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2025.05.13
当記事はデジタルクリニックグループ医師による監修のもと、正確な情報提供に努めています。
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高血圧を改善させるには適度な運動が大切だと言われていますが、具体的にどの程度の運動をするべきなのでしょうか?高血圧の運動療法に必要なのは有酸素運動で、適切な強度で継続すると、血圧を低下させる効果があることがわかっています。
この記事では、高血圧を改善させる運動療法の頻度や方法などについて解説していきます。
目次
運動療法は、高血圧のリスクを減らすうえで効果的な手段の一つです。適切な運動を継続的に実践することで、血圧がコントロールされ、さまざまな合併症のリスク軽減が期待できます。
高血圧を改善するための運動として、中等度(「ややきつい」と感じる程度)の有酸素運動を毎日30分以上続けることが効果的です。継続的な運動は血管の機能を改善し、血圧を下げる効果があります。高血圧患者が有酸素運動を行うと、収縮期血圧(上の血圧)で平均8.3mmHg、拡張期血圧(下の血圧)で平均5.2mmHgの改善効果があることが研究で示されています。
参考:Cornelissen VA et al., Exercise training for blood pressure: a systematic review and meta-analysis. J Am Heart Assoc 2: e004473, 2013.
まとまった時間が取れない場合は、1回の運動につき10分以上継続し、1日合計40分以上の運動を行う形でも問題ありません。
高血圧を改善させる有酸素運動としては、以下のような運動がおすすめです。
これらの運動を行う際には、ややきついと感じる程度の強度で行いましょう。運動を始める前には必ず準備体操を行い、急に体に負担がかからないように注意してください。
さらに、筋力トレーニングやストレッチなども適度に併用すると、筋肉量を維持でき、より降圧効果が高まりやすくなります。筋力トレーニングはダンベルやレッグプレスなどを用い、非常に軽い運動強度で10〜15分、1〜2セット行うと良いでしょう。
高血圧の場合「きつい」「かなりきつい」「非常にきつい」と感じるような激しい運動はかえって体に負担を及ぼす可能性があるため避けるべきです。激しい運動は、運動中の交感神経の作用によって血圧が著しく上昇させる可能性があります。
また、脳卒中や心疾患に罹患している人、高齢者、診察室血圧が180/110mmHg以上の人は、運動療法を実施する前に必ず医師に相談し、適切な指示を受けたうえで運動するようにしましょう。安全に運動療法を行うためには、自身の健康状態を把握し、無理のない範囲で運動することが大切です。
出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)」
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧症を改善するための運動」
出典:厚生労働省「高血圧の人を対象にした運動プログラム」
高血圧は、日本で多くの患者数を抱える生活習慣病の一つであり、収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上(自宅で測定した場合は収縮期血圧135mmHg以上、または拡張期血圧85mmHg以上)の状態が持続することを指します。動脈硬化によって動脈が厚く硬くなったり、心臓から血液を送り出す際の圧力が必要以上に強くなったりすると、高血圧を発症しやすくなります。
高血圧は、初期段階では自覚症状がほとんどないことが多いため、定期的に血圧をチェックすることが重要です。また、生活習慣の改善や適切な治療によって、血圧を正常範囲内に保つことが、脳卒中や心疾患といった深刻な合併症の予防につながります。
高血圧の原因は、大きくわけて2つあります。一つは特定の病気が原因ではない本態性高血圧で、もう一つは特定の病気が原因で引き起こされる二次性高血圧です。
高血圧患者の大半は本態性高血圧であり、さまざまな生活習慣と遺伝的な体質による影響が関与して発症すると考えられています。本態性高血圧の主な原因は、過剰な塩分摂取、野菜や果物の摂取不足、運動不足、睡眠不足、肥満、慢性的なストレス、喫煙、過度な飲酒、冬場のヒートショックなどです。これらの要因が作用することで、血圧が上昇し、高血圧を発症するリスクが高まります。
一方で二次性高血圧は、血圧を調整する機能のある腎臓や内分泌系などの病気によって起こります。発症疾患として、腎性高血圧や内分泌性高血圧、睡眠時無呼吸症候群などが多いです。高齢者では特定の薬剤の使用によって二次性高血圧につながることもあります。
高血圧の原因についてより詳しく知りたい方は、こちらもぜひご覧ください。
「高血圧の原因 | 症状や分類、治療方法を詳しく解説」 こちらから
高血圧の治療は運動療法の他にも、薬物療法と生活習慣の改善を組み合わせることが一般的です。薬物療法では、血管を広げる作用のあるカルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、レニン阻害薬などが用いられます。これらの薬は、血管を拡張させることで血圧を下げる効果があります。
また、心臓の過剰な活動を抑えるβ遮断薬や、余分な水分や塩分を排出する利尿薬なども高血圧の治療に用いられることが多いです。β遮断薬は心臓の拍動を穏やかにし、利尿薬は体内の水分量を減らして血圧を下げる効果があります。
治療薬に関する副作用や注意点など、詳しい内容を知りたければこちらもご覧ください。
「高血圧の治療薬 | 種類や副作用、服用する際の注意点を詳しく解説」 はこちらから
生活習慣においては、第一に塩分控えめで野菜や乳製品を積極的に取り入れた食事を心がけましょう。調味料をできるだけ控え、麺類の汁を残すなどして、塩分を1日6gに抑えると効果的です。さらに、禁煙や節酒、肥満の解消、冬場のヒートショック対策などもできるだけ行いましょう。生活習慣の改善は、薬物療法の効果を高めるだけでなく、高血圧の根本的な改善にもつながる可能性があります。
出典:非定非常利活動法人日本高血圧学会「高血圧の話」
高血圧を改善させるには「ややきつい」と感じる程度の有酸素運動を毎日30分以上続けることが大切です。しかし、合併症のある人や高齢者、血圧が過度に高い人は、医師から適切な指示を受けたうえで行ってください。
高血圧の改善のためには運動療法だけでなく、生活習慣を改善させることも大切です。日常生活で予防策に取り組み、合併症のリスクを抑えて明るい毎日を過ごせるようにしましょう。
Cornelissen VA et al., Exercise training for blood pressure: a systematic review and meta-analysis. J Am Heart Assoc 2: e004473, 2013.
非定非常利活動法人 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)」
厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧症を改善するための運動」
厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」
非定非常利活動法人 日本高血圧学会「高血圧の話」
厚生労働省「高血圧の人を対象にした運動プログラム」
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