痔が悪化した可能性もありますが、大腸がんや直腸潰瘍といった深刻な病気が隠れていることもあります。精密な検査が必要です。

「便秘 危険な症状」内部リンク

便秘治療に使用される漢方薬

漢方薬は、体質や症状の特徴に合わせて処方されるのが一般的です。特に便秘治療では、体力のある方向けの「実証タイプ」と、体力のない方向けの「虚証タイプ」に分けて薬が選ばれます(参考５)。

実証タイプの便秘に用いられる漢方薬

• 大黄甘草湯
• 桃核承気湯
• 防風通聖散
• 調胃承気湯

虚証タイプの便秘に用いられる漢方薬

• 潤腸湯
• 麻子仁丸
• 桂枝加芍薬大黄湯
• 大建中湯

これらのお薬は、腹痛や下痢などの副作用があらわれることがありますので、使用の際には注意が必要です。症状や体質に合った使い方が大切ですので、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

「漢方薬 便秘」内部リンク

まとめ

便秘は、ストレスや生活習慣の乱れなどの理由によって悪化することがある一方で、正しい知識とケアによって改善も可能です。腸と心のバランスを整えることが、快適な毎日への第一歩になります。無理せず、自分に合った方法を見つけて、少しずつ腸に優しい生活を取り入れてみてください。症状が続く場合は、我慢せず専門家に相談することも大切です。

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参考文献

(参考1)生活習慣と排便異常 細田誠弥

(参考2)便秘について-便秘治療の進歩 市川雪

(参考3)便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症

(参考4)日本臨床内科医会

(参考５)慢性便秘の治療―漢方薬の種類とその使い方―

(参考6)浸透圧性下剤

(参考7)慢性便秘の治療一上皮機能変容薬、胆汁酸トランスポーター 阻害薬の使い分け一