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2025.04.22

便秘とは | 症状や原因、治療方法や解消方法を詳しく解説

お腹が張って違和感を感じ、よく考えたら排便が滞っていることに気付いた経験のある方は多いのではないでしょうか。何日でないと便秘なのか、どんな状態になったら治療すべきなのか、わかりづらいと感じる方もいるでしょう。

今回は、便秘の症状や原因などの基礎知識や治療方法を解説します。便秘解消方法も紹介しますので、便秘に悩まされている方も参考にしてください。

便秘の基礎知識

便秘とは、便が腸の中にとどまって不快に感じたり、排便時に苦痛を伴ったりする状態です。1〜2日排便がなくてもすっきりと便が出ているなら便秘とはいえず、一方で毎日便が出ていても、量が少なくて常に残便感がある場合は便秘の可能性があります。

2022年に行われた厚生労働省の調査によると、便秘の自覚症状のある人の割合は全体で約36%、65歳以上では約71%です(参考1)。65歳以上の高齢者は、性別に関わらず便秘に悩む方が増える傾向にあります(参考2)。

便秘の症状

便秘には排便の回数が減少するタイプと便が出せないタイプがあり、2つを合併しているケースもあります。便秘の主な症状は、以下のとおりです。(参考2)

・兎糞便(とふんべん)や硬便など便が固い

・自発的な排便が週に3回未満である

残便感がある

・強くいきむ必要があるほど便が出にくい

兎糞便(とふんべん)とは、ウサギの糞のようなコロコロとした便です。黄褐色の半練り状で、するりと出る健康な便に比べると、とても固いのがわかります。(参考4)

便秘が持続するとお腹が張って苦しくなったり、食欲がなくなったりする方も少なくありません。なかには、吐き気や嘔吐の症状を呈する方もいます。

「便秘 危険な症状」内部リンク

便秘になってしまう原因

一般的な便秘の原因は、主に以下のとおりです。(参考3、5)

・水分不足

体内の水分が不足すると、便中の水分が大腸に吸収されて便が硬くなります。硬くなった便は腸内をスムーズに移動しづらく、腸内にとどまる時間が長くなってしまいます。便が腸内にとどまる時間が長くなればなるほど、水分がさらに吸収されて便が硬くなるという悪循環に陥りがちです。

・運動不足

身体を動かすと腸が刺激され、便を送り出す腸のぜん動運動が促されます。運動不足の状態では腸への刺激が少なくなり、腸のぜん動運動が弱くなりがちです。また、運動不足の方は、腹筋の筋力が低下している場合も少なくありません。腹筋が弱いと肛門に十分な圧力をかけられず、排便時に便が押し出されにくくなります。

緊張やストレスが高い

ストレス状態が続くと、自律神経がアンバランスな状態になることがあります。自律神経の乱れによって大腸の動きが不規則になって、排便前の腹痛に悩まされたり、便秘と下痢を繰り返したりする方は少なくありません。大腸が強く収縮したときに、便が移動できず便秘になってしまいます。

上記のほかに、腸の閉塞や狭窄によって便が腸を通過できないケースもあります。このようなケースでは、原因となる腸の病気の治療が必要です。便意を我慢する習慣や薬の副作用も便秘の原因になり得ます。(参考3、5、6)

便秘の原因について詳しく知りたい方は、こちらもお読みください。

「便秘の原因 | 並行して起こりうる症状や改善方法を詳しく解説」はこちらから

何日出ないと便秘?

何日以上排便がなかったら便秘、との明確な基準はありません。週に3回以上の排便がない場合は日常的にお腹の張りがあり、排便困難に悩んでいる方が多いとされています(参考3)。

目安として週に3回以上おおよそ2〜3日に1回排便があるかどうかを基準に、便の性状や症状も含めて総合的に判断されるのが一般的です。

便秘 何日から の記事はこちら

「便秘 何日から」内部リンク

便秘の種類

原因別に分類すると、便秘には主に以下の4つの種類があります。(参考3、7)

⓵機能性便秘

機能性便秘は大腸や直腸、肛門の動きに問題があり、排便回数が減ったり、排便が困難になったりする状態です。食生活の偏りやストレス、旅行など環境の変化の影響を受けやすいとされています。機能性便秘は以下の3種類に分類されます。(参考3、7)

弛緩(しかん)性便秘

痙攣(けいれん)性便秘

直腸性便秘

弛緩(しかん)性便秘とは、大腸が便を送り出すぜん動運動が弱まって便が排出されにくくなるタイプです。腸内に長くとどまっている便は水分が吸収されて硬くなり、排便時に苦痛を伴います。

痙攣(けいれん)性便秘は、ストレスや自律神経の乱れにより大腸のぜん動運動運動が不規則になる便秘です。ウサギの糞のようなコロコロとした便が出たり、便秘と下痢を交互に繰り返したりします。

直腸性便秘は直腸の排便反射が弱まって、排便が起こりにくくなる便秘です。通常、便が大腸から直腸に届くと排便反射が起こり、肛門括約筋が緩んで排便にいたります。便意を我慢する習慣から、直腸に便が運ばれても便意を催しづらくなるのが直腸性便秘です。

②器質性便秘

器質性便秘は腸の腫瘍や炎症、閉塞によって便が大腸を通過しにくくなって起こる便秘です。主な原因には、大腸がんや潰瘍性大腸炎などが挙げられます。まずは原因となっている病気の治療が基本となります。(参考3、7)

③症候性便秘

全身の病気やホルモンの影響により、ぜん動運動が弱まって起こる便秘です。全身の病気には、甲状腺機能低下症や副甲状腺機能亢進(こうしん)症、神経疾患などが挙げられます。(参考3、7)

④薬剤性便秘

抗うつ薬や抗コリン薬などの使用はぜん動運動を抑える場合があります。抗コリン薬はパーキンソン病や気管支ぜん息、排尿障害などの治療に使用される薬です。(参考3、7)

便秘の種類について知りたい方は、こちらもお読みください。

「便秘 種類」内部リンク

便秘治療に使われる薬

⓵浸透圧性下剤

便の水分を増やして、便をやわらかくする便秘薬です。具体的な薬の例としては、酸化マグネシウム・カルボキシメチルセルロースナトリウム・ラクツロース・ジオクチルソジウムスルホサクシネートなどが挙げられます。(参考3、8)

②刺激性下剤 

刺激性下剤は大腸を刺激してぜん動運動を活発にし、排便を促します。主な刺激性下剤は、ピコスルファートナトリウム・ダイオウ・センナ・センノシドなどです。習慣性を避けるために、便秘の症状が強いときのみの短期間での服用がすすめられています。(参考3)

便秘の薬についてさらに詳しく知りたい方は、こちらもお読みください。

「便秘治療に使われる薬 | 服用方法や選ぶ時に注意するべきことを解説」 の記事はこちらから

便秘の解消方法

便秘解消には、まず食事や運動などの生活習慣を見直し、それでも改善しない場合には便秘薬の使用を考えましょう。以下に日常生活で気をつけたいポイントを紹介します。

⓵水分を十分に取る

目安として、1日に1.5L~2Lの水分摂取をおすすめします。(参考9、10)特に、のどの渇きを感じにくい高齢者や汗で水分が失われやすい夏の時期は水分を積極的に取りましょう。

②運動をする

腸のぜん動運動の促進に適している運動は、ウォーキングや気功のような有酸素運動です。腹部をねじるストレッチは腸の蠕動運動を促すとともに、自律神経のバランスを保つのに効果的だとされています。(参考10、11)

③食物繊維を取る

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく摂取しましょう。海藻類や果物などの水溶性食物繊維は、便をやわらかくします。一方の不溶性食物繊維は便のかさを増やして、大腸のぜん動運動を促します。不溶性食物繊維が多く含まれる主な食品は、根菜やきのこ類、豆類です。(参考9、11、12)

④腸内環境を整える

腸内に存在する腸内細菌は、消化吸収や腸の運動にも影響するといわれています。腸内細菌には善玉菌と悪玉菌があり、腸の運動を整えるのは善玉菌です。善玉菌を増やす乳酸菌を含むヨーグルトや発酵食品、善玉菌のエサとなるオリゴ糖などを摂取して腸内環境を整えましょう。(参考11、12)

⑤十分に睡眠をとる

休養である睡眠を十分にとり、生活リズムを整えましょう。一般的に、便意が起こりやすい時間は朝食後とされています。これは、空腹の時間が長い状態で胃に食べ物が入り、腸のぜん動運動が起こりやすいためです。(参考13)朝は余裕をもって起床し、トイレの時間を確保すると便秘予防にも役立ちます。

落ち着いて排便できる環境を整え、便意を感じたら我慢せずにトイレに行くことも大切です。洋式トイレで排便するときは、前かがみの姿勢をとるとラクに便が出せる傾向にあります。(参考11)

便秘の解消方法について知りたい方は、こちらもお読みください。

「便秘の解消方法 | 日々できることや便秘の種類を詳しく解説」はこちらから

まとめ

便秘かどうかは、目安として週に3回以上の排便があるかどうかを基準に便の性状や残便感も含めて総合的に判断されます。

便秘は原因によって対処法や治療が異なるため、食事や運動などの生活習慣を見直して改善しない場合には、医師に相談してみるのも1つです。

デジタルクリニックグループでは、オンラインでの診療が可能です。

オンライン診療をご希望の場合、下記からご予約ください。

参考文献

(参考1)厚生労働省’’2022年(令和4年) 国民生活基礎調査の概況’’

(参考2)結束 貴臣, 中島 淳.高齢者の便秘と課題.日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌.2023,27巻,号, 14-27.

(参考3)日本消化管学会’’便通異常症診療ガイドライン2023慢性便秘症’’

(参考4)一般社団法人愛知県薬剤師会”薬事情報センター|6.便でわかる体の調子’’

(参考5)国立がん研究センター東病院’’便秘’’

(参考6)徳島県医師会Webサイト”排便障害’’

(参考7)一般社団法人 日本臨床内科医会’’便秘’’

(参考8)一般社団法人愛知県薬剤師会”薬事情報センター|5.便秘’’

(参考9)国立がん研究センター’’がん情報サービス|一般の方へ|便秘’’

(参考10)独立行政法人国立病院機構北海道医療センター|消化器内科便秘外来’’便秘になったらどうしますか’’

(参考11)高野正太.慢性便秘症に対する食事療法,運動療法,理学療法.日本大腸肛門病会誌.2019,第72巻,第10号, 621-627.

(参考12)国立がん研究センター東病院’’下痢・便秘がある方のお食事’’

(参考13)細田誠弥.生活習慣と排便異常.順天堂医学.2004、第50巻,4号, 330-337.