fbpx

2025.04.14

妊娠中にカンジダになるとどうなる?赤ちゃんへの影響や治療方法を解説

カンジダは、カンジダ菌というカビ(真菌)の一種が原因で起こる感染症です。カンジダ菌は体の中や皮膚の表面に普段から存在している常在菌ですが、免疫力の低下やホルモンバランスの乱れがあると異常に増殖し、感染症を引き起こします。

この記事では、妊娠中のカンジダの疑問と治療方法などを解説します。妊娠中に安心して過ごせるよう、正しい知識を身につけましょう。

妊娠中はカンジダになりやすい?

カンジダは健康な女性でも発症しますが、妊娠中はとくに発症しやすいと言われています。カンジダは「カンジダ菌」という常在菌が増殖することで、性器や皮膚などに症状がでる病気です。健康な女性は妊婦では、特に「膣カンジダ」が生じやすくなります。

妊娠中にカンジダが発症しやすい原因は以下の3つです。

  • 抵抗力の低下
  • ホルモンバランスの変化
  • デリケートゾーンの蒸れ

■抵抗力の低下

妊娠中は赤ちゃんを異物として攻撃しないように、体の抵抗力が自然に下がります。抵抗力が下がると、さまざまな菌やウイルスが感染・増殖しやすくなります。そのため、体内にもともと存在していたカンジダ菌が繁殖し、カンジダを発症してしまうのです。

■ホルモンバランスの変化

妊娠中のホルモンバランスの変化も、カンジダが発症しやすい原因です。通常、膣内はホルモンバランスによって酸性に保たれていることでカンジダ菌の増殖が抑えられています。しかし、ホルモンバランスが崩れると膣内の環境が変化し、カンジダ菌が活発になりやすくなります。

■デリケートゾーンの蒸れ

カンジダ菌は高温多湿を好むため、締め付けの強い下着や衣服によって繁殖することがあります。妊娠中はおりものが増えやすいため、おりものシートによってデリケートゾーンが蒸れることも原因になります。

妊娠中のカンジダの症状

妊娠中にカンジダになると、膣の中や周りを中心に、以下のような症状が現れるのが特徴です。

  • おりものの量が増える
  • 白いポロポロとしたおりものが増える(カッテージチーズ様)
  • デリケートゾーンのかゆみやヒリヒリ感がある
  • 性交渉時や排尿時に痛みがでる

自覚症状がなく、妊婦健診時に医師から指摘されたときに初めて気づくこともあります。

妊娠中にカンジダになると赤ちゃんに影響を与える?

妊娠中にカンジダになってしまっても、お腹の中の赤ちゃんへの影響はありません。ただし、出産までに完治していないと、赤ちゃんが産道を通って生まれるタイミングで、カンジダに感染する可能性があります。

赤ちゃんに感染してしまった場合、口腔粘膜が侵されて、口の中に白い斑点ができる鵞口瘡(がこうそう)という病気になる可能性があります。

妊娠中のカンジダの治療方法

妊娠中にカンジダになってしまった場合、膣錠、軟膏、内服薬などの治療薬で治療します。

発症後は、定期的に通院して膣洗浄をし、膣錠を挿入することが一般的です。処方してもらった膣錠を6日ほど使用しながら、塗り薬を併用することも多いです。治療期間は1-2週間程度になります。

カンジダは、処方された薬を指定された期間、適切に使用すれば治りますが、薬を途中で止めてしまうと治りきらず、再発の原因になるので注意しましょう。

腟カンジダの検査方法

カンジダの検査は膣のおりもの検査が中心で、以下のように行われます。

  • 培養法:検体(おりもの)を培養し、カンジダ菌の有無を調べる方法
  • 鏡検法:検体の状態を顕微鏡で直接観察する方法
  • PCR法(核酸増幅法):検体のカンジダの遺伝子を増やして調べる方法

詳しくはこちらの記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。

腟カンジダは自然治癒する?

膣カンジダが自然治癒することもまれにあります。ただし、自然治癒が期待できるのは、症状が軽い場合のみで、大半は適切な治療が必要です。また、自然治癒したとしても再発する可能性が高いため、軽度の症状でも治療することをおすすめします。

カンジダの自然治癒については、こちらでも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

妊娠中にカンジダにならないために

妊娠中にカンジダを予防するためには、カンジダ菌が増殖しないような膣の環境を作ることが大切です。そのために、デリケートゾーンのケアをしましょう。

妊娠中のデリケートゾーンのケア

妊娠中のデリケートゾーンケアでは、以下の点を心がけましょう。

  • 膣内まで洗わない
  • デリケートゾーンは通気性のいい状態にする

■膣内まで洗わない

できるだけデリケートゾーンを清潔に保とうと、膣の中まで洗浄しようとする方がいます。しかし、膣内まで洗ってしまうと必要以上に常在菌を洗い流してしまい、膣の自浄作用(自ら治す能力)が減って、カンジダ菌が繁殖してしまう可能性があります。そのため、石鹸などを使用して過剰に洗わないようにしましょう。

■デリケートゾーンは通気性のいい状態にする

デリケートゾーンの通気性が悪いと、カンジダ菌が繁殖しやすくなるため、対策を心がけましょう。通気性のいい下着を着用したり、ガードルなどの締め付けの強い服を避けたりすることが大切です。おりものシートもこまめに交換しましょう。

まとめ

カンジダが発症すると、かゆみやおりものの不快感などの症状が現れます。特に妊娠中はカンジダになりやすいため、普段の生活でカンジダの予防を心がけましょう。

カンジダかもしれないと思ったら、なるべく早めに病院を受診し治療をはじめましょう。出産までに治療が終了していたら、赤ちゃんへの影響はありません。治療中は医師の指示に従って指示された期間、適切に薬を使うことで、再発予防につながります。

しかし「忙しい中で通院が難しい」「病院やクリニックを受診するのは恥ずかしい」と思う方もいるかもしれません。そのような方には、待ち時間なしでどこでも診療ができるオンライン診療がおすすめです。

デジタルクリニックでは、24時間365日オンラインによる診療を行っています。症状や生活スタイルに合わせた処方ができますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。

【参考文献】

性器カンジダ症|東京都性感染症ナビ 

国内でよくみられる侵襲性真菌症~カンジダ症~|国立感染症研究所

腟カンジダの再発による外陰部症状の治療薬

初年次教育における性と生の健康教育の実践

10.性器カンジダ症|日本性感染症学会誌|性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016|p86-90

女性の「おしも」の清潔管理について 連載 女性骨盤底再入門いま知っておきたいこと・11|中田 真木|助産雑誌 66巻 10号 pp. 874-879

産科編妊娠後期カンジダ腟炎といわれました。どんな治療がありますか?|特集 周産期相談310お母さんへの回答マニュアル第3版|岩破 一博|感染性周産期医学 49巻 13号 pp. 195-196

カンジダ腟・外陰炎|妊娠中の各種疾患と薬物治療 3.STDの治療と注意点|関博之|臨床婦人科産科 59巻 4号 pp. 607-609

3.外陰膣カンジダ症|吉村和晃|産科と婦人科2022年1号 pp. 17-19