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2025.04.03

イソトレチノインの副作用|副作用が出たときの対処方法も解説

イソトレチノイン(商品名:Accutane®など)は、他の治療法で改善が見られなかった重症・難治性のニキビに対して処方される内服薬です。ビタミンA誘導体の一種で、皮脂分泌を抑える作用、アクネ菌への抗菌作用、抗炎症作用を併せ持ち、ニキビの根本改善が期待されます。

ただし、非常に強力な薬であるため、副作用のリスクも高く、服用には十分な理解と医師の管理が欠かせません。本記事では、イソトレチノインの主な副作用や注意点、併用禁忌薬、副作用が出たときの対処法まで、最新の知見に基づいて詳しく解説します。

イソトレチノインで注意すべき主な副作用

重大な副作用

■ 催奇形性(胎児への影響)

イソトレチノインは強い催奇形性を持ち、妊娠中に服用すると胎児の重度な奇形や流産を引き起こす可能性があります。

FDAでは、治療開始前から終了後1ヶ月間まで2種類の避妊法の併用と、定期的な妊娠検査の実施を義務付けています。(参考1)

■ 精神症状

  • 抑うつ
  • 不安、イライラ
  • 自殺念慮や行動

精神疾患の既往がある方は特に慎重なモニタリングが必要です。

比較的よく見られる副作用

症状備考
皮膚・粘膜の乾燥唇のひび割れ、鼻や目の乾燥(ドライアイ)など
発疹・かゆみ・落屑皮膚がめくれるような症状
眼瞼炎・結膜炎ドライアイに関連
頭痛高用量で起こりやすい
筋肉痛・関節痛運動後に目立つことも
横紋筋融解症まれだが重篤な筋障害
肝機能障害AST・ALTの上昇など、定期的な血液検査が必要
脂質異常症中性脂肪・コレステロール上昇の可能性あり
脱毛一過性の抜け毛増加が報告されています
めまい・吐き気比較的まれ

副作用が出た場合の対処法

症状対処法
乾燥症状(唇・肌・目)保湿剤、人工涙液、ワセリン等でケア
軽度の発疹・かゆみ抗ヒスタミン薬、外用ステロイドの使用(医師判断)
頭痛や筋肉痛無理せず休息を。改善しない場合は受診
精神的不調即時に医師へ相談。必要に応じて中止も
肝機能・脂質異常定期的な採血により確認し、用量調整へ

重篤な副作用や体調の異変を感じた場合は、すぐに医療機関に相談してください。

服用に注意が必要な方

以下に該当する方は、イソトレチノインの使用に十分な注意が必要です。

  • 妊娠中・妊娠の可能性がある・妊娠を希望している女性
  • 授乳中の方
  • 成長期(15歳未満)にある方
  • ビタミンAや本剤にアレルギーのある方
  • 肝機能障害や高脂血症のある方
  • 精神疾患で治療中の方
  • ビタミンA過剰症のある方

併用禁忌の薬

🚫 特に注意すべき薬剤:テトラサイクリン系抗生物質

  • ミノマイシン®(ミノサイクリン)
  • ビブラマイシン®(ドキシサイクリン)

これらとイソトレチノインを同時に服用すると、**頭蓋内圧亢進症**という重篤な副作用を引き起こすリスクがあります(参考1)。

👉 詳しくは「イソトレチノインの併用禁忌について」をご参照ください。

正しい服用方法と注意点

  • 必ず医師の処方と指導のもと服用してください。
  • 食後に服用することで吸収率が2倍以上高まることが知られています(高脂肪食と併用推奨)。
  • 女性は服用開始前1ヶ月前から治療終了後1ヶ月までの間、2種類の避妊法を継続してください。
  • 投与中は毎月、妊娠検査と定期的な血液検査(肝機能・脂質など)を行うことが重要です。

まとめ

イソトレチノインは、難治性ニキビに非常に高い効果を発揮する一方で、副作用や管理の難しさも伴う薬剤です。特に、女性の妊娠管理と精神的な副作用、肝機能・脂質管理は厳重な注意が必要です。

服用を希望される方、あるいは現在服用中で気になる症状がある方は、必ず医師へご相談ください。

 

参考文献

(参考1)FDA Drug Label: Accutane (Isotretinoin)

(参考2)日本皮膚科学会「尋常性痤瘡治療ガイドライン(2017年版)」