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2025.04.26

腋臭症(ワキガ)になる人の割合 | 原因やメカニズム、治療方法も解説

腋臭症(ワキガ)はわきの下から独特なにおいが発せられる状態であり、日常生活に影響を及ぼすこともあります。この記事では、腋臭症の発症割合、においが発生する仕組み、そして効果が期待できるワキガ対策や治し方について、わかりやすく解説します。

どれくらいの割合の人が腋臭症(ワキガ)になっている?

腋臭症(ワキガ)の人の割合は、地域の違いなどによって次のように大きく異なります。

日本の腋臭症(ワキガ)人口は?

腋臭症は、特に「湿った耳垢(湿型耳垢)」の人に多いことがわかっています。日本人の約16%が湿型耳垢であり、そのうち約80%が腋臭症を有するとされています(参考1)。

これをもとにすると、日本人全体の約10%、つまり10人に1人ほどが腋臭の体質を持っていると推定されます(参考1)。

世界の腋臭症(ワキガ)人口は?

世界的に見ると腋臭症の有病率は地域によって大きく異なります

北東アジアでは5〜20%と日本と同程度かやや高い水準にとどまりますが、南アジアや中央アジア、太平洋諸島、北米の先住民では50〜70%に達します(参考1)。

さらに西欧やアフリカ系の人々では、腋臭症の体質を持つ人がほぼ全員(97〜100%)とされています(参考1)。つまり、日本人は腋臭症の有病率が比較的低い部類に属すると言えます。

腋臭症(ワキガ)の基礎知識

私たちの体には「汗腺」と呼ばれる器官があり、これは汗を出す働きをしています。この汗腺には2種類あり、ひとつは体温調節に欠かせないエクリン腺、もうひとつはにおいの原因になりやすいアポクリン腺です。

腋臭症(ワキガ)は、主に脇の下にあるアポクリン腺が関係しています。ここから出る汗そのものに強いにおいがあるわけではなく、皮膚にいる菌がそれを分解することで、においが発生します(参考1)。

どれくらいにおいが強くなるかは人によって異なります。その差は、アポクリン腺の数が多いかどうか、そして1つ1つの腺の大きさにも左右されると考えられています。つまり、腺が多くて大きい人ほど、においが目立ちやすいのです(参考1)。

腋臭症(ワキガ)にみられる特徴

腋臭症のある方には、身体的な特徴としていくつかの共通点が見られることがあります。代表的なのは、湿ったタイプの耳垢(いわゆる湿型耳垢)です(参考1)。そのほかにも、腋毛が太くて量が多い、衣類の脇部分が黄ばんでしまいやすい、汗をかきやすい体質(多汗症)を併せ持つことがある、などが挙げられます(参考1)。

なお、アポクリン腺は脇の下だけにあるわけではありません。耳の中や乳輪、陰部などにも分布しており、腋以外の部位からもにおいを感じるケースがあります(参考1)。

腋臭症(ワキガ)のメカニズム

腋臭症とは、脇の下から特有の強いにおいを発する状態のことです(参考2)。その主な原因は、アポクリン腺という汗腺から分泌される特有の成分にあります(参考2)。

実は、アポクリン腺の汗自体にはにおいがありません。しかし、皮膚の表面に生息している常在菌がこの汗の成分を分解することで、においの元となる代謝物が生まれるのです(参考2)。この反応によって、腋臭特有のにおいが発生します(参考2)。

腋臭症(ワキガ)は何歳から起こる?

腋臭症は思春期に第二次性徴が現れる時期に発症することが多く、特に20歳前後でそのにおいが強くなる傾向があります(参考1)。さらに、女性の場合は月経周期と関係しており、月経前や月経中に腋臭が強くなることが確認されています(参考1)。

腋臭症(ワキガ)は遺伝する?

※腋臭症(ワキガ)は、遺伝的要因が関わる疾患とされています(参考1)。特に、この体質は「優性遺伝」と呼ばれる形で遺伝することがわかっています。

つまり、両親のどちらかが腋臭症であれば、その子どもも腋臭症を遺伝しやすくなる傾向があります(参考1)。

腋臭症の検査

腋臭症の診断には、ガーゼテスト法が最も一般的に推奨されています(参考1)。この検査では、まず腋の下にガーゼを約5分間挟み、その後、医師がにおいの有無を確認します(参考1)。

さらに、アポクリン腺の分泌を確認する負荷試験や、試験切開法なども診断を補助する検査として使用されることがあります(参考1)。

腋臭症(ワキガ)の治療方法

腋臭症の治療方法としては、以下のような方法が挙げられます(参考1、3)。

  • 消毒薬含有製剤

消毒薬が含まれた外用薬を使うことで、腋臭の改善が期待できます。この方法は、皮膚に常在する細菌の活動を抑え、においを引き起こす物質の産生を減らす効果があります。ただし、効果を得るためには継続的に使用することが必要で、副作用にも注意が必要です。

  • 抗生物質

抗生物質を使用することで、一時的に腋臭が軽くなることもあります。しかし、常在菌が耐性を持ちやすく、さらに感染症のリスクも伴うため、慎重に使用するべきです。

  • 腋毛の処理

腋毛を処理することも、腋臭を予防する一つの方法とされています。腋毛が汗を広げやすく、その結果においを拡散させることがあるため、毛を処理することでにおいの広がりを防ぐ効果が期待できます。

  • 市販の制汗剤、デオドラント剤

制汗剤は汗の分泌を一時的に抑える働きがあり、デオドラント剤はにおいの原因を抑える、または香りで隠す効果が期待できます。

最近では両方の効果を兼ね備えた製品も販売されていますが、新しい製品については長期間の使用による安全性が十分に確認されていない場合もあるため、注意が必要です(参考4、5、6)。

  • 生活習慣の見直し

ストレスを減らす、赤身肉や脂肪分の多い食事を控えることで腋臭の軽減が期待できます(参考7、8、9)。また、こまめな入浴や皮膚の清潔を保つことも、においの一時的な軽減に役立つと考えられています。

  • 外科的治療法

外科治療では、アポクリン腺を取り除く「皮下剪除法」が一般的に行われます。

なお、手術はにおいが日常生活に支障をきたす場合に行われますが、においの感じ方は個人によって異なるため、患者本人が悩んでいても手術の対象にならない場合もあります。

また、手術後に腋臭が軽減するケースは多いですが、完全に消失するわけではなく、再発の可能性もあるため、その点にも注意が必要です。

「腋臭症(ワキガ)にオススメの治療方法 | 対策方法も詳しく解説」の記事はこちらから

まとめ

腋臭症(ワキガ)は、アポクリン腺の分泌物と皮膚常在菌によって引き起こされる体質です。思春期以降に目立ちやすく、遺伝的要因や生活習慣も影響している可能性があります。

対策や治療により腋臭の改善が期待できるため、お悩みの方は医師にご相談ください。

自分に合ったワキガ治療を相談したい場合は?

腋臭症(ワキガ)は、体質によって臭いの強さや出方が異なり、本人にしか分からない悩みを抱えることも少なくありません。

市販のデオドラントで改善しない場合や、汗の量・臭いが日常生活に支障をきたすようであれば、専門の医療機関への相談がおすすめです。

ただ、それでも、

「平日の日中は仕事が忙しくて、病院に行けない…」

「すぐに相談・治療を始めたい…」

といった声もあるでしょう。

そのような場合には、オンライン診療で医師に相談するという選択肢もあります。

デジタルクリニックグループでは、オンラインで24時間365日、腋臭症の診療が可能です。薬の処方や日常ケアのアドバイスも受けられます。

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参考文献

(参考1)日本形成外科学会 腋臭症診療ガイドライン

(参考2)腋臭症(わきが)のニオイの原因となる菌を遺伝子レベルで解析 ーファージ由来の抗菌剤の開発に期待!一

(参考3)日本形成外科学会 腋臭症(わきが)

(参考4)Kanlayavattanakul M, Lourith N. Body mal-

odours and their topical treatment agents. Int J

Cosmet Sci, 33: 298-311, 2011

(参考5)Dravnieks A, Krotoszynski BK, Lieb WE. Influ-

ence of an antibacterial soap of various effluents from axi|lae. J Soc Cosmetic Chemists, 19: 611-

26, 1968

(参考6)Elsner P. Antimicrobials and the skin physiologi-

cal and pathological flora. Curr Probl Dermatol,

2006; 33: 35-41, 2006

(参考7)Havlicek J, Lenochova P. The effect of meat consumption on body odor attractiveness. Chem

Senses, 31: 747-52, 2006 (IV)

(参考8)Wilke, Martin A, Terstegen L, et al. A short history of sweat gland biology. Int J Cosmet Sci,

29: 169-79, 2007

(参考9)Martin, Hellhammer J, Hero T, et al. A Effective prevention of stress-induced sweating and axil-lary malodour formation in teenagers. Int J Cos-met Sci, 33: 90-7, 2011