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2025.04.15

浣腸が便秘に与える影響 | 使うべきタイミングや仕組みを詳しく解説

浣腸は、ここ数年初心者でも扱いやすいように製品の改良が進んでいます。この記事では、便秘に対する浣腸の効果や使用方法、注意点について詳しく解説しています。便秘に悩んでいる方や、浣腸の使い方に不安がある方に役立つ情報が満載です。(参考1)

浣腸は便秘に効く?

浣腸は、便秘の解消に即効性があり、特に一時的な強い便秘の際に有効な方法です。
生活習慣の改善や経口薬を用いても改善しない場合や、排便が困難な状態のときに用いられます。(参考2) 

特に以下のような場面で効果を発揮します。
・生活習慣などでも改善しない頑固な便秘の場合(参考3)
・外来受診や手術前など、即効性が求められる場合(参考2)
肛門付近まで便がきているのに排便できない場合(参考4)
・排便に必要な筋力が低下しているために便秘が起きている場合(参考4)

浣腸は主に肛門付近の便をやわらかくし、滑りを良くすることで排便を促すため、硬くなった便による不快な症状の改善に役立ちます。(参考4)

浣腸とはどんなもの?

浣腸とは、薬液を肛門から注入することで腸を刺激し、排便を促す即効性のある便秘治療法です。 浣腸には、薬液が腸内を滑りやすくし、同時に腸を刺激して腸の動きを促進させる作用があります。(参考3)現在では主にグリセリンが使用されています。(参考2)

グリセリン浣腸の主成分は、パームヤシ由来の植物成分であるグリセリン50%、水50%で構成されています。無色透明で少し粘り気があり、ほとんどにおいはありません。(参考3)

浣腸のメリットには、以下のような点が挙げられます。
作用時間が10分以内と短く、即効性に優れる
排便のタイミングをコントロールしやすい
・赤ちゃんから高齢者まで使用できる(参考5)

浣腸を使うタイミング

浣腸は、便の排出が困難なときや、硬くなった便が腸内にたまっているときに使用し、その状態をリセットする目的で使うのが適しています。(参考6)

普段は、刺激の少ない便秘薬を使って排便を促し、症状が強く出たときに、浣腸や刺激性下剤を“レスキュー薬”として活用するのが望ましいとされています。(参考7)

そのため、浣腸の使用は週3回未満にとどめることが推奨されており、効果がないと感じる場合でも、それは使用間隔が短すぎるためと理解することが重要です。(参考6)

頻繁に浣腸を使わなければならない場合は、日常的に使用している便秘薬が体に合っていない可能性があり、薬の見直しが必要とされます。(参考7)

浣腸を行って便が出るまでの仕組み

浣腸は、グリセリンの浸透圧作用と腸への刺激によって腸の動きを促し、速やかな排便を引き起こす仕組みで作用します。

現在の浣腸はグリセリンが用いられていますが、これは水分を吸収する作用が強いです。腸にグリセリン浣腸が注入されると、グリセリンが水分を集めるため、腸の中の水分量が増えます。そして浣腸剤自体の水分も加わります。これで便が柔らかくなり流動性が増加します。同時に注入された刺激によって腸管に刺激が加わり、腸の運動が活発化します。これらの作用により注入後3〜10分後に便意を催すので、注入後はトイレへ行き排便の準備をします。(参考3)

浣腸を行う際の注意点

浣腸は排便を促す有効な手段ですが、使い方を誤ると重大なリスクを伴うことがあるため、慎重に行うことが重要です。

具体的な注意点は以下の通りです。

・立った状態で挿入すると腸を傷つけるおそれがあるため、左側を下にして横になった姿勢で使用する。(参考2)
・挿入時には、ストッパーなどの器具を腸内に残さないよう注意する。(参考2)
・グリセリン浣腸は血圧を下げることがあるため、高血圧などで体調が不安定なときは使用を避ける。(参考3)
・寒い日の使用時には、あらかじめ温めておくと腹痛の予防に役立つ。(参考3)
・浣腸によって溜まっていた便が動く際に、腹痛や腹部の張りを感じることがある。(参考3)
長期にわたって使用すると副作用や依存のリスクがあるため、排便リズムが整ったら使用を中止する。(参考2)
高齢者は少量から使用を開始し、妊婦は子宮収縮による流産の恐れがあるため原則として使用しない。(参考8)

特に、誤って立位で注入した場合、ノズルによって腸に穴が空いてしまい「腸穿孔」を引き起こすことがあり、死亡事故に至った例もあります。(参考9)浣腸を行う際には、正しい方法を理解し、慎重に扱う必要があります。

浣腸以外の便秘を改善する方法

便秘の改善には、まず生活習慣を整えることが基本であり、それでも効果が乏しい場合には薬剤の使用を検討します。

便秘改善には、まず以下のような生活習慣の改善を試みます。

  • 規則正しい食生活を心がける
  • 食物繊維を多く含む食事を取り入れる
  • 十分な水分補給を行う
  • ウォーキングなどの適度な運動を取り入れる
  • お腹のマッサージで腸の動きを促す
  • ウォシュレットで肛門刺激を与え、排便を促す

これらを実践しても改善が見られない場合や、症状が強く早めの対処が必要なときは、整腸剤や下剤の服用も検討されます。(参考10)(参考11)

便秘の解消法についてより詳細が気になる方は、こちらの記事も参考にしてください。

「便秘の解消方法 | 日々できることや便秘の種類を詳しく解説」の記事はこちらから

便秘の基本情報

便秘とは、排便の回数や量が減少し、排便に困難を伴う状態を指し、日常生活に支障をきたすこともあります。

一般的には、3日以上排便がない、または週に3回以下の排便頻度の場合に便秘とされますが、排便回数には個人差があります。

便秘の主な症状には以下のようなものがあります。

  • 腹痛
  • 残便感
  • 腹部膨満感
  • 吐き気
  • 食欲不振

強い腹痛や吐き気、発熱を伴う場合は、重大な病気が隠れている可能性もあるため、早めの受診が重要です。また、便秘が原因で痔などの合併症を引き起こすこともあります。(参考11)(参考12)

便秘の種類

便秘にはいくつかのタイプがあり、それぞれ原因や対処法が異なるため、正しい理解が大切です。

主に以下の4種類に分類されます:

  • 機能性便秘:生活習慣の乱れやストレス、加齢などが原因となる最も一般的なタイプ
  • 器質性便秘:腸の腫瘍や狭窄など、腸の構造的な異常によって引き起こされる便秘
  • 症候性便秘:糖尿病やパーキンソン病など、全身疾患の一症状として現れる便秘
  • 薬剤性便秘:鎮痛薬や抗うつ薬などの副作用として起こる便秘(参考12)

便秘の種類についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

「便秘の種類 | 便秘になってしまう原因や解消方法も詳しく解説」はこちらから

まとめ

浣腸はタイミングがコントロールできるなどの点で便秘解消に使いやすい薬剤です。ただし、使用上の注意点もあるので使用法を確認してから使いましょう。生活習慣の改善など他の便秘改善法とも併用して、自然な排便を目標にしましょう。

(参考1)「主要メーカー製品&販促情報」(2024)ドラッグトピックス

(参考2)大庫秀樹(2021)「20 浣腸」診断と治療

(参考3)都築義和 et al.(2022)「坐薬, 浣腸」診断と治療

(参考4)鈴木直人(2019)「外用便秘治療薬」薬局

(参考5)「便秘に早く効き、使いやすい『イチジク浣腸』」月刊ことぶき

(参考6)水上健(2020)「便秘薬の使い分け」Medical Practice

(参考7)小笠原尚高(2024)「慢性便秘症」現代医学

(参考8)厚生労働省「浣腸薬」

(参考9)公益財団法人日本医療機能評価機構「立位でのグリセリン浣腸による直腸損傷」

(参考10)飯田洋(2024)「便秘治療と便秘の増悪」治療

(参考11)全国健康保険協会「便秘」

(参考12)一般社団法人日本臨床内科医会「便秘」