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2025.04.29

脇の多汗症 | 原因や症状、診断基準や治療方法を詳しく解説

脇の多汗症(腋窩多汗症)は、日常生活に支障をきたすほど脇汗が異常に多く出る状態を指します(参考1)。本記事では、脇の多汗症の原因や症状、診断のチェック項目や治し方について詳しく解説します。

脇の多汗症の原因

脇の多汗症は、原因によって大きく2つに分類されます(参考1)。

  • 原発性(特発性)腋下多汗症

明らかな原因がないものを指します。汗腺そのものに異常は見られず、発汗機能の過剰な働きが原因と考えられています(参考1)。

  • 続発性腋下多汗症

脳梗塞や内分泌疾患など他の疾患によって引き起こされる場合があります(参考1)。また、神経や脳の障害によって特定の部位で汗がかけなくなり、体がその不足を補おうとして腋下で過剰に汗をかく「代償性発汗」もこれに分類されます(参考1)。

なお、脇汗は、特に体温調節や精神的ストレスへの反応によって分泌されます(参考1)。また、脇は他の部位と比較して、低い体温でも汗をかきやすい特徴を持っているため、注意が必要です(参考1)。

脇の多汗症の症状

脇の多汗症は、両脇に左右対称に過剰な発汗が見られるのが特徴で、時には手のひらや足の裏にも汗をかくことがあります(参考1)。また、精神的なストレスに強く反応して、長時間汗が止まらないこともあります(参考1)。なお、脇は腕で覆われるため汗が蒸発しにくく、実際よりも発汗量が多いように感じやすくなっています(参考1)。

脇の多汗症は衣服に汗ジミが出来やすいことから、社会生活や仕事に影響が及ぶことがあります(参考2、3)。第二次性徴を迎える思春期あたりに症状を自覚することが多い傾向にあります(参考1)。

  • 精神面への影響

多汗症の症状の影響が対人関係に及ぶことにより、不安障害やうつ傾向を併発する場合があります(参考1)。多汗症治療を行うことにより精神症状が改善する可能性がありますが、発汗が改善しても精神症状が続く場合もあります(参考1)。その場合、他の病気や心の問題が関係している可能性もあるため、追加の検査や専門的な治療が必要になることもあります(参考1)。

脇の多汗症の診断基準

局所多汗症(脇などの限られた部分の多汗症)は、原因がはっきりしないまま6か月以上、汗が多い状態が続く場合に診断を考えます(参考4)。以下の6項目のうち2つ以上あてはまる場合に多汗症と診断されます(参考4)。

  • 最初に症状がでたのが25歳以下である
  • 左右対称に発汗がみられる
  • 睡眠中は発汗が止まっている
  • 1週間に1回以上多汗のエピソードがある
  • 家族に同じ症状の人がいる
  • 日常生活に支障をきたしている

脇の多汗症の治療方法

原発性腋窩多汗症と診断された場合、以下の順に、体への負担が少なく、費用も抑えられる治療から順番に進めることが推奨されています(参考1)。

  1. 「10~20%塩化アルミニウム外用*」や「抗コリン外用薬(効果があれば継続する)」の使用、または併用
  2. 「BT-A局注*(50~100U/腋窩)(効果があれば継続する)」
  3. 「抗コリン内服薬」、「神経ブロック」、「心理療法」の検討
  4. 「機器による治療*」

他の治療が効かなかった場合に、よく説明した上で実施されます。

  1. 「交感神経遮断術」の実施

重症で、保存的治療に抵抗があり、患者が強く希望する場合にのみ実施されます。

*「10~20%塩化アルミニウム外用」、「重度以外の多汗症を対象としたBT-A局注」、「機器による治療」は保険適用外なのでご注意ください(参考1)。

脇の多汗症の対策方法

脇の多汗症には、主に以下の対策法が用いられます(参考5)。

  • 衣類を清潔に保つ
  • タオルを持ち歩く
  • わき汗パッドの使用
  • 制汗剤の使用

多汗症の基本情報

多汗症とは、日常生活に支障をきたすほど異常に発汗が多くなる状態のことです(参考1)。多汗症の発汗は主に、頭や顔、手のひら、足の裏、そして脇の下などに現れます(参考1)。これらの部位で異常に汗をかくことで、生活に大きな不快感を与え、社会的な場面や仕事に影響を与えることもあります。

「多汗症とは多汗症とは | 原因やセルフチェック方法、治療方法を詳しく解説」の記事はこちらから

多汗症の種類

多汗症は発汗の範囲や原因によって次のように分類されます(参考1)。

【発汗の範囲による分類】

  • 全身性多汗症

体全体で異常に汗が増える状態です。

  • 局所性多汗症

脇の下、手のひら、足の裏など、一部の場所だけで汗が増える状態です。

【発汗の原因による分類】

  • 原発性(特発性)多汗症

特別な原因がなく発症します。

  • 続発性多汗症

何らかの病気の影響によって起こる多汗症です。

なお、続発性の全身多汗症の場合は結核などの感染症や、甲状腺機能亢進症や褐色細胞腫などの内分泌異常、神経疾患、薬の影響などによって起こります(参考1)。

一方、続発性の局所性多汗症の場合、Frey症候群などによって起こります(参考1)。

まとめ

脇の多汗症は、脇の下で異常な発汗が起こる疾患で、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。治療の目的は患者の生活の質を改善することにあり、個別の状態に合った治療法を選択することが重要です

自分に合った脇の多汗症の治療法を相談したい場合は?

脇の多汗症は、日常生活に支障をきたすほどの発汗が続く状態です。治療が必要かどうか、また治療法の変更については、内科や皮膚科で相談することが基本です。

しかしそれでも、

「平日の日中は仕事が忙しくて、病院に行けない…」

「できるだけ早く治療を始めたい…」

という悩みを抱えている方もいるでしょう。そのような場合は、オンライン診療で医師に相談してみるのも一つの方法です。デジタルクリニックグループでは、オンラインで24時間365日診療が可能です。

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参考文献

(参考1)日本皮膚科学会ガイドライン 原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版 

(参考2)Kamudoni‌P,‌Muller‌B,‌Halford‌J.‌et‌al:‌The‌impact‌ of hyperhidrosis‌ on‌ patients’‌daily‌ life‌ and‌ quality‌ of‌ life:‌a‌  qualitative‌ investigation,‌ Health‌ Qual‌ Life‌ Outcomes,‌  2017;‌15:‌121.

(参考3)藤本智子,大勝寛通,深山 浩ほか:腋窩多汗症の患者 意識調査:インターネットアンケート調査608人の結果報告,日臨皮会誌,2022;39:431―439.

(参考4)‌Hornberger‌J,‌Grimes‌K,‌Naumann‌M.‌et‌al:‌Recognition,‌

 diagnosis‌ and‌ treatment‌ of‌ primary‌ focal‌ hyperhidrosis,‌J‌ Am‌ Acad‌ Dermatol,‌2004;‌51:‌274―286.

(参考5)Murota‌H,‌Fujimoto‌T,‌Ohshima‌Y‌et‌al:‌Cost-of-illness‌ study‌ for‌ axillary‌ hyperhidrosis‌ in‌ Japan,‌J‌Dermatol,‌

 2021;‌48:‌1482―1490.