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2025.05.13
当記事はデジタルクリニックグループ医師による監修のもと、正確な情報提供に努めています。
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「ニキビができたら絶対に潰してはいけない」と言われていますが、気になって思わず指で押してしまった経験はありませんか? 膿が出てスッキリした気分になるかもしれませんが、ニキビを潰すことでニキビ跡が残りやすくなるだけでなく、炎症の悪化や感染症のリスクも高まります。
この記事では、ニキビを潰した場合に起こる問題点を紹介したうえで、その後の肌トラブルに対するケア方法、医療機関での治療法について解説します。
目次
ニキビが発生したとき、鏡を見ると潰したくなる衝動に駆られる方も多いのではないでしょうか。しかし、そんな衝動に負けてニキビを潰した場合、症状の悪化やニキビ跡などにつながるリスクがあります。
ニキビを潰すと、炎症物質が周囲の健康な皮膚に広がってしまう危険性があります。
「ニキビを潰すと中の膿が出るから良いのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、実際には膿を完全に出し切ることは難しく、むしろニキビの中に押し込んでしまう場合も少なくありません。
医師ではない素人がニキビを無闇に潰すと膿をしっかり排出できず、むしろ毛穴の奥深くに炎症が広がり、それが原因で治りにくいニキビになってしまうこともあります。
また、炎症を起こしていない白ニキビや黒ニキビの段階で潰すと炎症を引き起こし、赤ニキビや黄ニキビへと悪化させてしまうリスクも高まります。
ニキビを潰すと皮膚に小さな傷ができますが、その傷口から細菌が侵入するリスクも考慮しなければなりません。
日常生活で触れるものには様々な雑菌が付着しています。手洗いをしていても完全に除菌できているわけではなく、爪の間や指紋の溝には菌が残りやすいものです。
そのような状態でニキビを潰すと、雑菌が侵入して二次感染を引き起こす可能性が高くなります。二次感染が起こると炎症によって、赤みが強くなり、熱を持ち、痛みも増します。
ニキビを潰した後に残るニキビ跡が気になる方は多いです。
ニキビ跡には主に以下の3種類があります。
1.赤色・紫色の色素沈着
ニキビを潰すと血管の拡張や色素沈着により、赤色や紫色の跡が残ることがあります。このニキビ跡は「炎症後紅斑(えんしょうごこうはん)」と呼ばれ、数週間から数ヶ月かけて徐々に薄くなっていきます。
2.茶色の色素沈着(シミ)
ニキビを潰した後、炎症によってメラニン色素が過剰に生成され、茶色や黒っぽい色素沈着として残ることがあります。このニキビ跡は「炎症後色素沈着」と呼ばれ、正しいケアをしないと長期間残ることもあります。
3.クレーター(陥没したニキビ跡)
ニキビを潰した後に皮膚の深い層まで炎症が及び、コラーゲンなどの組織が破壊されると、肌表面がへこんだクレーター状の跡になることがあります。凹状のニキビ跡は自然治癒が難しく、専門的な治療が必要になるケースが少なくありません。
このように、ニキビを潰す行為は、皮膚の深層部(真皮)にダメージを与え、クレーター状のニキビ跡ができるリスクを高めます。
もしニキビを潰してしまった場合、正しいケアによってニキビ跡をできるだけ抑えられることがあります。ニキビを潰してしまった直後は、次のようなケアを心がけましょう。
低刺激の洗顔料でやさしく洗い、清潔な状態を保ちます。ゴシゴシと擦るのではなく、泡を転がすように洗いましょう。
市販薬のニキビ治療薬(ベンゼトニウム塩化物を含む製品など)で軽く消毒し、雑菌の繁殖を防ぎます。ただし、エタノールなどの強い成分は肌に刺激を与えることもあるため注意が必要です。
汁や膿が出ている場合は、ハイドロコロイド素材のニキビパッチを貼ると効果的です。このようなニキビパッチは傷口を保護するだけでなく、余分な分泌物を吸収し、湿潤環境を作ることで治癒を促進します。
ニキビを潰した箇所だけでなく、周囲の肌もしっかり保湿しましょう。バリア機能が低下した肌は刺激に弱く、回復も遅れがちになります。
ニキビを潰した後、ニキビ跡を悪化させないために以下のポイントを避けましょう。
スクラブ入り洗顔料や強いピーリング剤は、傷ついた肌に余計な刺激を与え、炎症を悪化させる恐れがあります。
ニキビを潰した直後の傷口にファンデーションなどを塗ると、毛穴を詰まらせたり、雑菌の繁殖を促したりする可能性があります。どうしても隠したい場合は、薬局で販売されている医療用のコンシーラーを使用しましょう。
紫外線はニキビ跡の色素沈着を濃くする原因になります。日焼け止めを使用し、直射日光を避けるよう心がけましょう。
気になってニキビやニキビ跡を何度も触る癖がつくことで、雑菌が付着し、治りが遅くなることがあります。できるだけ触らないように意識しましょう。
潰したニキビの治癒には、肌のバリア機能を回復させることが重要です。セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分を含むスキンケア製品を使用し、肌の回復をサポートしましょう。
ニキビを潰してしまった後、自宅でのケアだけでは不安な場合や炎症が強い場合は、医師の専門的な治療を受けましょう。
皮膚科医や美容皮膚科医は、患者さんの肌の状態に合わせて様々なニキビ治療法を選びます。
1. 薬物療法
クリンダマイシンや過酸化ベンゾイルを含む外用薬は、細菌の増殖を抑え、炎症を鎮める効果があります。
ステロイド外用薬は強い抗炎症作用がありますが、長期使用は避けるべきだと言われています。アダパレンが処方されるケースが一般的です。
トラネキサム酸やハイドロキノンなどを含む外用薬は、色素沈着を薄くする効果が期待できます。
2.施術による治療
微弱な電流を利用して、ビタミンCなどの有効成分を肌の奥深くまで浸透させる治療法です。赤みや色素沈着の改善に効果があります。
グリコール酸やサリチル酸などの薬剤を使用して、肌表面の古い角質を除去し、肌のターンオーバーを促進します。
レーザー照射により新しい皮膚細胞を活性化させる治療法で、クレーター状のニキビ跡にも効果が期待できます。
ニキビ跡の治療は早期に開始するほど効果的だと言われています。特に色素沈着は、早期治療によって、より早く症状が改善する可能性が高まります。
また、クレーター状のニキビ跡は、数種類の治療法を組み合わせることで、より効果的な改善が目指せます。例えば、フラクショナルレーザーとヒアルロン酸注入を組み合わせる「コンビネーション治療」などが注目されています。
ニキビの治療方法についてより詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
「ニキビの治し方 | 薬を使った治し方やセルフケア方法を詳しく解説」 はこちらから
ニキビ跡に悩まないためには、何よりもニキビを潰さないことが重要ですが、日常的なケアでニキビの発生や悪化を抑えることも大切です。具体的には以下の対策方法になります。
1.正しいスキンケア
朝晩2回、低刺激の洗顔料で丁寧に洗顔しましょう。(参考1)熱いお湯は避け、ぬるま湯で洗うのがおすすめです。洗顔後は、清潔なタオルで軽く押さえるように水分を拭き取ります。
洗顔後は必ず保湿を行いましょう。ニキビ肌でも保湿は必要です。油分の少ない、水分ベースの保湿剤や、「ノンコメドジェニック」(毛穴を詰まらせにくい)表示のある製品を選ぶと良いでしょう。
日焼け止めを使用し、紫外線によるダメージや色素沈着を防ぎましょう。ニキビ肌向けの、油分の少ない日焼け止めも多く販売されています。
過剰な角質は毛穴を詰まらせる原因になります。週に数回、低刺激のピーリング剤や酵素洗顔などを取り入れることで、健やかな肌環境を維持しましょう。
2.生活習慣の改善
ビタミンやミネラルを豊富に含む野菜や果物、良質なタンパク質を積極的に摂りましょう。特にビタミンCは肌の修復をサポートします。反対に、糖質や脂質の多い食事は、炎症を悪化させる可能性があるため、控えめにしましょう。
睡眠不足は肌のバリア機能を低下させ、ニキビを悪化させる原因になります。質の良い睡眠を十分に確保するよう心がけましょう。
ストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂分泌を増加させます。適度な運動やリラクゼーション、趣味など、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。
枕カバーやタオルは定期的に洗濯し、スマートフォンなどの指で触れる場面が多い物も除菌しましょう。また、髪の毛が顔に触れると雑菌が付着する可能性があるため、こまめに洗い、顔に触れないようにまとめるのもおすすめです。
アクネ菌の増殖を抑え、肌のバリア機能を高める有効成分としては、サリチル酸、グリコール酸、ナイアシンアミド(ビタミンB3)などが知られています。スキンケア製品を選ぶ際は、こういった成分を含むものを選ぶと良いでしょう。
また、ニキビができても決して自己判断で潰したり、副作用がわからない薬剤を使ったりせず、気になる場合は皮膚科を受診することが大切です。皮膚科では、必要に応じて専用の器具を使用して安全に膿を排出する「面皰圧出術(めんぽうあっしゅつじゅつ)」を行うこともあります。
さらに詳しいニキビ対策については、こちらもご覧ください。
「ニキビ 対策」内部リンク
ニキビを潰すことは、見た目を今すぐ手軽にどうにかしたいという気持ちから行ってしまいがちですが、長期的に見ると、自然治癒が難しいニキビ跡を生み出すリスクが高まります。
もし、ニキビを潰してしまった場合は清潔に保ち、正しい適切なケアで悪化を防ぎましょう。症状が気になる場合は、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
【参考文献】
(参考1)公益社団法人日本皮膚科学会「皮膚科Q&A:にきび」
(参考2)日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」
(参考3)添付文書「トラネキサム酸 (トラネキサム酸錠250mg「YD」 他)」(参考4)第一三共ヘルスケア「マキロン アクネージュ」
(参考5)公益社団法人日本皮膚科学会「皮膚科Q&A:ケミカルピーリング」
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