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2025.03.27

高血圧による浮腫み | 原因や考えられる病気、治療方法を詳しく解説

浮腫みは、高血圧がある人に自覚される症状の1つです。

今回は、高血圧による浮腫みについて、高血圧の基本情報を交えながら発生する原因や治療について紹介します。

高血圧によって浮腫む原因

高血圧によって浮腫む原因は、心臓や腎臓の機能低下により体内の水分が適切に排泄されなくなり、余分な水分が体内に溜まってしまうためです。

高血圧は、長期的に続いてしまうと心臓や腎臓に影響を及ぼすことがあります。そして、心臓や腎臓の機能が低下した結果、全身性に浮腫(むくみ)が生じることがあります。

具体的には、心臓に関しては、心筋の障害や、心臓を栄養する血管である冠動脈の硬化が進行することがあり、これが原因で心不全や不整脈、最悪の場合突然死を引き起こす可能性があります。(参考1)

高血圧が原因で心不全が生じると(高血圧性心不全)、心収縮力が低下し、心臓から体へ送り出される血流量が減少することがあります。それに反応して、腎臓が血流量を増やそうとナトリウムや水の再吸収を促進します。その結果、体内に余分な水分が溜まり、結果的に浮腫が発生することがあります。(参考2)心臓疾患がある場合、特に下肢に浮腫が現れることが多いです。

さらに、高血圧は腎臓にも影響を与え、慢性腎臓病(CKD)のリスク因子となります。CKDを発症するとさらに高血圧が重症化するという悪循環も生じます。(参考3)CKDが進行すると腎機能が低下し、腎臓の水分排泄能が低下することで体内に余分な水分が溜まり、浮腫が生じることがあります。(参考4)

高血圧が原因の浮腫みは病気?

高血圧は多くの場合、症状を伴わずに進行します。しかし、浮腫のような症状が現れている場合は、高血圧によって臓器に合併症が生じている可能性を示唆しています。見た目の浮腫みだけでなく、足のだるさとして感じられることもあります。(参考5)先に述べたように、高血圧によって引き起こされる心不全や腎不全は、浮腫を引き起こす主要な原因となります。このため、浮腫が現れた場合には、高血圧の影響による臓器の機能不全が進行している可能性があることを考慮する必要があります(参考6)。

高血圧と関係のある病気については、さらに詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

「高血圧 病気」内部リンク

高血圧による浮腫みの検査方法

浮腫が見られる場合、下記のような事項を確認していきます。

  • 体重変化
  • 靴下の跡があるか
  • 尿量の変化
  • 呼吸器症状の有無
  • 腹痛・下痢などの有無
  • 薬剤の使用歴

特に、高血圧による心臓や腎臓の機能低下が原因で浮腫が生じている場合、親指で圧迫して10秒以上痕が残ることがあります。また、肺や胸、お腹の浮腫を確認するために、レントゲン検査や超音波検査が行われることがあります。腎臓の機能低下が原因の場合、尿検査で血尿や尿蛋白が見つかることもあり、これが見られない場合は腎臓以外の問題を疑うことになります。(参考7)

高血圧による浮腫みの治し方

高血圧により生じる全身性浮腫の場合は、薬による治療が重要となります。また、浮腫の治療はその原因となっている高血圧の治療が基本となります。(参考2)

浮腫の原因が体内の過剰な水分である場合に使用される薬は下記のようなものがあります。

  • 利尿薬:利尿薬は浮腫など体液過剰がみられる患者や、慢性腎臓病を有している患者に対しての効果や心不全の予防効果などが期待できます。
  • ARB:心臓や腎臓の保護作用もあり、心臓や腎臓の臓器合併症がある場合には第一選択薬として使われることが一般的です。また、副作用も低頻度とされています。
  • ACE阻害薬:慢性腎臓病の抑制効果が期待できます。(参考3)

浮腫に対し理学療法が用いられる場合もありますが、高血圧で生じた全身性の浮腫の場合には理学療法での治療は困難である上に、心臓に負荷を与えてしまうような手技もあるので、注意が必要です。(参考2)

高血圧の基本情報

高血圧は、診察時に繰り返し血圧を測定し、最高血圧が140mmHg以上、あるいは最低血圧が90mmHg以上である場合に診断されます。

高血圧には主に2種類あります:

  • 本態性高血圧:原因が不明で、生活習慣に関連することが多いです。高血圧の9割がこちらに属します。
  • 二次性高血圧:特定の原因(例:腎動脈狭窄や原発性アルドステロン症)により発症します。(参考8)

高血圧は、脳卒中や心疾患など重篤な病気の危険因子となるため、血圧の管理は重要です。(参考3)

高血圧の原因、症状や治療などの詳細は下記の記事でもご紹介していますので、参考にしてください。

「高血圧とは | 原因や症状、高血圧の治療方法や予防方法を詳しく解説」 の記事はこちらから

高血圧の改善方法

高血圧の治療の目的は、脳卒中や心疾患の予防や再発防止、そしてこれらによる死亡リスクを低減することです。治療方法は、非薬物療法と薬物療法に大きく分けられます。

  • 非薬物療法:減塩食、運動、飲酒制限、体重管理など
  • 薬物療法:利尿薬、Ca拮抗薬、ACE阻害薬などの降圧薬の使用(参考6)

高血圧の改善方法については、さらに詳しく解説した記事もありますので、参考にしてください

「高血圧 改善」内部リンク

まとめ

高血圧による浮腫は、心臓や腎臓の機能低下が原因で、体内に余分な水分が溜まることで発生します。この症状が現れた場合、早期の対応と治療が重要です。生活習慣の改善や適切な薬物療法を通じて、高血圧を管理し、健康を守ることが大切です。定期的な健康チェックと自分の体に気を配ることで、より良い生活習慣を築いていきましょう。

(参考1)赤澤宏, 小室一成(2007).「心疾患を有する高血圧」. 日本内科学会雑誌.

(参考2)小野部純(2010).「浮腫の基礎」. 理学療法の歩み21

(参考3)非定非営利活動法人 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019」)

(参考4)一般社団法人日本腎臓学会「腎臓がわるくなったときの症状」

(参考5)月野木ルミ, 村上義孝(2018). 「高血圧通院者が抱える自覚症状の実態調査」. 日本公衛誌

(参考6)特定非営利活動法人日本高血圧学会「高血圧の話」

(参考7)清水正樹(2021)「浮腫の診かた・考え方」日児腎誌

(参考8)国立研究開発法人国立循環器病研究センター「高血圧」