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2025.04.20

高血圧の治療薬 | 種類や副作用、服用する際の注意点を詳しく解説

※高血圧の治療薬の種類

高血圧の治療薬にはいくつかの種類があり、それぞれが異なる作用で血圧を下げます。主な種類をガイドラインに沿って紹介します(参考1、参考2)。

1.血管を広げる薬

・カルシウム拮抗薬:血管の収縮を引き起こすカルシウムの流入を防ぎ、血管を広げて血圧を下げます。

2.血管を収縮させる物質をブロックする薬

・ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬):血管を収縮させるアンジオテンシンⅡの働きをブロックして血圧の上昇を抑えます。

・ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬:アンジオテンシンⅡを生成する酵素の働きを抑え、血圧の上昇を抑えます。

3.血液量を減らす薬

・利尿薬:余分な塩分水分を排出して血液量を減らし、血圧を下げます。

4.心臓の過剰な働きを抑える薬

・β遮断薬:β受容体を遮断することで交感神経への刺激を抑制し、血圧の上昇を抑えます。

これらの薬は、単独で使用されることもあれば、複数の薬を組み合わせて治療することもあります。患者さんの症状や高血圧を引き起こしている原因に応じて最適な治療法が選ばれます。

高血圧の薬の副作用

高血圧の薬を使用することで血圧は正常に戻ることが期待されますが、時には副作用が現れることもあります。高血圧の治療薬の主な副作用をガイドラインに沿って紹介します(参考3、参考4)。

1.血管を広げる薬

・カルシウム拮抗薬: 血管拡張作用による過降圧、動悸、頭痛、ほてり感、顔面紅潮、浮腫、便秘など

2.血管を収縮させる物質をブロックする薬

・ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬): 高K血症、腎機能悪化、胎児への影響により妊婦への投与は禁忌

・ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬: ARBと同様に妊婦への投与は禁忌、高血圧、腎機能悪化、ほかに空咳、血管神経性浮腫など

3.血液量を減らす薬

・利尿薬:血液量の減少に伴う脱水症状、高尿酸血症、高中性脂肪血症、耐糖能低下、低Na血症、低K血症、低Mg血症など

4.心臓の過剰な働きを抑える薬

・β遮断薬:徐脈、糖・脂質代謝障害、気管支喘息の悪化

副作用は全ての患者に現れるわけではなく、個々の体質や薬の種類、服用状況によって異なります。副作用が気になる場合は、自己判断せず、医師に相談することが重要です。

高血圧の治療薬を服用する際の注意点

高血圧の治療薬を服用する際には、いくつかの重要な注意点があります。また、漢方薬を取り入れることも考えられる場合がありますが、その前に基本的な服薬管理についてお話しします。

自己判断で薬の併用はしない

高血圧の治療薬を服用する際は、自己判断で他の薬を併用しないようにしましょう。特に糖尿病や肥満、高尿酸血症などの代謝異常がある場合、高血圧を合併している確率も高く注意が必要です。薬を組み合わせることで効果が高まる場合もありますが、副作用が強く現れたり薬の効果が減少したりすることもあるため注意が必要です(参考5)。

例えば、カルシウム拮抗薬β遮断薬を併用すると、低血圧や心不全、心拍数が低下することもあります。また、ARBと利尿薬やカリウム補充薬を併用すると、高カリウム血症になるリスクもあります(参考5)。

薬を追加したり、変更したりする際は必ず主治医と相談してください。

治療薬を飲み忘れたときは?

薬を飲み忘れてしまった場合の対策について紹介します(参考1)。

  • 次の服用時刻が近い場合: 飲み忘れた分は飛ばして、通常の服用スケジュールに従います。
  • 次の服用まで十分な時間がある場合:飲み忘れに気づいた時点で、次の服用までまだ時間がある場合、忘れた分をすぐに服用します。

いずれの場合も飲み忘れた薬を2回分一度に飲むのは避けましょう。過剰な摂取により副作用を引き起こす恐れがあるため、次回の服用まで待つことが推奨されています。

高血圧の治療に効果が期待できる漢方薬

「高血圧 漢方薬」内部リンク

現状、高血圧に対する漢方治療は科学的根拠が十分ではありません。また、漢方薬による高血圧治療は随伴症状の改善を主目標としていることが多く、結果として血圧の数値が低下することもありますが併用薬との相互作用効果の確認が必要です。以下に高血圧へ効果があるとされる漢方薬を一部紹介します(参考6、参考7)。

・黄連解毒湯(おうれんげどくとう):のぼせ、顔面紅潮などの随伴症状を認める高血圧患者に対して有用と推測されています。

・七物降下湯(しちもつこうかとう):体質虚弱ながら胃腸の働きが比較的良い高血圧患者には、降圧効果や高血圧随伴症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭重など)を改善する可能性があると推測されています。

・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):比較的体力があり動悸や不眠、いらだちなどの精神症状のある軽症高血圧患者に対して有用であることが推測されています。

ただし、漢方薬も全ての人に合うわけではなく、体質によって効果が異なる場合もあります。漢方薬を試す前には、必ず主治医に相談することが重要です。

まとめ

高血圧の治療薬にはさまざまな種類があり、その選択は個々の原因や症状に応じて行われます。副作用が出ることもあるため、薬を服用する際には必ず主治医や薬剤師の指示に従いましょう。漢方薬の併用が検討されることもありますが、こちらも医師に相談の上で使用することが推奨されます。高血圧の管理には継続的な治療と生活習慣の改善が大切です。自分の生活も振り返りながら対策していきましょう。

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参考文献

(参考1)特定非営利活動法人日本高血圧学会.「一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子 高血圧の話」

(参考2)田中友里.(2023).「1 高血圧と降圧薬の仕組み」.透析ケアVol.29,No.11

(参考3)田中翔平ほか.(2020).「降圧薬療法の基本(JSH2019より)」.日本臨牀Vol.78,No.2

(参考4)厚生労働省医薬食品局(2014).「ARB及びACE阻害剤の妊婦・胎児への影響について」.医薬品・医療機器等安全性情報.No.316

(参考5)宮崎俊明ほか.(2010).「薬物相互作用(18―降圧薬の薬物相互作用)」.岡山医学会雑誌Vol.122

(参考6)植松立弥ほか.(2017).「高血圧における漢方治療のエビデンス」.日本医事新報No.4875

(参考7)並木隆雄ほか.(2006).「高血圧症と漢方薬」.血圧Vol.13,No.2