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2025.05.13
当記事はデジタルクリニックグループ医師による監修のもと、正確な情報提供に努めています。
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脂質異常症は体内の脂質が過剰に高い状態で、生活習慣病の一つです。自覚症状が少なく、気づきにくい病気ですが、放っておくと重篤な状態につながることも。
この記事では、脂質異常症の原因や診断基準、治療方法などについて解説していきます。
目次
脂質異常症(高脂血症)は、血液中の脂質が異常値を示している状態です。主な脂質には、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(善玉コレステロール)、トリグリセライド(中性脂肪)があります。
LDLコレステロールは肝臓から全身にコレステロールを運び、動脈硬化を進行させる働きがあります。一方、HDLコレステロールは血管壁に付着した余分なコレステロールを肝臓に運び、体に良い働きをする脂質です。トリグリセライドは体内のエネルギーとして使われ、過剰に溜まると脂肪になります。
これらの脂質にはそれぞれ基準値があり、さまざまな原因によってこの基準値から外れると、動脈硬化などのリスクが高まります。
脂質異常症の原因には、以下のようなものがあります。
特に飽和脂肪酸(肉の脂身、マーガリン、ラード、生クリーム、加工食品など)や、糖質、脂っこい食べ物などはLDLコレステロールやトリグリセライドを上昇させやすいです。また、運動不足や肥満、喫煙習慣などにより、HDLコレステロールも低下しやすくなります。
脂質異常症の原因ついてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
「脂質異常症の原因 | 診断基準や治療に使われる薬を詳しく解説」 はこちらから
脂質異常症はほとんど自覚症状がありません。しかし、進行すると動脈硬化が起こり、あらゆる血管の病気が引き起こされる可能性があります。そのため、定期的に受診して検査を受けることが重要です。
また、300人に1人程度の割合で「家族性高コレステロール血症」という遺伝性疾患が現れることもあります。家族性高コレステロール血症では、手足の腱や皮膚に脂肪の塊ができたり、黒目のふちにコレステロールの色素が沈着して白い輪が現れたりすることがあります。20〜30代から心筋梗塞のリスクが高まるため、早めの診断と治療が重要です。(参考1)
出典:一般社団法人 日本動脈硬化学会「家族性高コレステロール血症(FH)とは?」
脂質異常症の診断基準は以下の通りです。(参考2)
出典:一般社団法人 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版」
(※)総コレステロールからLDLコレステロールを引いた値
脂質異常症はコレステロール値や中性脂肪値が基準値から外れていれば、痩せている人でも発症する可能性があります。すぐに治療が開始になるかどうかは、ほかの合併症の有無や医師の判断によります。
脂質異常症の診断基準についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
「脂質異常症の診断基準 | 治療方法や治療目標値、合併症を詳しく解説」 はこちらから
脂質異常症が進行すると、以下のような重大な合併症のリスクが高まります。
心臓の血管が細くなったり詰まったりした場合、狭心症や心筋梗塞を発症する可能性があります。突然の強い胸の痛みや息苦しさなどが生じます。
脳血管が詰まったり出血したりした場合、脳梗塞や脳出血などが起こる可能性があります。これらは運動麻痺、感覚障害、言語障害などの神経症状や、意識障害を引き起こし、最悪の場合、致死的な状態や後遺症が残ることもあります。
脚の血管が細くなった場合、閉塞性動脈硬化症が起こり、歩行中の脚の痛みが生じる可能性があります。
インスリンというホルモンが不足して血液中の糖(血糖)の濃度が高くなる病気です。喉の乾きや倦怠感、手足のしびれなどの症状が慢性的に起こるようになります。
これらの合併症を予防するためには、脂質異常症を適切に管理し、生活習慣を改善することが大切です。それには定期的な健康診断と医師の指示に従った治療が欠かせません。
脂質異常症の治療は主に、生活習慣の指導と薬物療法を組み合わせて行われます。まずは生活習慣の改善によって治療することが多いですが、冠動脈疾患の既往がある場合などには薬物療法が適応となります。
LDLコレステロールが高い場合に選択されるのは、合成を抑制するスタチン系製剤や、体外への排泄を促す陰イオン交換樹脂などです。トリグリセライドが高くHDLコレステロールが低い場合は、合成を抑制するフィブラート系薬剤や、魚の脂の作用で血液の粘度を減らすEPA製剤などが使用されます。
各薬剤の効能や副作用などについてより詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
「脂質異常症の治療に使われる薬 | 薬物療法をいつから始めるかも解説」 はこちらから
遺伝による重症例などでは、体外循環装置で血液からLDLコレステロールを除去する「LDLアフェレーシス」が実施されることもあります。
脂質異常症の治療目標値は以下になります。(参考3)
LDLコレステロールは、合併症の有無や年齢、喫煙習慣、血圧などから動脈硬化のリスクが高いと判断される場合ほど低く抑える必要があります。より詳細な治療目標値は、カテゴリー分類や医師の判断で決定されます。
出典:一般社団法人 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス」
脂質異常症を改善するためには、食事や運動などの生活習慣を改めることが大切になります。(参考3)
脂質異常症を改善・予防するためには、魚類や大豆製品などの伝統的な日本食を基本として食生活を送ることが大切です。運動は「ややきつい」と思える程度の速歩やスロージョギング、水泳などの有酸素運動を続けるようにしましょう。
脂質異常症の改善方法についてより詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
「脂質異常症の改善方法 | 各療法のポイントと期待できる効果を解説」 はこちらから
脂質異常症は、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライドが異常値を示す生活習慣病です。過食や運動不足、肥満、喫煙、遺伝などによって起こり、改善・予防するためには生活習慣の改善が極めて大切になります。
自覚症状がほとんどないため気づきにくく、定期的に検査を受けて体の状態を確かめることが重要です。年に1度の健康診断を受けながら、食生活や運動習慣などを改める意識を持ちましょう。
(参考1)一般社団法人 日本動脈硬化学会「家族性高コレステロール血症(FH)とは?」
(参考2)一般社団法人 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版」
(参考3)一般社団法人 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス」
(参考4)厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症」
(参考5)厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症(実践・応用)」
(参考6)全国健康保険協会 協会けんぽ「【脂質異常症】 コレステロールと中性脂肪がたまると…」
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