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2025.04.14

カンジダが生理に与える影響 | 治療方法やオリモノへの影響を解説

カンジダは、免疫機能の低下などで体に常在しているカンジダ菌が増殖することで発症する病気で、女性の70%程度が1回は感染すると言われています。健康な女性でも発症する可能性のあるカンジダですが、生理周期との関係はあるのでしょうか?

この記事では、カンジダが生理に与える影響やカンジダの基礎知識について解説します。カンジダの正しい知識を得て、日常生活へ役立てましょう。

カンジダによる生理周期への影響

カンジダは基本的に生理周期へ影響を及ぼすことはありません。しかし、生理周期によるホルモンバランスの変化によって、免疫機能が低下したり、おりものの状態が変化したりすることで、カンジダが発症しやすくなる場合があります

■免疫機能の低下

女性の体では一般的に、生理前にプロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれる女性ホルモンの分泌量が増加します。プロゲステロンは女性の体のなかで妊娠の準備をするホルモンであり、分泌量が増えると免疫機能が下がりやすくなります。そのため、生理前は免疫機能が下がり、常在菌であるカンジダ菌が膣で増殖して、カンジダが発症しやすくなるのです。

■おりものの状態の変化

さらに女性の体では、排卵後にエストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンが減少します。エストロゲンは主に女性らしさを保ちながら、体の調子を守るホルモンです。通常、おりものに対しては「デーデルライン桿菌」という常在菌の量を保つことで、膣を強い酸性の状態にして、雑菌や有害な微生物の増殖を抑えています(これを「膣の自浄作用」といいます)。

排卵後から生理前にかけてエストロゲンが減少すると、デーデルライン桿菌も減少します。その結果、膣内の環境を守っていた常在菌が減り、膣内のバランスが崩れ、カンジダ菌が増えやすい環境になるのです。それによって、生理前にカンジダの症状が悪化しやすくなります。

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カンジダは生理で治る?

生理前に症状が悪化することもあるカンジダですが、生理の期間に入るとかゆみがなくなって治ったと感じることもあります。しかし、かゆみが減るのは一時的なケースも多く、生理がくることでカンジダが治るわけではありません。カンジダが完治したかどうかは、生理が終わった後に判断することが大切です。

また、生理中にカンジダの治療薬を使用しても、治療薬が経血とともに流れ出てしまう可能性があります。そのため、生理が終わった後もカンジダの症状が続く場合は、婦人科に受診し適切な治療を受けましょう。もし、カンジダの治療中に生理になった場合は医師に相談してください。

カンジダによるオリモノへの影響

カンジダを発症するとおりものの量や色、性状、においなどが変化します。よく見られるおりものの特徴は以下になります。

  • おりものの量が増える
  • 酒かす状のおりものが出る
  • ポロポロとした(カッテージチーズのような)おりものが出る
  • 白色でヨーグルト状のおりものが出る
  • 粘度が高く白く濁ったおりものが出る
  • おりものにほんのり酸っぱいにおいを感じる

おりものの変化はカンジダの典型的な症状です。上述したようなおりものの変化があり、かゆみなどの症状もある場合は、自己判断せずに医療機関の受診をおすすめします。

カンジダの基礎知識

カンジダは、膣の中でカンジダというカビ(真菌)が何らかの原因で増殖し、炎症を引き起こす病気です。

カンジダの原因にはさまざまなものがあります。

  • 妊娠や出産などホルモンバランスの変化
  • 抗生物質の使用
  • 疲労やストレス
  • 風邪など免疫力の低下
  • デリケートゾーンの蒸れなど高温多湿な環境

このように原因はさまざまです。カンジダに関してよくある質問をQ&Aにまとめました。

1.カンジダは市販薬で治療できますか?

カンジダが再発した場合は、市販薬で治療が可能です。ただし、初発の場合は医療機関で診断を受ける必要があります。

2.カンジダの予防方法はありますか?

カンジダは以下のような予防策を徹底することで、発症を抑えることが可能です。

■通気性のいい下着をつける

おりものシートやナプキンはこまめに交換する

ストレスをためない

■外陰部を洗いすぎない

詳しくはこちらの記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。

カンジダの治療方法

カンジダの治療方法は、婦人科で検査を受けた後、膣洗浄と膣錠の挿入をおこないます。その後、医師に処方された6日ほどの膣錠を毎日使用することで完治が可能です。外陰部の症状が強い場合は、塗り薬を併用することもあります。必ず指示された期間、薬を使用し、途中で症状が軽くなった場合でも自己判断で中止することはやめましょう。

カンジダの治療方法はこちらでも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

まとめ

カンジダはホルモンバランスの変化がみられる生理前に症状が出やすく、悪化しやすいと言われています。生理前は膣の自浄作用の低下やおりものの変化によってカンジダ菌が増殖しやすいです。生理が終わった後もかゆみなどの症状が続くようなら、できるだけ早く婦人科に受診し、適切な治療を受けましょう。

参考文献

性器カンジダ症|東京都性感染症ナビ 

国内でよくみられる侵襲性真菌症~カンジダ症~|国立感染症研究所

腟カンジダの再発による外陰部症状の治療薬

おくすりQ&A おくすりの種類で選ぶ膣カンジダ再発治療薬|日本OTC医薬品協会

腟カンジダ(カンジダ症)の原因と症状|エンペシドL公式サイト

10.性器カンジダ症|日本性感染症学会誌|性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016|p86-90

女性の「おしも」の清潔管理について 連載 女性骨盤底再入門いま知っておきたいこと・11|中田 真木|助産雑誌 66巻 10号 pp. 874-879

産科編妊娠後期カンジダ腟炎といわれました。どんな治療がありますか?|特集 周産期相談310お母さんへの回答マニュアル第3版|岩破 一博|感染性周産期医学 49巻 13号 pp. 195-196

カンジダ腟・外陰炎|妊娠中の各種疾患と薬物治療 3.STDの治療と注意点|関博之|臨床婦人科産科 59巻 4号 pp. 607-609

3.外陰膣カンジダ症|吉村和晃|産科と婦人科2022年1号 pp. 17-19