fbpx

2025.03.30

高血圧とコーヒーの関係性 | 血圧が上がるメカニズムや予防方法を解説

コーヒーを日常的に楽しむ人も多い一方で、血圧を気にしている人もいるのではないでしょうか。高血圧は日本で患者数が最も多い病気であるため、コーヒーで血圧が上がると耳にして、心配になっている人も少なくないでしょう。(参考1)この記事では、コーヒーが血圧に与える影響について詳しく解説し、健康的な飲み方をお伝えします。

高血圧の人はコーヒーを飲んではいけない?

結論から言うと、一日2〜3杯程度のコーヒーであれば血管機能に良い影響を与えるため、飲んでも問題ありません。(参考2)(参考3)

コーヒーは一時的に血圧を上昇させる作用があるため、高血圧の人は避けるべきだと言われることがあります。しかし、習慣的にコーヒーを飲んでいる人はカフェインへの耐性ができており、その影響はほとんどありません。日本人を対象とした研究では、インスタントコーヒーとカフェイン抜きのコーヒーを飲んだグループを比較した際、飲用30分後の収縮期血圧は7mmHg、拡張期血圧は3mmHgの差がありましたが、コーヒー常飲者には血圧上昇がほぼ見られませんでした。(参考2)

また、長期的なコーヒー摂取が血圧に与える影響については、総じて「血圧の上昇はほぼない」とする研究結果が多いです。約20万人を対象にした研究では、一日2杯以上のコーヒーで高血圧のリスクが低下する結果も出ています。さらに、別の研究では常飲が血圧にほとんど影響を与えないとされています。(参考2)

加えて、高血圧の人が一日2杯程度のコーヒーを摂取すると、飲まない人より血管機能が良好であることが分かっています。コーヒーに含まれるクロロゲン酸は血管の筋肉細胞のDNA損傷を防ぎ、血圧や血糖値の改善にも効果があります。ポリフェノールは酸化を防ぎ、健康な血管を維持します。カフェインにも血管機能を改善する働きがあります。(参考2)(参考3)(参考4)

そのため、高血圧の人でも適量のコーヒーを楽しむことは問題なく、むしろ血管に良い影響を与える可能性があります

コーヒーを飲むと血圧が上がるメカニズム

コーヒーに含まれるカフェインが血圧を上昇させる理由は、血管を広げるアデノシンの作用を妨げるためと考えられています。アデノシンは、心臓や血管の細胞に結びつき、血管の筋肉を緩めて血圧を適切に保つ役割を果たします。しかし、カフェインはこのアデノシンの働きを阻害し、血管が収縮することで一時的に血圧が上昇します。アデノシンにはいくつかの受容体がありますが、カフェインは特に心臓や血管に存在する受容体に強く作用し、血圧に影響を与えやすいとされています。(参考2)

コーヒーの飲み過ぎには注意が必要

コーヒーは1日2〜3杯までであれば心筋梗塞などの心臓疾患のリスクを増やさないとされていますが、4杯以上飲むとそのリスクが高まることがわかっています。(参考2)

さらに、コーヒーが心臓病のリスクを減らすという研究でも、最も効果が見られたのは1日3.5杯のグループで、5杯以上ではその効果が薄れることが確認されています。したがって、心臓や血管の健康を考えると、コーヒーは1日4杯以下に抑えるのが適切と言えます。(参考2)

高血圧を予防する方法

高血圧を予防するためには、以下のような生活習慣を意識することが大切です。

  • 減塩の食事を心がける(食塩摂取量6g/日未満)
  • 適正体重を維持する(肥満の予防・改善)
  • アルコールを控えめにする
  • 運動を習慣にする
  • 禁煙する
  • ストレスを上手にコントロールする

これらの習慣を組み合わせて改善していくことで、より効果的に血圧の上昇を防ぐことができます。(参考1)

高血圧の予防方法については、こちらの記事でより詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

「高血圧 予防」内部リンク

高血圧の基礎知識

高血圧とは、血液が動脈を流れる際に血管にかかる圧力が高い状態を指します。

血圧には「収縮期血圧(最高血圧)」と「拡張期血圧(最低血圧)」の2種類があり、収縮期血圧は心臓が収縮して血液を送り出すときの血圧、拡張期血圧は心臓が広がって血液を受け入れるときの血圧です。血圧は心臓が送り出す血液の量、血管の太さ、血管の弾力性によって決まり、血管が硬く細くなると血圧が上昇し、高血圧になります。

高血圧の多くは特定の原因がない「本態性高血圧」で、塩分の過剰摂取や肥満などの生活習慣が主な要因とされています。高血圧自体にはほとんど自覚症状がありませんが、放置すると心臓や血管、腎臓に負担をかけ、合併症を引き起こす可能性があるため、対処が重要です。(参考5)

高血圧の詳しい原因や症状、治療法については、以下の記事も参考にしてください。

「高血圧とは | 原因や症状、高血圧の治療方法や予防方法を詳しく解説」 の記事はこちらから

高血圧の基準

血圧の基準は年齢や合併症の有無を考慮して医師が判断しますが、一般的な目安として、収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)が140/90mmHg未満であれば正常とされています。診察室で測定した際、いずれか一方が140/90mmHgを超えると高血圧と診断されます。ただし、年齢や病状によって基準が異なることがあります。例えば、75歳以上の後期高齢者では150/90mmHg未満に設定されることがあり、糖尿病や進行した腎臓病を持つ患者では130/80mmHg未満とされることもあります。

また、高血圧と診断されなくても、血圧が130/80mmHg以上の場合は「高値血圧」とされ、脳や心臓の血管に対するリスクが高まるため、生活習慣の改善が推奨されます。(参考1)(参考5)

高血圧の基準については、こちらの記事でより詳細に解説しているので、参考にしてください。

「高血圧 基準」内部リンク

まとめ

コーヒーは一時的に血圧を上げる作用がありますが、習慣的に飲んでいる場合、その影響はほとんどありません。適量の摂取(1日2〜3杯)は血管の健康を保つのに役立つとされていますが、1日4杯以上は心血管リスクを高める可能性があるため注意が必要です。高血圧の予防には、適度なコーヒー摂取に加え、減塩や運動、ストレス管理などの生活習慣の改善が重要です。日々の習慣を見直し、健康的な生活を心がけましょう。

(参考1)特定非営利活動法人日本高血圧学会 et al. 「高血圧の話」

(参考2)原明義(2020)「コーヒーと循環器疾患〜コーヒーは高血圧のリスク因子か〜」東北以下薬科大学研究誌

(参考3)山路貴之 et al.(2024)「高血圧患者におけるコーヒー摂取:血管機能に与える影響について」血管

(参考4)国立研究開発法人国立がん研究センター「がん対策研究所 予防関連プロジェクト」

(参考5)日本臨床内科医会「高血圧」