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2025.04.22

便秘による腰痛 | 原因や対処方法、便秘の種類を詳しく解説

腸内に便やガスがたまって大腸が圧迫されるなどの腸内への異常刺激が、腰や背中の痛みとして認識される可能性があるとする報告があります(参考1)。つまり、便秘と腰痛は必ずしも無関係とは言い切れないと考えられています。

また、慢性的な便秘はこのような腹痛や下痢を招く可能性があるだけでなく、大腸がんなどの深刻な病気リスクとも関連しているのです。本記事では、便秘が腰痛を引き起こす原因とその対処方法、さらに便秘改善策や便秘の種類などの基礎知識をまとめて解説します。

便秘になると腰痛になる?

便秘によって腸内に便が長く留まると、直腸や大腸が硬く膨張し、周囲の神経や筋肉、背骨を圧迫します。この圧迫が腰や背中の痛みを誘発し、内臓への負担増加が自律神経の乱れを招いて腰痛を悪化させる場合もあります。加えて、便秘に伴う腹痛が反射的に腰部へ広がり、全身のバランスを崩すといった因果関係も考えられるでしょう(参考2,3)。

便秘による腰痛を放置するとどうなる?

便秘を放置すると、前述の通り腸内に残った便がさらに硬化してぜん動運動が低下し、内臓への圧迫が強まります。その結果、背骨周辺の神経や筋肉に慢性的な痛みが定着しやすくなります。

さらに腸内環境が悪化して悪玉菌が増えることで有害物質の吸収が進み、大腸がんなど重篤な疾患リスクも高まるため、早めに受診して原因を確認することが大切です(参考4)。

便秘による腰痛の対処方法

ここまでの内容を踏まえると、便秘と腰痛の両方の症状がある場合には、便秘症状を改善することで腰痛も改善する可能性があります。もし腰痛の症状がつらいときは、以下の方法で緩和を図ってみましょう。

  • 温熱療法
    おなかや腰を温めることで血行が促進され、筋肉のこわばりがほぐれて内臓の圧迫が軽減されやすくなります(参考5)。
  • 軽い運動
    散歩やストレッチ、腹筋運動を行うと全身の血流が改善し、腸のぜん動運動が活性化して便通がスムーズになります(参考6)。
  • 姿勢の改善
    長時間同じ姿勢を避け、定期的に体勢を変えることで腰への負担を減らしましょう。

便秘を解消する方法

便秘を根本から改善するには、生活習慣の見直しが欠かせません。次のポイントを意識して日々取り組みましょう(参考7)。

  • 十分な水分摂取
    水分が不足すると便が硬くなり排出しにくくなります。1日1.5〜2リットルを目安にこまめに水分補給を行い、便を柔らかく保ちましょう。
  • 食物繊維を意識した食事
    野菜・果物・海藻・豆類など食物繊維を多く含む食品を積極的に摂ることで、大腸に適度な刺激を与え便量を増やします。ヨーグルトや納豆などの発酵食品で腸内環境を整えるのも効果的です。
  • 適度な運動習慣
    ウォーキングやストレッチ、腹筋運動などの軽い運動を毎日続けると、腸のぜん動運動が活発になり便通改善につながります。
  • 規則正しいトイレ習慣
    便意を感じたら我慢せずにトイレへ行く癖をつけ、毎朝同じ時間に排便する習慣を身につけると、大腸のリズムが整います。

これらは医療機関での治療と並行して行うことも可能です。まずは無理なく続けられる方法から試してみましょう。

便秘の解消方法については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。

「便秘の解消方法 | 日々できることや便秘の種類を詳しく解説」の記事はこちら

便秘の基礎知識

いわゆる慢性便秘は、一般的には「排便の回数」だけでなく便の硬さや残便感なども含めた状態を指します。

日本消化管学会が編集した慢性便秘症診療ガイドライン2023では、慢性便秘症を「本来排泄すべき糞便が大腸内に滞ることによる兎糞状便・硬便、排便回数の減少や、糞便を快適に排泄できないことによる過度な努責、残便感、直腸肛門の閉塞感、排便困難感を認める状態」と定義しています(参考7)。

慢性的な便秘は腹痛や腰痛を招くだけでなく、日常生活の質を下げ、重篤な病気リスクも高めます。

便秘の種類

便秘にはいくつかの種類があり、長期間続く「慢性便秘症」はその原因や腸の動きによってタイプが分かれます。代表的なものに「弛緩性便秘」「痙攣性便秘」「直腸性便秘」があります(参考7)。 

  • 弛緩性便秘
    大腸の筋肉の力が弱まり、便を送り出す動き(ぜん動運動)が低下することで、便が腸に長く留まり硬くなるタイプです。運動不足や加齢、食物繊維不足などが原因となります。 
  • 痙攣性便秘
    ストレスや自律神経の乱れによって大腸が過度に緊張し、腸が痙攣するように収縮してしまう便秘です。便がコロコロと小さく硬くなり、お腹の張りや痛みを伴うこともあります。
  • 直腸性便秘
    便意を我慢する習慣などにより直腸(肛門に近い腸)の感覚が鈍くなり、便が直腸に留まって出にくくなるタイプです。便意を感じにくくなるため、硬い便が蓄積し排便しにくくなります。 

このように、便秘にはいくつかのタイプがあり、それぞれ原因が異なります。自身の症状に合った対策が大切です。

なお便秘の種類については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。

「便秘の種類 | 便秘になってしまう原因や解消方法も詳しく解説」の記事はこちら

まとめ

便秘による腰痛は、便やガスによる大腸の圧迫、筋肉の緊張、自律神経の乱れなどが重なって起こっている可能性があります。まずは生活習慣の改善や温熱療法、軽い運動などで便秘の緩和を図ってみましょう。

症状が長引く場合や血便・激痛がある場合は、大腸がんなど重篤な病気を早期に発見するためにも医療機関での検査・受診が不可欠です。自分の体調に耳を傾け、便秘と腰痛を両面からケアして健やかな毎日を取り戻しましょう。

なお、デジタルクリニックグループでは、オンラインで24時間365日便秘に関する治療相談が可能です。
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(参考1) Whorwell PJ. “Back pain and irritable bowel syndrome.” Gastroenterology. 2004;127(5):1648‑1649. 
(参考2) Ness TJ, Metcalf AM, Gebhart GF, et al. “A psychophysiological study in humans using phasic colonic distension as a noxious visceral stimulus.” Pain. 1990;43(3):377–386.
(参考3) Bordoni B, Morabito Bほか. 「Symptomatology Correlations Between the Diaphragm and Irritable Bowel Syndrome」. Cureus. 2018;10(7):e3036.
(参考4) Dang Y, He X, Liu X, Wang Y, Geng S, Cheng Y, Ma H, Zhao X. “Causal associations between constipation and pan‑cancer: a bidirectional Mendelian randomization study.” Front Oncol. 2024;14:1428003.
(参考5) Nagashima Y, Igaki M, Suzuki A, et al. “Application of a Heat‑ and Steam‑Generating Sheet Increases Peripheral Blood Flow and Induces Parasympathetic Predominance.” Evid Based Complement Alternat Med. 2011;2011:965095.
(参考6) Cui J, Xie F, Yue H, et al. “Physical activity and constipation: A systematic review of cohort studies.” J Glob Health. 2024;14:04197.
(参考7) 日本消化管学会. 「便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症」. 南江堂. 2023年7月13日.
(参考8) 佐野村誠ほか. 「慢性便秘症診療における大腸内視鏡の役割」. 日本消化器内視鏡学会雑誌. 2021;63(1):7–17.