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2025.04.16

芍薬甘草湯の副作用 | 併用が禁忌の薬や服用時の注意点を解説

芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)は、筋肉のけいれんやこむら返りに効果がある漢方薬として知られていますが、服用にあたっては注意が必要な副作用があります。伝統的な方薬(調剤)の一つである芍薬甘草湯は、定められた使用法を守ることが重要です。

そこでこの記事では、芍薬甘草湯の副作用や併用が禁忌の薬、服用時の注意点について解説します。

芍薬甘草湯の注意するべき副作用

芍薬甘草湯で注意が必要な副作用に、低カリウム血症があります。低カリウム血症とは、血液中のカリウム値が低下し、重篤な場合はミオパチーと呼ばれる筋肉の疾患を引き起こす症状です。また、アルドステロン症(※)患者の服用は禁忌です。そのため、服用中は、医師による定期的な血液検査で血清カリウム値のチェックが推奨されています。

なお、低カリウム症の初期段階では以下のような症状が現れることがあります。

  • 筋力の低下や脱力感
  • 筋肉の痙攣
  • 不整脈
  • 麻痺

こういった症状が出た場合は、すぐに服用を中止し、医師や薬剤師に相談しましょう。特に高齢の患者さんは、症状が重篤化しやすいため、より慎重な経過観察が必要です。

(※)アルドステロン症:副腎からアルドステロンというホルモンが過剰に分泌される病気で、高血圧やカリウム濃度の低下などが起こる。

芍薬甘草湯と併用が禁忌の薬

芍薬甘草湯には甘草(カンゾウ)という生薬が含まれており、グリチルリチン酸という成分が豊富に含まれています。体内でのカリウム代謝に影響を与える成分であるため、以下の薬との併用には特に注意が必要です。

  • 他の漢方製剤(六君子湯、抑肝散など甘草が含まれる方薬)
  • ループ系利尿剤(フロセミドなど)
  • エタクリン酸
  • チアジド系利尿剤(トリクロメチアジドなど)

上記の薬と併用した場合、低カリウム血症やアルドステロン症のリスクを高めることがあります。処方を受ける際は、現在服用中の薬について医師に必ず伝えましょう。

出典:厚生労働省「・グリチルリチン酸等を含有する医薬品の取扱いについて(◆昭和53年02月13日薬発第158号)」

芍薬甘草湯を服用する上での注意点

芍薬甘草湯を服用する際は、添付文書に記載されている用法・用量を守り、1日の服用回数や投与量を必ず守りましょう。正しく使用するためには、以下の点に特に注意が必要です。

  • 必要最小限の期間にとどめ、症状改善がない場合は継続しない
  • 体質や症状に合わせて服用する
  • 血清カリウム値や血圧値をチェックする
  • 妊婦・授乳婦や高齢者、小児の服用は医師と相談する
  • 他の漢方薬など甘草(グリチルリチン酸)を含む製剤との重複を避ける

高齢の患者さんは、生理機能が低下している可能性があるため、減量するなどより慎重な経過観察が必要です。また、血清カリウム値の測定など、定期的な血液検査は、芍薬甘草湯による治療を安全に続ける上で欠かせません。

芍薬甘草湯を飲んではいけない人

以下に該当する患者さんは、芍薬甘草湯の服用を避けるべきとされています。

  • 心臓病
  • アルドステロン症
  • 低カリウム血症
  • ミオパチー

また、服用開始前に以下の症状や健康状態が見られる場合は、必ず医師に相談してください。

  • 医師の治療中を受けている方
  • 他の処方薬や漢方薬を服用している方
  • 妊娠中・授乳中の方
  • 高齢者
  • むくみのある方
  • 高血圧の方

出典:[添付文書]医療用医薬品 _ 芍薬甘草湯 (ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒(医療用))

出典:ツムラ「ツムラ漢方芍薬甘草湯エキス顆粒」

芍薬甘草湯とはどんな漢方薬?

芍薬甘草湯とはどのような漢方薬なのでしょうか。特徴や効果について見ていきましょう。

芍薬甘草湯の特徴

芍薬(シャクヤク)と甘草(カンゾウ)という2つの生薬で構成される漢方製剤です。ツムラをはじめとする複数の製薬会社から、エキス顆粒として販売されています。医療用医薬品としては保険適用があり、医師の処方箋に基づいて調剤されます。また、一般用医薬品として、薬剤師や登録販売者のいる薬局でも購入可能です

芍薬甘草湯は、伝統的な漢方薬として長年にわたり使用されてきた実績があります。西洋医学的な観点からも、有効性と安全性について研究が報告されてきました。処方される際は、患者さんの症状や体質を考慮して、医師が適切な投与量を決定します。芍薬甘草湯は即効性が期待できる漢方薬ですが、より即効性を求める場合は他の鎮痛剤を検討するなど、医師との相談が大切です。

出典:科研費「芍薬甘草湯の鎮痛作用機序の解明」

芍薬甘草湯の効果

芍薬甘草湯は以下のような効果・効能があります。

  • 筋肉のけいれん
  • こむら返り
  • 筋肉の痛み
  • 腹痛
  • 筋肉の緊張を和らげる
  • 急な筋肉の痙攣を緩和する

芍薬甘草湯の薬効は、エキス顆粒に含まれる芍薬と甘草の相乗効果によるものです。医療用医薬品として処方される場合は、症状の程度や患者さんの状態に応じた投与計画が立てられます。一般用医薬品として服用する場合でも、薬剤師や登録販売者に相談の上、使用方法を守ることが重要です。

より詳しく効果を知りたい方はこちら(「芍薬甘草湯 効果」内部リンク)も参考にしてみてください。

まとめ

芍薬甘草湯は筋肉の症状に即効性がある漢方製剤ですが、低カリウム血症などの副作用に注意が必要な漢方薬です。本剤の服用にあたっては、医師や薬剤師に相談し、用法・用量を守って適切に使用しましょう。副作用の初期症状が現れた場合は、すぐに服用を中止し、医療機関を受診することが大切です。

【参考文献】

[添付文書]医療用医薬品 _ 芍薬甘草湯 (ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒(医療用))

ツムラ「ツムラ漢方芍薬甘草湯エキス顆粒」

厚生労働省「・グリチルリチン酸等を含有する医薬品の取扱いについて(◆昭和53年02月13日薬発第158号)」

科研費「芍薬甘草湯の鎮痛作用機序の解明」