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2025.04.14

高血圧の原因 | 症状や分類、治療方法を詳しく解説

私たちの健康状態を脅かす高血圧ですが、何が原因で起こるのでしょうか?高血圧の主な原因は食事内容や遺伝的な要因ですが、特定の病気でも起こることがあります。

今回は、高血圧の原因や症状、測定値による分類などについて解説していきます。

高血圧になる原因は?

高血圧は、病気が原因ではない本態性高血圧と、特定の病気が原因で起こる二次性高血圧にわけられます。日本人の高血圧症の8〜9割は本能性高血圧です。

本態性高血圧

本態性高血圧は、さまざまな生活習慣の要因と遺伝的な体質が相互に作用して引き起こされます。親が高血圧で、中年以降の人に起こりやすいです。

日本では、食文化の関係から日頃からの過剰な塩分摂取が一番の原因となります。その他、野菜や果物の摂取不足、運動不足、睡眠不足、肥満、ストレス、喫煙、過度な飲酒なども血圧を上昇させる原因です。さらに、冬場のヒートショックなどによる急激な温度変化も血圧上昇のリスクを高めます。女性の場合、女性ホルモンの分泌が減り始める更年期から、血圧が上がりやすくなる人もいるため注意が必要です。

これらの要因が重なることで、全身に血液を送る動脈が硬くなったり(動脈硬化)、血液を送り出す心臓への負担が増大したりします。その結果、血管壁にかかる圧力が高まり、高血圧状態になります。

二次性高血圧

二次性高血圧は、血圧上昇の原因となる特定の病気や状態が明らかな高血圧です。本能性高血圧よりも、若い人の発症が多いです。

主な原因として、腎臓の機能低下によって起こる「腎性高血圧」や、甲状腺ホルモンの異常などで起こる「内分泌性高血圧」、睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」などがあります。高齢者の場合は他の病気で使用した治療薬の影響で発症することもあります。

特に腎臓や甲状腺ホルモンは血圧調整に重要な役割を果たす器官です。腎臓は体内の余分な塩分を水分を排泄し、甲状腺ホルモンは体の代謝や心拍数を上げる役割があり、これらの異常は高血圧の直接的な原因となります。この場合、高血圧自体の治療だけでなく、原因となっている病気の適切な治療が不可欠です。

高血圧の症状

高血圧は初期段階では自覚症状がほとんどないため「サイレントキラー」とも呼ばれています。

しかし、高血圧が進行すると動脈硬化が進み、頭痛やめまい、ふらつき、頻尿、呼吸困難、足先の冷感などの症状が現れることがあります。これらの症状が出現する頃には、すでにさまざまな臓器に影響がおよんでいる可能性があるため注意が必要です。頭痛やめまいなどの症状が続く場合は、激しい運動は避け、できるだけゆっくり休みましょう。

高血圧を放置すると、脳卒中や心筋梗塞などの致死的な病気につながるリスクが高まります。そのため、上述した症状が続く場合や、定期的な健康診断で高血圧を指摘された場合は、早めに医療機関へ相談することが重要です。

高血圧の分類

高血圧の分類は医療機関で測定する「診察室血圧」と、自宅で測定する「家庭血圧」に基づいて行われます。以下の詳細に分類を紹介します。

分類診察室血圧家庭血圧
(収縮期血圧と拡張期血圧※の値)(収縮期血圧と拡張期血圧の値)
正常血圧120未満かつ80未満115未満かつ75未満
正常高値血圧120-129かつ80未満115-124かつ75未満
高値血圧130-139かつ(または)80-89125-134かつ(または)75-84
Ⅰ度高血圧140-159かつ(または)90-99135-144かつ(または)85-89
Ⅱ度高血圧160-179かつ(または)100-109145-159かつ(または)90-99
Ⅲ度高血圧180以上かつ(または)110以上160以上かつ(または)100以上
収縮期高血圧140以上かつ90未満135以上かつ85未満

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」

※収縮期血圧(最高血圧)は心臓が収縮して全身に血液を送り出す際の血圧で、拡張期血圧(最低血圧)は、心臓が拡張して血液が左心室に戻る際の血圧を指す

診察室血圧による高血圧の診断は、1日だけでなく別の日の測定も含めて行われます。収縮期血圧が140mmHg以上もしくは拡張期血圧が90mmHg以上の場合に高血圧と診断されます。家庭血圧では、5〜7日間の平均で収縮期血圧が135mmHg以上もしくは拡張期血圧が85mmHg以上の場合に高血圧と診断されるのが一般的です。

重要な点として高値血圧の段階でも、正常血圧の人と比較して脳卒中や心筋梗塞などの合併症のリスクが上昇することがわかっています。そのため、高値血圧の段階から注意が必要であり、生活習慣の改善などによる対策を行うべきです。

高血圧症とはどんな病気?

高血圧症は、血圧が持続的に高い状態が続く病気です。一般的に、診察室で測定した血圧の収縮期血圧が140mmHg以上、もしくは拡張期血圧が90mmHg以上の状態が続く場合に診断されます。血圧とは、心臓から送り出された血液が全身を巡る際に動脈の壁を押す圧力のことです。

高血圧症の発症にはさまざまな要因が関与しています。原因として挙げられるのは、過剰な塩分摂取、遺伝的要因、加齢による臓器機能の低下や血管の柔軟性の低下などです。これらの影響により、心臓から送り出される血液量が増加したり、動脈が厚く硬くなったりすることで、高血圧症が引き起こされます。

高血圧症を放置すると、動脈硬化がさらに進行し、脳卒中、心筋梗塞、腎臓病などの深刻な合併症を引き起こすリスクが高まります。そのため、早期発見と適切な治療が重要です。

高血圧症の治療方法

高血圧症の治療は主に降圧剤を使用した薬物療法です。薬物療法では、血管を広げる作用のあるカルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、レニン阻害薬などが使用されます。また、心臓の過剰な働きを抑えるβ遮断薬や、余分な水分や塩分を排出する利尿薬なども用いられます。医師は患者の合併症の有無や年齢などを考慮して、その人に合った降圧剤を処方するのが一般的です。

降圧剤の副作用や注意点などについて詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。

薬物療法と並行して、生活習慣の改善も大切です。日常生活において、減塩で野菜や乳製品を積極的に取り入れた食事、適度な有酸素運動の継続、禁煙、飲酒の制限などを心がけましょう。肥満の解消や冬場のヒートショック対策なども高血圧症の管理に有効です。これらの総合的なアプローチにより、血圧のコントロールと合併症の予防を図ることが可能になります。

まとめ

高血圧の原因は本能性高血圧と二次性高血圧に大別され、多くの日本人は、食塩の過剰摂取などによる本能性高血圧に当てはまります。高血圧は初期段階から自覚症状が少なく、定期的に血圧を測定しなければ気づかないことも多いです。自宅でも定期的な測定を心がけ、高い血圧が続くようなら早めに医療機関で受診しましょう。

参考文献

非定非常利活動法人 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)」

厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」

非定非常利活動法人 日本高血圧学会「高血圧の話」