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2025.05.13
当記事はデジタルクリニックグループ医師による監修のもと、正確な情報提供に努めています。
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脂質異常症の改善には日々の生活習慣の改善が欠かせません。具体的には、食生活や運動習慣を改め直すことが必要になりますが、どのように行えば良いのでしょうか?
この記事では、脂質異常症を改善するための方法や期待できる効果について解説します。各療法のポイントを知り、適切に取り入れて脂質異常症の改善を目指しましょう。
目次
脂質異常症を改善するために、まずは食事療法と運動療法を始めることが大切です。これらの方法で改善されない場合や、重篤な合併症のリスクがある場合などでは、薬物療法も必要になります。
脂質異常症の改善には食生活を見直し、血液中の脂質のバランスを整えることが大切です。
脂質異常症は、血液中のコレステロールや中性脂肪が過剰になる状態です。放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。以下に控えたほうが良い食品と積極的に摂りたい食品を紹介します。
■控えたほうがいい食品
動物性脂肪を多く含む食品(脂身の多い肉・バター・ラード・加工肉) や、トランス脂肪酸を含む食品(マーガリン・スナック菓子・ファストフード) は控えましょう。これらの食品は脂質異常症の原因になるLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増やし、血管に悪影響を与えます。
また、塩分の摂取を控えることも重要です。過剰な塩分の摂取は脂質異常症や高血圧症につながり、動脈硬化を進行させる原因になります。薄味の食事を意識したり、減塩の調味料を使ったりするなどの工夫をしましょう。
■積極的に摂りたい食品
脂質異常症を改善するために、魚や大豆製品、食物繊維を積極的に摂取しましょう。特に、青魚に含まれる EPA・DHAはLDLコレステロールを下げ、体に良い働きをするHDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やす効果が期待できます。
大豆製品(豆腐・納豆・味噌)に含まれるイソフラボンも、これらのコレステロール値を調整する効果が期待できます。さらに、食物繊維を多く含む食品(野菜・海藻・玄米・キノコ類)も、腸内で余分なコレステロールの吸収を抑えて排出を促してくれるため、意識して摂ると良いでしょう。
すべてを一度に改善するのは難しいかもしれませんが、無理のない範囲でできることから始めてみてください。
運動習慣は、血中のコレステロールや中性脂肪を適切なバランスに整え、動脈硬化を予防する働きがあります。特に、有酸素運動を継続することで、LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やす効果が期待できます。
有酸素運動とは、ウォーキング・ジョギング・サイクリング・水泳・エアロビクス などの、適度な負荷をかけながら長時間続ける運動です。週3〜5回、1回30分以上続けることで、脂質の代謝が促進され、血管の健康を維持しやすくなります。(参考1)
また、筋力トレーニングなどのレジスタンス運動も合わせると効果的です。ダンベルやゴムバンド、自重(スクワット・腕立て伏せ)を使い、筋力を強化します。
特に高齢者の場合は有酸素運動とレジスタンス運動を併用することで、基礎代謝が向上し、中性脂肪の燃焼がより効果的になります。体力や運動歴、身体活動状況には個人差があるため、運動を始める際は無理のない範囲で行いましょう。
運動療法をする際は、運動前後にしっかりとストレッチを行うことで、ケガのリスクが軽減できます。また、こまめに水分補給をすることも大切です。
このように、有酸素運動と筋力トレーニングをバランスよく組み合わせることで、脂質異常症の改善につながり、心血管疾患などの合併症のリスクを減らせます。
食事や運動の改善だけでは脂質異常症のコントロールが難しい場合、医師の指導のもと薬物療法を行うことが推奨されます。
薬物療法は、血液中のコレステロールや中性脂肪の値を適切な範囲に保つ目的で導入されることが多いです。代表的な薬には、スタチン系・フィブラート系・エゼチミブ・EPA製剤などがあります。薬を服用する際は自己判断で中断せず、医師の指導に従うことが重要です。
これら脂質異常症の薬の情報はこちらでより詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
「脂質異常症の治療に使われる薬 | 薬物療法をいつから始めるかも解説」 はこちらから
脂質異常症の改善には、食事・運動・薬物療法を組み合わせ、継続的に管理することが大切になります。
脂質異常症は、血液中の脂質量が異常値になり、血管や健康状態に悪影響を与える病気です。脂質異常症に影響を与える脂質は、LDLコレステロールとHDLコレステロール、中性脂肪になります。
LDLコレステロールは肝臓から全身にコレステロールを運ぶのに対し、HDLコレステロールは血管壁に付着した余分なコレステロールを肝臓に運ぶ脂質です。中性脂肪は体内のエネルギーとして主に使われます。
とくに、LDLコレステロールが多すぎると、血管に蓄積して動脈硬化を進行させます。HDLコレステロールが少なすぎると、血管の掃除機能が弱まり、血流が悪化します。
脂質異常症は自覚症状がほとんどなく、健康診断などの血液検査で発覚することが多いため、定期的な受診が重要です。
脂質異常症についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
「脂質異常症とは | 原因や診断基準、治療方法や改善方法を詳しく解説」 はこちらから
脂質異常症の主な原因は遺伝的要因と生活習慣の乱れです。
高カロリーな食事や糖質の過剰摂取は、血液中のコレステロールや中性脂肪を増やす原因となります。運動不足や喫煙、過度の飲酒も脂質のバランスを崩す要因です。
また、コレステロールを処理しにくい遺伝的な体質や、糖尿病や腎臓病などの基礎疾患が原因となる場合もあります。脂質異常症はさまざまな要因が重なることでリスクが高まるため、生活習慣の見直しや定期的な健康診断が大切です。
脂質異常症の原因についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
「脂質異常症の原因 | 診断基準や治療に使われる薬を詳しく解説」 はこちらから
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版によると、脂質異常症は、LDLコレステロール140mg/dL以上、HDLコレステロール40mg/dL未満、中性脂肪(空腹時)150mg/dL以上のいずれかに該当すると診断されます。また、総コレステロールからLDLコレステロールを引いた値(Non-HDLコレステロール)で診断される場合や、LDLコレステロールが120〜139mg/dLのケースでは「境界域高LDLコレステロール血症」と診断される場合もあります。(参考1、参考4)
脂質異常症は放置すると心血管疾患や脳卒中の原因になるため、定期的な血液検査を受け、早期発見に努めましょう。
脂質異常症の診断基準についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
「脂質異常症の診断基準 | 治療方法や治療目標値、合併症を詳しく解説」 はこちらから
脂質異常症で大きいリスクは動脈硬化の進行です。血管が狭くなることで心筋梗塞や狭心症、脳梗塞の発症リスクが高まります。
また、血液中の中性脂肪が高いと膵炎(すい炎)を発症するリスクが上昇します。さらに、脂質の代謝異常によって脂肪肝になりやすく、進行すると肝機能障害を引き起こします。
脂質異常症の合併症を防ぐためには、食生活を見直しながら運動習慣を身につけ、定期的な健康診断を受けることが大切です。
脂質異常症を改善するためには、バランスの取れた食事、適度な運動などの健康的な生活習慣が必要です。脂っこい食事や糖質の過剰摂取を控え、青魚や食物繊維を積極的に摂りましょう。
また、1日30分以上の有酸素運動を取り入れることで脂質代謝が改善されます。(参考1)禁煙やアルコールの適量摂取も、血管の健康を守るために不可欠です。
生活習慣を改めるだけで改善が難しい場合は、必要に応じて医師の指導のもと薬物療法を行うことも重要です。定期的に健康診断を受け、生活習慣の改善をしながら適切な対策をとり、健康維持を目指しましょう。
「参考文献」
(参考1)動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版 | 日本動脈硬化学会
(参考2)動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス2022年版|日本動脈硬化学会
(参考3)3─2 脂質異常症 | 厚生労働省
(参考4)脂質異常症 | e-ヘルスネット
(参考5)脂質異常症(基本) | e-ヘルスネット
(参考6)脂質異常症(実践・応用編) | e-ヘルスネット
(参考7)脂質異常症診療のQ&A | 日本動脈硬化学会
(参考8)手引き(脂質異常症) | 日本医師会
(参考9)動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス|日本動脈硬化学会
(参考10)脂質異常症(高脂血症)|日本生活習慣病予防協会
(参考11)レジスタンス運動 | e-ヘルスネット
(参考12)脂質異常症診療のQ&A | 日本動脈硬化学会
(参考13)脂質異常症を改善するための運動 |e-ヘルスネット
(参考14)循環器疾患予防のための脂質異常症治療の基本 | 日本循環器病予防学会誌,第56巻,第 1 号
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