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2025.04.20

エゼチミブの副作用 | 服用する際の注意事項や効果・効能を解説

エゼチミブ(先発品名:ゼチーア)は小腸でのコレステロール吸収を阻害する高コレステロール血症治療薬です。脂質異常症(高脂血症)の改善を目的に服用する際には、どのような副作用に注意すべきか理解することが大切です。

この記事では、エゼチミブの効能と副作用、注意点、対処法などについて解説します。

エゼチミブ服用時に注意するべき副作用

エゼチミブを服用する際には、副作用に対する理解が重要です。副作用の種類や発現する確率、万が一副作用が現れたときの対処法を見ていきましょう。

エゼチミブの副作用としては、様々な症状が報告されています。

  • 消化器系の症状

便秘、下痢、腹痛、腹部膨満、悪心・嘔吐など

  • 肝機能への影響

血中のALT上昇、γ-GTP上昇

  • 筋肉への影響

血中のCK(※)上昇

  • 皮膚症状

発疹

(※)CK:筋肉の収縮に関係する酵素

これらの副作用は飲み始めの初期に現れても軽度なものが多く、服用を続けるうちに徐々に改善していきます。なお、スタチン系薬剤(HMG-CoA還元酵素阻害剤)との併用で脱毛が生じた報告もあります。いずれも、症状が続く場合や悪化する場合には医師への相談が大切です。

一方で、ときに重大な副作用が発現する場合があります。頻度は少ないものの、エゼチミブ服用中は下記のような重大な副作用が報告されています。

1.過敏症

過敏症状としてアナフィラキシー、血管神経性浮腫、発疹などが見られることがあります。呼吸困難をはじめ、まぶたや唇、舌、咽頭などの腫れ、発疹などが現れます。

2.横紋筋融解症

エゼチミブとの因果関係ははっきりしていませんが、まれに横紋筋融解症が起こる報告があります。主な症状は、筋肉痛、脱力感、手足の力が入らない、赤褐色の尿などです。

3.肝機能障害:AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇などを伴う肝機能障害

肝機能障害によって、全身の倦怠感や食欲不振、吐き気・嘔吐などが見られることもあります。

こうした重大な副作用に気づいたら、服用を中止してすぐに医師の診療を受ける必要があります。

また、他の持病がある場合、併用薬によっては頻度不明の有害現象が生じるリスクが高まる恐れがあるため特に注意が必要です。例えば、エゼチミブはスタチン系薬剤とよく併用されますが、肝機能や筋肉への影響で注意しなければなりません。下記の通り、エゼチミブを単独で使用するときよりも、肝機能や筋肉に異常をきたすALT値やCK値の上昇率が高くなるためです。

  • ALT上昇リスク

エゼチミブ単独投与時は1.5%なのに対し、スタチンと併用した場合は3.5%になる(参考1)

  • CK上昇リスク

エゼチミブ単独投与時は1.7%なのに対し、スタチンと併用した場合は2.7%になる(参考1)

こうした重大な副作用を避けるためには、定期的に血液検査をして基準値と比較することが重要になります。

エゼチミブの内服に注意が必要な方

エゼチミブにも内服に注意が必要な方がいます。

まず、エゼチミブ自体を服用できない方(禁忌)は下記の2つです。

  • エゼチミブの成分に対し過敏症やアレルギー反応などの既往歴のある方
  • 重篤な肝機能障害のある方(エゼチミブとスタチン系薬剤を併用する場合)

また、服用に注意が必要な方は以下になります。

  • 糖尿病患者
  • 肝機能障害のある方
  • 妊婦または妊娠している可能性のある方
  • 授乳中の方
  • 小児

これらに当てはまる方は、必ず医師に相談しましょう。

エゼチミブの正しい飲み方

エゼチミブの副作用を抑えつつ効果を得るためには、正しい服用方法を守る必要があります。

基本的な服用方法として、1回10mgを1日1回、食後に服用しましょう(成人の場合)。(参考1)また、年齢や症状により、医師の判断で用量が減量されることがあります。

エゼチミブを服用する際の注意事項

エゼミチブを服用する期間中は、飲み忘れに気づいたらできるだけ早く1回分を服用しましょう。ただし、次の服用時間が近い場合は1回分だけ服用し、2回分を一度に服用しないようにしてください。

併用注意薬もチェックしましょう。下記の薬剤と一緒に服用する際は特に注意が必要です。

  • 陰イオン交換樹脂(コレスチミド、コレスチラミンなど)
  • シクロスポリン
  • クマリン系抗凝固剤(ワルファリンなど)

エゼチミブの正しい飲み方がわからない場合や少しでも疑問のある場合は、必ず医師や薬剤師に相談してください。

エゼチミブの基礎知識

エゼチミブの効果・効能やメカニズムを見ていきましょう。

エゼチミブは、小腸にあるコレステロールトランスポーター(NPC1L1)に作用し、コレステロールの吸収を抑制する薬剤です。肝臓のコレステロール量も低下させ、結果として血中のコレステロール値を下げる効果があります。

LDLコレステロールが140mg/dL以上の場合に処方される高コレステロール血症(脂質異常症)治療薬として使用されることが多いです。(参考2)先発品は「ゼチーア」といい、エゼミチブは薬価が安価なジェネリック医薬品として広く使われています。

エゼチミブはスタチン系薬剤である脂質異常症の治療薬とは違ったメカニズムが特徴です。スタチン系薬剤が体内でのコレステロール合成を抑制するのに対し、エゼチミブは小腸でのコレステロール吸収を抑制します。そのため、高コレステロール血症や家族性高コレステロール血症などにおいて、両者を併用するとお互いの薬効を補い合う効果が期待できます。

エゼチミブに期待できる効果・効能

エゼチミブは次の脂質異常症に対して効果が期待できます。

  • 高コレステロール血症
  • 家族性高コレステロール血症
  • ホモ接合体性シトステロール血症

エゼチミブは単独でも効果を発揮しますが、スタチン系薬剤などの脂質異常症の治療薬と併用することで、より高い効果が期待できます。特に、スタチン系薬剤で十分なLDLコレステロールの低下が得られない場合、併用薬になる選択肢の一つです。

まとめ

エゼチミブは小腸でのコレステロール吸収を阻害することで、高コレステロール血症の治療に効果が期待できる薬剤です。主な副作用としては、便秘や下痢などの消化器症状、肝機能や筋肉に関わる検査値の上昇、発疹などが報告されています。重大な副作用として過敏症、横紋筋融解症、肝機能障害が報告されていますが、いずれも発現頻度は低いと考えられています。

脂質異常症でコレステロールを上手に管理するには、薬物療法だけでなく、食事療法や運動療法など生活習慣の改善も併せて行うことが大切です。エゼチミブを含む薬物治療を始めたい場合は、医師と相談しながら試していきましょう。

【参考文献】

(参考1)添付文書「エゼチミブ (エゼチミブ錠10mg「ケミファ」)」

(参考2)日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版」