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2025.04.22

妊娠中に使用できる便秘薬 | 解消方法や妊娠中の便秘についても解説

これまで便秘を経験したことがなかったのに、妊娠してから便秘がちになったという方は多いのではないでしょうか。お腹が張ったり、便が固くてスムーズに排便できなかったりして不快に思った経験があるかもしれません。

今回は、妊娠中に使用できる便秘薬について解説します。日常生活でできる便秘の解消方法や妊娠中に便秘になりやすい理由も紹介しますので、妊娠中の便秘にお悩みの方はぜひ参考にしてください。

妊娠中の使われる便秘薬

妊娠中に便秘薬を使用する際は医師または薬剤師に相談の上、適切に使用しましょう。薬局やドラッグストアで販売されている便秘薬のなかには、妊娠中に使用できないものもあります。

自己判断は避け、医師と相談することが大切です。(参考1 )妊娠中に処方される便秘薬には、主に以下のようなものがあります。

酸化マグネシウム錠

酸化マグネシウム錠は大腸内の水分を増やして、便をやわらかくする薬です。腸のぜん動運動を促し、便を送り出してスムーズな排便を助けます。(参考2、3)

酸化マグネシウム錠はクセになりにくく、長期間使用しやすい薬です。目安としてコップ1杯以上の水と一緒に服用することが望ましいとされています。(参考4、5)

酸化マグネシウム錠について知りたい方は、こちらもお読みください。

「酸化マグネシウム 便秘薬」内部リンク

妊娠中に使われる便秘薬(酸化マグネシウム錠以外)

⓵パントシン

パントシンは、パントテン酸を主成分とする内服薬です。パントテン酸はビタミンの一種で、肉類や乳製品、きのこ類など幅広い食品に含まれています。(参考6)通常の食生活で欠乏症になるケースは少ないものの、厚生労働省の調査によると20〜30代の女性は1日の摂取目安量を下回っており、働き盛りの世代を中心に不足傾向にある物質です。(参考7)

パントシンは、腸のぜん動運動が弱まって便が排出されにくくなる弛緩(しかん)性便秘の改善が期待できるとされています。(参考8、9)薬の形状には錠剤・散剤・細粒剤があります。

②モビコール配合内用剤

モビコール配合内用剤は、高分子量化合物に電解質を添加したポリエチレングリコール製剤です。腸内の電解質バランスを維持して大腸内の水分量を保持し、便のカサを増やしてやわらかくする作用があります。便のカサを増やして腸のぜん動運動を促し、便通を整える仕組みです。(参考10)

モビコール配合内用剤は、水に溶かして服用します。酸化マグネシウムなどを使用しても、改善しない便秘に処方される便秘薬の1つです。(参考10)

③ラキソベロン内服液

酸化マグネシウムやモビコール配合内用剤を使用しても、改善しない便秘に使用されます。ラキソベロン内服液は、大腸粘膜を刺激してぜん動運動を促すタイプの便秘薬です。習慣性を避けるため、症状が強いときのみの屯用や短期間での使用が勧められています。(参考10)

ラキソベロン内服液は滴下して水に溶かし、服用するタイプの便秘薬です。目安とする滴下量を基準に、症状に応じて滴下量を調節できるメリットがあります。(参考5)

日常生活でできる便秘の解消方法

⓵十分な水分と食物繊維をとる

食物繊維のなかでも、海藻類や果物などは便をやわらかくし、根菜やきのこ類、豆類などは便のかさを増やして腸のぜん動運動を促します。腸内環境を整える善玉菌を含むヨーグルトなども積極的に摂取しましょう。(参考2、11、12)

②体調がよいときに運動をする

つわりが落ち着いたら、かかりつけ医や助産師と相談の上、運動をするのもおすすめです。腹筋を使う運動や激しい動きは避け、ウォーキングやマタニティヨガ、ストレッチなどを無理なく習慣的に続けるとよいでしょう。運動は便秘解消とともに、出産に備えた体力づくりやストレス発散にもなります。(参考11、12、13)

③ストレスをためない

妊娠中は赤ちゃんと母体への影響を考えて制限することが多くなったり、環境や自身の身体の変化に不安を感じたりとストレスを抱える方も少なくありません。ストレスによる自律神経の乱れは、便秘を引き起こす場合もあります。好きなことをしたり、家族や友人、医療スタッフなど多くの人と話したりとストレスを溜めないように心がけましょう。(参考11)

便秘の解消方法について知りたい方は、こちらもお読みください。

「便秘の解消方法 | 日々できることや便秘の種類を詳しく解説」はこちらから

妊娠中の便秘の基礎知識

もともと便秘ではなかった方も、妊娠中は便秘がちになるケースは少なくありません。便が硬くなって排便時にいきむ習慣がつき、痔になってしまう方もいます。痛みや腫れを伴う痔にならないようにするには、便秘の予防が大切です。(参考11、12)

妊娠中に便秘になりやすい理由

妊娠中は妊娠を維持するホルモン、プロゲステロンが分泌されます。このプロゲステロンが腸の動きを抑えるため、妊娠中は便秘になりやすいといわれています。また、妊娠中期以降は子宮が大きくなり、腸が圧迫されるのも妊婦が便秘になりやすい要因です。(参考11、12)

特に、妊娠初期はつわりによる食生活の変化や水分不足が、便秘を招く場合もあります。さらに、妊娠期は腰痛足のむくみが起こりやすく、運動不足になりがちです。運動不足は腸のぜん動運動を低下させ、便秘を引き起こしやすくなります。(参考11、12)

妊娠中の便秘について知りたい方は、こちらもお読みください。

「妊娠 便秘」内部リンク

まとめ

妊娠中は、ホルモンや子宮が大きくなる影響によって今まで便秘を経験したことのない方も便秘になりやすい時期です。

便秘解消には食事や運動など生活習慣を見直しつつ、なかなか改善しないときには便秘薬を使用する場合があります。

デジタルクリニックグループでは、オンライン診療便秘の相談や適切な便秘薬の処方が可能です。

オンライン診療をご希望の場合、下記からご予約ください。

(参考1)厚生労働省’’妊娠と薬’’’

(参考2)一般社団法人 日本臨床内科医会’’便秘’

(参考3)愛知県薬剤師会’’妊娠・授乳と薬’’

(参考4)愛知県薬剤師会’’Q11.薬を服用するときの水の量は、薬の効果に影響がありますか?’’

(参考5)一般社団法人愛知県薬剤師会”薬事情報センター|5.便秘’’

(参考6)公益財団法人長寿科学振興財団’’パントテン酸の働きと1日の摂取量’’

(参考7)厚生労働省’’日本人の食事摂取基準(2025年版)|ビタミン(水溶性ビタミン)

(参考8)一般財団法人日本医薬情報センター(JAPIC)‘‘医薬品インタビューフォーム|パンテチン製剤‘‘

(参考9)徳島県医師会’’弛緩性便秘-速効性下剤や漢方薬効果的に-’’

(参考10)日本消化管学会’’便通異常症診療ガイドライン2023慢性便秘症’’

(参考11)公益社団法人日本助産師会’’妊娠中の標準的な健康教育’’

(参考12)こども家庭庁出生前検査認証制度等啓発事業’’妊娠中の検査に関する情報サイト’’

(参考13)公益財団法人日本産婦人科学会‘’産婦人科診療ガイドライン産科編2023’’